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    高間晴

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    高間晴

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    敦太800字。口内炎。

    ##文スト
    #BSD
    #敦太
    dunta

    しみるから 敦の作った朝食を目の前にして、太宰は一口だけ食べたと思ったら、箸を持ったまま難しい顔をしている。
    「どうしました? 食べないんですか?」
    「いやほら……ちょっと口の中が痛くて」
     左側の頬を手で押さえたまま、太宰は憂鬱そうな表情でいる。
     卓袱台の向かいにいた敦が近づいてきて、「見せて下さい」と云うので太宰は素直に口を開ける。敦がよく見ると、左の頬、その内側にぽつんと白い点ができていた。
    「あー……口内炎ですね」
    「やっぱり?」
     太宰は口を閉じると、箸を置いてため息をついた。
    「敦君の作ってくれたご飯、無駄になっちゃうね」
     寂しそうな顔で敦を見てくるものだから、敦は困ったように笑う。
    「食べたければ何時でも幾らでも作りますから」
     太宰は湯呑に注がれたほうじ茶に口をつけるが、熱い茶が滲みたのか眉をしかめる。
    「あとでゼリー飲料でも買ってきますから、それ飲んで大人しくしていて下さい」
     そう云われてしまうと太宰も返す言葉がないのか、黙り込んでしまう。
     敦は、宥めるように太宰の髪を撫でて左の頬に音を立ててくちづけた。
    「はい。早く治るおまじないです」
     太宰は一瞬驚いた顔をしていたが、すぐにとろけるような笑顔を浮かべて敦に抱きついた。
    「ありがと」
     微笑みを含んだ言葉。お返しに敦の頬に唇で触れると、二人して幸せな顔で見つめ合う。
    「――それにしても、どうしましょうね。太宰さんの分の朝ごはん」
     敦が食卓に目をやる。
     今日の朝食は焼き鮭と具沢山の味噌汁とご飯。捨てるのは忍びないが、太宰の口内炎が治るまでは保ちそうもない。
    「敦君が食べなよ。育ち盛りなんだからこれくらい入るでしょ?」
    「そうですね。じゃあ頂きます」
     敦は箸を持つと食事を始めた。その様子を傍らで太宰がじっと見ているので、少し居心地が悪い。
    「そ、そんなに見ないでもらえます?」
    「いいじゃないか。私は君がものを食べている姿が好きなんだ」
     太宰は卓袱台に頬杖をつくと、目を細めてそう云った。
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    高間晴

    DOODLEチェズモク800字。チェズが悶々としてるだけ。■最近の悩み


     ミカグラ島での一件が落ち着いた後、チェズレイとモクマは二人で世界征服という途方も無い夢を目指すことになった。
     まずは下準備から、というわけで今はヴィンウェイのセーフハウスでゆっくり計画を練っている最中。だが、チェズレイの頭の中は相棒のことでいっぱいだった。
     あァ……あの人を抱きたい。
     あの指切りの時に生死を共にする約束を交わしたとはいえ、あの時には心の触れ合いさえあればよかった。それが二人で暮らすうちに、どういうわけか直接もっと肌で触れ合いたいと思い始めてしまったのだ。この、自他共に認める潔癖症の自分が。
     そこまで考えて、チェズレイは書斎の陽光射し込む窓辺に立つと、さきほどモクマが淹れてくれたカフェオレを一口飲んだ。それはこれまで飲んでいたブラックコーヒーにはない優しい風味で、神経が和らぐ気がする。
     あの人はファントムに似ている。だが決定的に違うのは、あの人は自分を裏切らないという確信があるところ。
     でも――あの人はヘテロだし、誰が見ていてもわかるくらいずるくて逃げ癖がある。いっそのこと自分が女装して抱かれればいいのか、なんて考えるが問題はそこじゃない。 871

    高間晴

    DONEお題箱より頂いた、「ひたすらモさんを褒めちぎるチェズ」。
    なんか手違いで褒めるというよりは好きなところを挙げていますがご容赦ください。
    ■このあと美味しくいただきました。


     チェズレイは目的のためならかける手間を惜しまない男だ、とモクマは思う。
     ふらりと出かけ、数時間ほどでセーフハウスに帰ってきたチェズレイを玄関で出迎える。その手にはケーキが入っているらしき箱と茶色の紙袋があった。甘いものに目のないモクマは嬉しそうに笑う。
    「チェズレイ。それお土産? ケーキ?」
    「タルトです。苺が旬なのも今のうちですし、買ってきました。一緒に食べましょう」
     そう言いながらキッチンのダイニングテーブルに箱と紙袋を置く。待ちきれずにモクマが箱を開けてみると、たっぷりの真っ赤な苺がクリームの上に乗ったタルトが二切れ入っている。テーブルに手をついて箱を覗き込みながらモクマはお伺いを立てる。
    「あ、おじさんコーヒー淹れよっか? タルト甘いだろうからブラックで――」
    「いえ、クリームを使ったタルトに合わせるなら油分のあるコーヒーより、口の中がさっぱりするストレートの紅茶ですね」
     それを聞いてモクマは首を傾げる。紅茶。コーヒー豆ならあったけど、茶葉なんてなかったはずだ。そこで隣に置かれている紙袋に目が行く。チェズレイはその中からアルミの小 2964