高間晴☆quiet followDOODLETLに花見するチェズモクが流れてきて羨ましくなったので書きました。 #チェズモク chesmok ##BOND ■夜桜で一杯 新しく拠点を移した国では今が桜の花盛りだそうだ。それを朝のニュースで知ったモクマは「花見をしよう」と期待たっぷりに朝食を作るチェズレイに笑いかけた。 日が沈んでからモクマはチェズレイを外へ連れ出した。桜が満開の公園へ行くと、ライトアップされた夜桜を楽しむカップルや友人連れの姿がちらほら見える。一箇所、満開の桜の下が空いていたので、そこにビニールシートを広げて二人で座る。持ってきたどぶろくの一升瓶からぐい呑みに注ぐとモクマはチェズレイに渡す。続けて自分の分もぐい呑みに注ぐと、二人で乾杯した。「や~、マイカから離れてまた桜が見られるとは思ってなかったよ」「それはそれは。タイミングがよかったですね」 モクマがいつにも増して上機嫌なので、チェズレイも嬉しくなってしまう。「おじさん運がなくてさ。二十年あちこち放浪してたけど、その間に桜の花なんて一回も見られなかったんだよね」 でもそれもこれも全部、なんもかも自分が悪いって思ってた――そう小さな声で呟いてぐっと杯を干す。 このひとはどれだけの苦しみを抱えて二十年も生きてきたんだろう。事あるごとに何度も繰り返した問い。それをまた思うとチェズレイは胸が詰まった。ああ、何度繰り返しても同じだ。苦しい。「……モクマさん」「あぁ、でも今はお前さんと二人で花見ができて嬉しいよ。どうにか死なずに生きてた甲斐があるってもんだ」 そう言ってモクマは頭の上の桜の花を振り仰ぐ。「よく言うじゃないか。長生きはするもんだって。お前さんと二人で過ごすようになってから、それを実感してる」 からりとモクマは晴れやかに笑う。たぶんそれが苦しんだ末に見つけた答えなのだろうと、チェズレイは腑に落ちる思いがした。同時に、いま自分はこのひとの隣にいることが出来て、これ以上なく幸せだと噛みしめる。 そこで桜の花びらがひとひら、チェズレイのぐい呑みの中へ舞い落ちてきた。白く濁る酒の水面に、ほのかに色づいた花びらがたゆたう。それを見てモクマが囃し立てる。「おっ、風流だねぇ。お前さん、ついてるよ」 それをじっと見つめたチェズレイは、しばし無言で考え込んだ後に桜の花びらごとどぶろくを一気に飲んだ。ごくりと喉が鳴る。それが意外な行動だったようで、モクマは一瞬あっけにとられる。「チェズレイ……」「毒を食らわば皿まで、ですよ」 ねェ、モクマさん。チェズレイはモクマに流し目を向ける。左目の花が微笑みにたわむと、つられるようにモクマも目を細めた。「――桜は綺麗だけど、やっぱりお前さんと比べると霞むなぁ」「それは光栄です」 もう一杯いただけますか、とチェズレイがぐい呑みを差し出せば、モクマは黙ってどぶろくを注ぐ。ずっとこのまま、二人この時間の中で過ごしたかった。 でもいつかは夜は明けるし桜だって散ってしまう。だからこそ、生きるということは尊くて美しいのだ。チェズレイは小さく酒精の混じった吐息をつく。Tap to full screen .Repost is prohibited Let's send reactions! freqpopularsnackothersPayment processing Replies from the creator Follow creator you care about!☆quiet follow 高間晴PAST過去の文スト短歌。カップリングとかはなんでもありのカオス。 40 高間晴DOODLE接吻せい……の心持ちで描いた 高間晴DOODLE 高間晴DOODLEハロウィン敦太 高間晴DOODLEおさそい 高間晴DOODLE related works きくちゃんDOODLEサタン様犬好きかと思いきやロクサーンみたいなパターンもあるのでやっぱ人外思考なのかな~ ちゃづDONE描いたやつその1※茨あん、ジュンあん 17 ちゃづDONE描いたやつその1※茨あん、ジュンあん 17 ココノカSPOILER幻覚なので全くネタバレではないけど1072話の発言ネタ きくちゃんDOODLEサタン様犬好きかと思いきやロクサーンみたいなパターンもあるのでやっぱ人外思考なのかな~ べこDOODLEピンク色のバレンタインなヨウグズ🍫 nnnnnnoodderaDONE【腐向け】チャバが酔ってハ崎さんに甘えてる漫画。ハ崎さんがトイレに行くのを我慢していたりする。 4 2watoyoDOODLE【朝のボールペン落書き】【日楠♀】【先天性女体化】日高先輩×男装後輩サキュバス家系楠ちゃん。海編。本当に気にしてるのは。 わたさくDOODLE recommended works GACHA_gazankaTIREDこれは放置しっぱなしの班長×ティッシュ配りの114の1ページ目。短いし最後までネーム描いてあるしとっとと仕上げればいいのに… 高間晴TRAININGパパ活セラおそちゃん 高間晴DOODLEつい推しに煙草を吸わせがち 高間晴DONEお題箱からのリク、「通常→悪女へ染まる途中段階のエララ」 すいまーPASTテステス 2 ぐDOODLE掘り出し物 ぐMOURNINGぼつ! 高間晴TRAININGイケメンの顔面と髪の塗り練習 高間晴DOODLEチェズモク800字。今度はモさんがうだうだしてる。https://poipiku.com/108543/4050417.html の続き。ルクアロルクの描写を含みます。■最近の悩み(Side:M)「じゃあまたコーヒー淹れてくるわ」 モクマはチェズレイの空になったカップを受け取って書斎を出た。さっき彼の手にしていた携帯の画面が、遠目でちらりと見えてしまったのを思い出す。 さすがにここまで共に過ごした上であれを見て、彼が自分以外の誰かとセックスがしたいんだなんて思うほどモクマは朴念仁ではなかった。 おじさん、求められてるんだなぁ。あんな美青年に。 ぼうっとそんなことを考えながら、キッチンでカップを洗う。 きっとチェズレイはどっちも未経験だろうから、俺がネコ側やるのが妥当なんだろう。 でも、あいつは知らないかもしれないが、セックスなんてのは時としてみっともなくて滑稽なものだ。ただでさえこんな――あの美しい男にこんなおじさんの喘ぎ声だとか痴態を晒すなんて、とてもじゃないができない。我慢すればいいだけの話だなんて言わないでほしい。人生で初めてこれだけ惚れた男に求められて触れられて、抑えられるだけの自信がないのだ。 それが恥ずかしいなんて可愛い感情ならまだどうにかできた。だが自分が抱えているのは恐怖と惨めさ、とでもいえばいいのだろうか。 も 853