「ス〜ちゃんが何言ったってずぅっと俺と一緒なんだから。」朱桜家直系の子女として生まれた司は、産まれた時からなんだ女か、男では無いのか、など心無い言葉を浴びた。けれども卑屈にならずしっかりと自信を持って前を向いて歩けているのは確実に両親のおかげだろう。司の両親は昔から司に「性別に左右されることは無い」「司は司のやりたいように」と教えてきた。朱桜家の跡取りとして時に厳しく朱桜夫妻の娘として時に愛情深く育てられた司はそれはそれはもう立派な淑女として成長したのだった。自分より幾分上の立場の人に物怖じせずにしっかりおかしいものはおかしいと意見できる程度には。
目の前に置かれる書類を人差し指でとんとんと叩きながら下品ににやつくスポンサーは、今なんとあったのだろうか。
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