Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    summeralley

    @summeralley

    夏路です。
    飯Pなど書き散らかしてます。

    ひとまずここに上げて、修正など加えたら/パロは程よい文章量になったら最終的に支部に移すつもり。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 👏 💚 🎉 💯
    POIPOI 46

    summeralley

    ☆quiet follow

    #飯P版深夜の真剣お絵描き字書き60分一本勝負
    お題【遊園地】

    【飯P】夜間も営業しています(1700文字くらい)

    出来てるのか? 出来てないのか? どっちでもいいね師弟が揃ってれば……

    #飯P
    #腐女子向け
    #二次創作BL
    secondaryCreationBl

    【飯P】夜間も営業しています 真夜中の遊園地は、当然ながら無人だった。眠りについたメリーゴーランド、夜気をたたえたコーヒーカップ、明日に備えて身を休めるジェットコースター。観覧車はその真ん中に堂々と立ち、湿った月明かりが、ゴンドラを静かに濡らしている。
     「……やっぱり、鍵が要るのかぁ」
     観覧車の頂上で静止しているゴンドラの扉を引いてみて、僕は肩を竦めた。ひとつ隣のゴンドラの上に立ったピッコロさんは、呆れたように僕を見ている。
     「動かない遊具に乗って、どうするつもりだったんだ?」
    「……上からの景色を見たかったって、だけです」
     ピッコロさんは首を傾げる。確かに、今の誤魔化し方はよくなかった。神殿は、この観覧車より何十倍も高いところにある。
     まだほんの子供の頃、都会にはこんな場所があると知って、山育ちの僕はひどく憧れた。きらびやかな光と賑やかな音楽、自然にはまずない色彩の遊具、隣に座って笑う、大切な誰か。誰かではない……想像の中で一緒にいるのは、いつだってピッコロさんだった。
     しかしこの夢想は、実現しないだろうと想像された。ピッコロさんが遊園地になど、付き合ってくれるとは思えない。それでも気分だけでも味わいたくて、わざわざ深夜に連れ出したのだ。
     ピッコロさんは身軽に跳んで、僕の目の前で、頂上のゴンドラの屋根へ掛けた。
     「上からの景色なら、ここに掛けたって同じだろう」
    「うん……そうですね」
     僕も同じゴンドラへ掛ける。僕ら二人が跳び乗ったから、ゴンドラはやや派手に揺れて大きく軋んだ。屋根へ座って落ち着いても、ゴンドラをホイールに吊っている大きな部品が僕らの間にあり、目を向けてもその横顔を見ること能わなかった。
     僕らが身じろいだり、強い風が吹きつけるたびにゴンドラがわずかに揺れる。ごくかすかな金属の軋みだけが、耳に届いた。
     足下に広がる遊園地は真っ暗で、何の光もない。敷地が広く、街の灯りはずいぶん遠くにちらつく。ゴンドラのわずかな揺れも手伝って、海から港へ戻る船に乗っているようだった。
     「……本当は、遊園地って子供の頃からちょっと憧れてて。ピッコロさんも、遊園地って知ってはいますよね? 遊びに来たくは、ないと思うけど」
    「そうだな……別の奴を誘ってくれ」
    「一応訊きますけど……それって、どうして?」
     暫く、沈黙があった。適当に片付けず、返答を真剣に考えてくれていることが、顔を見ずとも雰囲気で伝わってくる。
     「目の回る騒々しさの中で、『楽しさ』だけを享受することに、意味を見出だせない」
    「騒々しくて、目が回って、ただ楽しいだけ……」
     ピッコロさんは下ろした脚を所在なく揺らしているらしく、顔を向けると膝から下だけが間欠的に見えた。
     やはり昼の遊園地は断られたし、観覧車は沈黙している。華やかな光も、楽しげな音楽もない。けれど僕は、不思議と高揚していた。
     「もしそれが遊園地なら……いつも心が騒々しくなって目が回るほどで、意味がなくても楽しくて、時々は怖くて、離れる時は名残惜しい……僕にとって、それって、ピッコロさんです」
     恋心を自覚してから何年もの間、ずっとずっとそうだった。思うままに何気なく溢してしまってから、僕は急に恥ずかしくなってくる。ゴンドラの吊り具で、互いの視線が遮られていてよかった。きっと、ひどく赤面しているはずだ。
     断続的に見えていたピッコロさんの脚が、ふと見えなくなった。
     おや、と思うと同時に、掛けたまま上半身を乗り出してこちらを向くピッコロさんと、吊り具越しに目が合う。
     「だったら、振り落とされないようにするんだな」
     賑やかしい照明ではなく、白く澄んだ月光が、こちらを覗き込む面差しに注いでいる。
     「お前が乗ろうとしている遊具は、そう簡単には制御が利かんぞ」
    「……心得てます、この十数年で、充分に」
     なんとか答えると、ならいい、と小さく聞こえる。月を宿した切れ長の瞳が、ゆっくりと微笑に変わる。
     言葉ひとつで、目が回るほどに、心が騒々しくなる。微笑みを向けられるだけで、華やかな光も楽しげな音楽も、胸の底に生じてくる。
     ピッコロさんと二人きりで座っているこの観覧車は、世界のどんな遊園地の、どんな遊具よりも、魅力的に思えた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭💚💚😊😊😊🎡💞💞
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    summeralley

    INFO6/15 星に願いを
    ゆ 28b Summer alley

    新刊『廃墟の灯』
    A5サイズ10章68ページ成人向け。

    廃墟となった無人の街に暮らす飯Pのお話の試し読みです。
    03章を途中まで載せます。NAVIOの方には別の章を載せてますので、興味があって見れる方はそちらもどうぞ~
    【飯P】廃墟の灯/試し読み03.廃墟の街

     砂の散ったアスファルトに、錆びた鉄骨とひしゃげた鉄パイプが転がっている。
     山々のように聳える工場群は今やその役割を終え、徐々に朽ち果てつつあるのが、この距離から振り仰いでも明らかだった。
     ひび割れた舗道には雑草が繁り、道の両端に並ぶ建物の外壁にも蔦が這いまわっている。ガラスはどれも汚れており、庇はことごとく破れて垂れ下がっていた。看板やシャッターの文字はほとんど消え失せ、赤茶けた錆だけが無闇と存在を主張している。
     ピッコロが姿を眩ませたのは、両刃の剣を二人で見た直後だった。
     はじめ数日は、悟飯もデンデたちも、どこかで修業に打ち込んでいるのだろう、と考えた。しかし一週間経ち、十日経ち……それでも戻る様子がない。流石に、こんなに長い期間を留守にするのに一言も告げていないのはおかしい。気が全く感じられず、意図的に身を隠していることは明らかだった。
    2764

    summeralley

    DONEこの人の内面はじめて書いた
    って思ったけどピアニスト飯Pの時に書いてました。あの時はネイPではなかっただけで。

    客🍚とマスター💅のバーテンダーぴ取り合い。ネイP描写多めで書きますがラストは飯P予定。
    【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/12ラストワード テーブル席にウイスキーを出すピッコロを、カウンターの中から見ていた。一気に入った注文があれで片付くから、暫くは落ち着くだろう。
     コリンズグラスに、切ったばかりのライムとスペアミントを入れる。バースプーンで軽く潰すと、やや窄まったグラスの口から、涼やかな香りがここまで上がってくる。
     ライムは、通常のレシピよりも少し多く入れる。それがピッコロの好みだと、分かっているからだ。砂糖は入れない。氷を入れ炭酸水を注ぎ、手早く混ぜる。ちょうどカウンターへ戻ってきたピッコロに差し出すと、両手で受け取って笑った。
     「ありがとう、ネイル。足りないものはないか?」
    「今はない。何かあれば声をかけるよ」
     頷いて、カウンター客の前へ戻っていく。読んだ本の内容について、尋ねているらしい。それを受けた彼は身を乗り出すように研究を語り、ピッコロも微笑みながら聞いている。
    4025

    related works