おいていかれたひと先程まで全身を蝕んでいた激痛がゆっくりと引いていく。
身体全体が鉛のように重い。
急速に冷えていく身体に無理やり頭を動かし下を向けば嫌な赤が眼下に拡がる。
視界がぐにゃりと歪む。
ふと世界が回りぐしゃりと遠くで音がした。
頬が、生暖かいものに触れる。
それが己の流した血溜まりに頭から倒れ込んだせいだと、分かった頃に何の感覚も感じなくなっていた。
死ぬってこんなものなのか。
ゆっくりと、暗闇に沈み込むような感覚に包まれた。
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『カリュドーンの子、ライトが死んだ』
そんな根も葉もない噂を耳にした。
どうにもここ数日姿を見せていないこと、
カリュドーンの子のメンバーが忙しなく動いてること、
血塗れのチャンピオンを見た人間がいるとのこと、
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