君がいた。由紀がいた。
柊の声の中に、柊たちが作った曲の中に、由紀がいた。
どうして俺は由紀の作った音楽を今まで聴こうとしなかったのだろう。どうしてLIVEに出るとはにかんだ彼を否定したのだろう。
『じゃあ、俺のために死ねるの』
ある冬の日、半ば衝動的に口から飛び出た言葉を、言ってすぐに後悔した。
ひどい嫉妬だった。
由紀が夢中になれるものを俺はどうしても応援できなかった。
こんなにも、まっすぐに届けようとしてくれていたのに。
俺が由紀を忘れる日なんて、本当に来ないよ···。
この曲を聴くことができて良かった。
この曲を作ってくれて、届けてくれてありがとう。
あぁ、真っ直ぐステージを見ていても涙で何も見えないや。
柊は、どんな顔で歌っているのだろう、上ノ山くんは···シズちゃんは···。
由紀、俺の周りは優しい人で溢れてるよ。
誰も俺を置いていったりしないんだろう。
傍にいることを望む限り、手を差し出して引っ張ってどこまでもどこまでも行ってくれたのだろう。
由紀もそうだったんだろうな····。ごめんね、気づかない俺で、自分のことばかりで周りが見えなくてごめん。
今ならちゃんと受け止められるよ、伝えたかった言葉。
それで、今度は俺が伝えていくから聴いていてね。