想い人が転んだ。wsrn ver.沖田「本当にどんくさいですね」
なんて言いながら、転んだ下女ちゃんをツンツンしていそう。
「って言うか何に躓いたんですか蹴躓くような石も見当たりませんし、草も生えていないのに。」
なんて言う。
本当に、申し訳ありませんなんて小さな声が聞こえてきて、そこでやっと、どこか捻りましたかって心配しているような口調になる沖田さんに、「いえこんなどんくさい女と並んで歩くなんて新選組の顔に泥を塗るようなもの。どうぞ私のことは置いて先に帰ってください。」って言う下女ちゃん。屯所の中じゃ弱いけど京の町中では立場が強くなる、それも沖田さんと過ごす時間が長くなったから出来ることだといい。
「君っていう人は…。変に賢くなりましたね。」
「お陰様で。」
町中で、新選組の評判が落ちることがあればそれこそ問題なので、優しく体を起こしてあげる沖田さんににっこりの下女ちゃん。
「怪我はありませんか?」
「はい、ありがとうございます。」
なんて笑顔で言葉を交わすものの、「屯所に戻ったらしっかり褒美は頂きますので。」と下女ちゃんの耳元で囁く沖田さんは居る。
藤堂「ほら、手、繋ごうぜ」
ひとしきり、笑った後下女ちゃんの前にそっと手を差し出す藤堂さん。
もう、その笑いっぷりのすごいことったら、咽るほど笑っていたので差し出された手にも素直に手を重ねることができない下女ちゃん。
「このくらい、なんともありません。一人で立てます。」って言葉通り一人で立ち上がりすたすた歩きだす下女ちゃんに、「悪かった、悪かったよ。」ってその背を追いかける藤堂さん。
「ほら、そんなむすっとしてないで手、繋ごうぜ」ってもう一度手を差し出すと今度は手を取り頬を赤らめる下女ちゃんに気を取られた瞬間一緒に転んでしまう藤堂さんはいる。
「いってっ、つか、危ねえ、ははっ、何でもう一回転ぶんだよ。」ってまた笑い始める。
下女ちゃんと一緒なら何だって楽しい藤堂さん。
「やっぱり、ちゃんと手繋いでようぜ。そしたらどんな事があってもお前となら乗り越えていけそうな気がする。」
此処が京の町の道の真ん中で、そこに座り込んで話をして軽い口づけを交わしていることなんて意識はもう無い二人であった。