恋人の日なので恋人の日なので
「ライトさんから会いに来てくれるなんて嬉しいな」
にこりと女ウケしそうな綺麗な笑顔を向けライトを迎え入れる。
恋人という関係になってから教えられたマンションの一室は合鍵を渡されてからも進んで訪れたことはなかった。
「連絡くれた時は本当に嬉しかったな〜ね、飲み物用意するよココアでいい?」
「ああ」
こころなしかうきうきとした様子の悠真にライトが流石にもう少し自分からも行動すべきかと内心申し訳なさを感じているとカチャカチャとキッチンで支度をする音がした。
「悠真」
「えっ、」
装飾の多い上着を脱いでキッチンにいる悠真に後ろから抱きつく。
普段自分から甘えることの少ないライトからの抱擁に驚いたのかコップに注いだ状態で固まってしまった悠真の手から溢れそうになっている牛乳を掴んで台に置く。
「悠真、」
もう一度名前だけを呼ぶ。
熱の籠る声に悠真の心臓が忙しなさを増す。
ライトがもごもごと口籠る気配を感じたあと僅かに息を吸い込む音。
「…今日はあんたに愛されに来たんだが」
耳元で囁かれたそれに悠真が勢いよく顔面に手を当てる。バチン!!と大きな音が鳴った。
それにピクリとライトの肩が揺れる。
僅かに緩んだ抱擁にぐるりと無理やり後ろを向くと頬をほんのり赤らめたまま目を見開いているライトの姿があった。
ライトの首に手を回し唇を押し付ける。隙間から舌をねじ込めばピクリと震える身体に興奮する。
そのまま口内を舐め回していると苦しかったのかペしっと背中を叩かれた。
「ここは、嫌だ」
口元を乱暴に拭いながら酸欠でか潤んだまま物言いたげに睨むペリドットを見つめ返す。
「そんな可愛いことされて我慢できる訳ないでしょ」
興奮で茹だる心のままに次は触れるだけのキスを落とした。