ever after「僕はあの子を愛してもいないしあの子に恋してもいないよ」
街角のオープンカフェの一角。白いテーブルの上には薫り高い紅茶のカップがふたつ。テーブルを挟み向かい合うのは、仮面をつけた男と同じく半顔を覆う仮面をつけた少女だ。
ティーカップの細い持ち手に指を添えたまま、男はうんざりしたようにそう言い放った。
向かい合う少女はその返答に不満げだ。期待していたような楽しい話ではなかったから。
浮かれときめき道化になるようなとびっきりのコイバナを聞けるんじゃないかと思っていたのに。
テーブルの上に顎を乗せ、ぷーと頬を膨らませて不満げだ。
「そんなのつまんなーい」
「別にあの子の幸せを願ってもいないし相手を想って心躍らせ眠れない夜を過ごしたことも……も?」
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