オーバーオールちゃんのヒリヒリコレモ、チガウ。コレモ、コレモチガウ、チガウ、チガウ
あの日から、ずっと探している。
ヒリヒリの原因を…。
目が覚めたとき、動く体より先に感じたのは頬に走る痛みだった。
痛みの場所に手をやればいくつかの場所にヒビや穴を感じる。
ココと、ココと、ココ…。
全部の割れた頬のパーツが見つかればそしたらこの痛いのも何処かに行くのかな。
ぼんやりと、そんな事を考えながらとぼとぼと行く宛も無く歩き出した。
これだと思うものがあれば、割れて穴の開いた自分の頬にパーツを押し当てながら…。
怖いものはなかったけど、ひどい目にはあった。チェーンソーを持った怖い人たちに追いかけられた。知らないものもたくさんあった。たくさんのニンゲンとも遊んだ。たくさんのニンゲンが絵を描いて見せてくれたものはそのまま頂戴した。そうすると心があったかくなったから。
だけど、未だに頬のパーツもヒリヒリの原因も分からないまま。
「イタイ、イタイ、イタイッ」
あまりにも頬と、もう一つのヒリヒリの痛みが強い時はそう言って叫んでしまう時もある。
その時、ニンゲンたちは逃げて行く。
もしかしたら、そういうことなのかもしれない。昔も僕を置いて、みんなどこかへ行ってしまったのかも。
「イタイノ、イタイノ、トンデイケ〜」
そんな事を考えて泣きそうになっていると突然そんな言葉が耳に入ってきた。
「イタイ、イタイ…」
「イタイノ」
「····」
「イタイノ、イタイノ、トンデイケ〜」
その魔法のような言葉でほんの少しだけ、本当にさっきまで痛かったところが少しだけマシになったような気がした。