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    しんした

    @amz2bk
    主に七灰。
    文字のみです。
    原稿進捗とかただの小ネタ、書き上げられるかわからなさそうなものをあげたりします。

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    しんした

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    タイトル通りの七灰です。
    こちらhttps://poipiku.com/1088919/9787365.htmlの続きです。
    本文前の諸注意にお目通しのうえ、大丈夫な方はお進みください。

    ※どこか矛盾しているところがあるかもしれませんがまとめる時に修正します。

    七灰俳優パロ②の②○諸注意○
    ・思いっきり俳優パロ②の①の続きで、モブファン視点で灰原くんのインスタライブを見ているお話。
    ・灰原くんがたくさん喋ってます。
    ・七海はほぼ出てきません。気配はあります。
    ・私がインスタライブの機能について理解していない部分があるので、おかしな点は目をつぶっていただければと思います。

    諸々とご了承ください。








    パッと表示されたのは灰原くんのインライが開始した通知。その通知バナーが消える前に急いでタップすると、よく着ているパーカー姿の灰原くんがカメラの位置を調整しているところだった。
    「ん~このへんかなぁ」
    開始した直後ではあったが、放送直後ということもあって視聴者数はどんどん増えていく。
    「あ!皆さんこんばんは!灰原雄です!」
    カメラから少し距離を取った灰原くんがぺこりと頭を下げた。
    背景はいつもと同じ淡いクリーム色の壁紙とグレージュの布張りのソファ。ちなみに、七海くんがupした灰原くんとのツーショット写真のソファはこれだと言われている。
    「あ、『さっきの放送見ましたー』、ありがとうございます~!『思ってたより体張っててびっくりしました』、そうですよね、僕もまさかボルダリングまでするとは思ってなかったけど、なんとかなってよかったです!」
    自然と話題はさっきのクイズ番組に関することになっていく。
    アクションに取り組んでいることもあってか、灰原くんの話はクイズに付随していたやけに難易度の高いアトラクションのことがメインだった。てっきりエンディングの時に宣伝していたスペシャルドラマの話をするのかと思っていたから少し拍子抜けしたが、推しが楽しそうに話している姿をリアルタイムで見られるだけでファンとしては十分すぎるくらい幸せなので全然OKだ。
    「──って感じで結構最後やばかったんですけど、絶対七海に繋げなきゃ!って思ってすごく頑張ったんですよ〜!」
    ただ、身振り手振りでアトラクションの説明をしている灰原くんを微笑ましく眺めていた時、灰原くんの口から出た名前に私の心臓はピャッ、と小さく跳ねた。
    きっと、他の視聴者も同じだったのだろう。ゆったりしていたコメントが次々と流れていく。
    『七海くんとの連携メッチャよかったよ!』
    『ふたり息ぴったりだった』
    『いいコンビだね~!』
    「わ〜ほんとに?よかった~、ありがとうございますっ。えーっと、……そうっ!そうなんですよ!!」
    流れていくコメントを追っていた灰原くんの瞳がバッ、と大きくなった。スマホに顔を近付けたのか、画面いっぱいに映る灰原くんのまん丸な瞳が今までにないくらいキラキラと輝いているのがよく分かる。
    「あっ!ごめんなさい大きな声出して。七海が意外と運動できるんだね、ってコメントあって嬉しくなっちゃって」
    落ち着きを取り戻した灰原くんは、元の姿勢に戻ってからそう言ってはにかんだ。
    「でもね、ほんとにそうなんですよ。七海って実はすごく運動神経よくて、一緒にスポッチャ行ったら結構白熱するんですよね。バッティングとかフットサルは僕の方が成績いいんだけど、ストラックアウトとかアーチェリーとか的狙う系は七海すごくうまくて。それにアーチェリーの弓構えてる七海、びっくりするくらい絵になるんですよ!」
    そこまでアクティブではなさそうな七海くんがスポッチャへ行くなんて意外だったが、確かにアーチェリーをしている姿は絵になるのだろう。それに、インスタに上がっている写真以外の場面でも仲良くしている二人を想像すると、自然と心が満たされていく。
    するとその時、流れるコメントの合間にとある名前が表示された。
    『Kento_Nanamiが視聴を開始しました』
    「えっ?」
    私の声が漏れたと同時に、コメント欄の流れるスピードがさっきと比べ物にならないくらい速まった。
    『え?え?マジで?』
    『ほんとに??』
    『本人登場!?』
    『そんなことある?』
    遥か上まで流れた表示を見つけるのは諦めて、視聴者数のアイコンをタップする。
    可愛らしいアイコンが多い中で少し浮いているお洒落なモノクロアイコン。スタイルの良さを強調している、シンプルなシャツと黒スキニー姿の全身写真。その横に表示されている名前をもう一度確認すると、やはり見間違えでもなんでもなく七海くん本人だった。
    事務所の先輩である夏油さんや共演したことのある同世代の子がたまに覗きにくることはあっても、七海くんが見に来ることは私の知る限りでは初めてのことだ。
    どうやら、灰原くんはまだ気が付いていないらしい。その様子をソワソワしながら見守っていると、灰原くんは何かを思いついたようにカメラを切り替えた。
    アウトカメラになったのか、映し出されたのは大きなテレビ画面。そして、録画していたのだろう。灰原くんは、ついさっき放送されたクイズ番組を流し始めた。
    「えーっと、ほら、ここの七海とかめちゃくちゃジャンプしてるでしょ?身長差そんなにないのにバスケのジャンプボールとか取られることばっかで。僕の方が筋肉量多いからだよ、っていつも言ってるんですけどそんなの言い訳だろ、って。確かに最近七海も身体鍛えてるんですけど、僕とは鍛え方が違うけど前よりずっと身体厚くなったっていうか」
    アウトカメラに切り替えただけのはずだから、スマホの画面を見ながら配信を続けられるはずだが、灰原くんはテレビに映る七海くんを指さしながら喋り続けている。
    『まさかの解説始まった!笑』
    『なんでこのタイミングでw』
    『灰原くん!七海くん来たよ!』
    『おーい!!こっち見て!!』
    楽しそうに話している灰原くんの様子はファンとしては嬉しい限りではあるが、テレビ画面を指さす灰原くんと次々流れていくコメントが映る配信画面はなんだかシュールだ。
    「あ、このボルダリングの時は僕上から見てたんですけど、七海すごく頑張ってて、最後に登りきるところなんか、気合い入れるみたいに珍しく声出してたんですよ。小っちゃかったけど。でも、そこが七海らしいなーって思って」
    必死のコメントもむなしく、灰原くんはテレビの方向を向いたまま三角座りをした。声は少し遠くなったが、それでも最新の機種はひとりごとのような灰原くんの声をきちんと拾う。
    「七海めちゃくちゃ努力家だけど、それを表に出さないからたまに誤解されちゃうこともあって、でも私たちの仕事はその時発揮できる最大限のパフォーマンスを見てもらうことだから、こんなに努力してるんですなんてわざわざ主張する必要はないって言ってて、それ聞いた時にほんとにすごいなぁって思って……こんなの尊敬するに決まってるよね……もう、ほんとずるいなぁ……」
    灰原くんがどんな表情をしているのかは分からない。それでも、はぁ、とどこか憂いを帯びたため息の音はマイクがしっかりと拾っていた。
    推しが恋煩いをしている姿をライブ配信で見るなんて、誰が想像するだろう。しかし、普段の明るくて元気な灰原くんとは違う、しおらしくて可愛らしい姿に私の心は歓喜の涙を流していた。
    『公開惚気が止まらない』
    『でももっと聞かせてほしい……』
    『灰原くん可愛すぎる』
    『七海くんどんな心境なんだろう』
    『なんかコメントしてー!』
    相変わらずコメントは次々と流れていくが、七海くんからのコメントはない。もしかして退出してしまったのだろうか。そう思った時、灰原くんが何かに気が付いたようにカメラの方へ顔を向けた。
    「あっ、えっと、ごめんなさい!!全然違う話して!!あと、なんか今ちょっとプライベート用のスマホが鳴って」
    慌ててインカメラに切り替えた灰原くんが、定位置のソファへ戻りながらパーカーのポケットから違うスマホを取り出す。すると、画面を見た灰原くんは「えっ!?」と声を上げて零れんばかり目を見開いた。
    『どうしたの?』
    『大丈夫?』
    灰原くんのただならぬ様子にコメント欄が一気に不安な雰囲気へ変わる。ただ、プライベート用のスマホからおずおずと視線を上げた灰原くんは誰が見ても分かるくらい顔を真っ赤に染めていて、そこからコメント欄の熱量は一気に上がった。
    『もしかして七海くんから!?』
    『ありそう!』
    『だって七海くんたぶんもうここ見てないもんね』
    『えー!なんてなんて!?』
    『大丈夫?怒ってない?』
    流れるコメントを追っていた灰原くんがプライベート用のスマホで顔を隠す。もう耳まで赤くなっているから、今さら何の意味もないのだけれど。
    何度か深呼吸をした灰原くんは、プライベート用のスマホを下ろした。恥ずかしさからなのか、若干瞳が潤んでいるように見えるのはきっと気のせいではない。
    「……あ、えと、大丈夫です。全然怒ってない……その、ちゃんと番宣してって、大事なことだろ、って」
    やっぱり七海くんだー!とコメントは大盛り上がりだ。もちろん、私も心の中でスタンディングオベーションをした。
    『よかったー!』
    『お仕事の宣伝だいじだよね!』
    『七海くんも一緒に番宣したらいいじゃん!』
    『そう!コラボ配信でさ!』
    『七海くんのインライって見たことないから灰原くん教えてあげなよ!』
    コメントの勢いは収まらず、それを見ていた灰原くんは困ったように眉を下げてあわあわと視線を漂わせている。
    「あ、えっと、ごめんなさいっ!それはまた今度ってことで許してください!えーっと『僕らのお昼ご飯事情』は○月○日金曜日、深夜0時26分から○○系列で放送ですっ!ちょっと時間遅いけど見逃し配信もあるから皆さんぜひ見てくださいねー!」
    一気に言い切った灰原くんはありがとうございましたっ!と頭を下げた。もうカメラに顔が映らないようにしているのか、いつもの満面の笑みでのバイバイではなく、見慣れたソファだけが映った状態で配信は終了した。
    「なんか、すごかったな……」
    力尽きたように床へ寝転がった私は、茫然としたままTLを眺めた。
    灰原くんはいつもインライのアーカイブを残してくれていたけど、流石に今日の分はないだろう。だが、TLを覗くと切り取った動画がいくつもupされていて、少し経つと『灰原くんかわいい』『三角座り』『無自覚公開惚気』なんてワードがトレンドに上がっていた。
    「ほんとに今度コラボ配信してくれないかなぁ」
    同じことを言っている人はたくさんいて、灰原くんのインライ予告のツイートにリプしている人も何人もいる。これはもしかして、もしかするかもしれない。
    それにしても、あそこまで照れている灰原くんを見たのは初めてだ。まあ、無自覚公開惚気をしただけでなく、それを本人に見られたのだから仕方がないのだろう。
    個人的には、あんなに可愛い灰原くんを見させてもらったから大満足だ。しかし、もう一人の当事者である七海くんは一体どんな心境か考えると、上手く言い表せられない感情で暴れ出しそうになってしまった。
    きっとインライが終わった今、二人はプライベート用のスマホで連絡を取っているのだろう。
    いったいどんなことを話しているのか。こっちが恥ずかしくなるような惚気を聞いた七海くんは、灰原くんに何を言うのだろうか。灰原くんはそれになんて返すのだろうか。気になって気になって仕方がない。
    「二人は、どんな仲良しなの……?」
    自分のカメラロールを眺めていた私の口から、勝手に言葉が零れた。
    スマホの画面には、七海くんが唯一upした二人が一緒に眠っている画像が表示されていた。









    ※書き終わってから録画したテレビ番組をインライで映したらだめかもと気がついたんですが、その辺は目をつぶっていただければ幸いです。
    アーカイブ残してないから後日ちょっと怒られたくらいの感じで思っていただければ……灰原くんのファンは灰原くんにお願いされたら切り取った動画も消すはずなので……。
    設定ふわふわですみません。



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