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    Lupinus

    @lupi_eggplant

    テキストを投げ込むスペース/主刀/ファンチェズ

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    POIPOI 56

    Lupinus

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    男さにわ×鬼丸くん(さに鬼)の現パロのようなもの第2回
    この設定https://poipiku.com/IllustViewPcV.jsp?ID=1092520&TD=3153950のようなものの続き すけべ導入への道(まだ全年齢)
    前回(出会い編)はhttps://poipiku.com/IllustViewPcV.jsp?ID=1092520&TD=3520184

    ##主刀

    ※その後鬼退治を終えた後もなんとなく粟田口の鬼丸さんちに通うようになった主人公が、しばらくして大学の先輩の鶴さん(五回生)に三条大橋西端のカフェに誘われる回
    ※ちょっとだけシリアス
    ※全体が書かれる予定はないです

     おごりだというからついてきたものの、新作のフラペチーノでもてなされる理由がわからない。見せられるようなノートは持っていないし、学食の割引情報に詳しいわけでもないのに。
    「で、その後調子はどうなんだい?」
     鶴さんはふだんから世話になっている先輩のひとりで、このところやけに運が悪くて凹んでいるという話はした。その後髭切先輩の紹介で出会った粟田口の鬼丸さんなる人物に鬼を切ってもらった話もしたし、その鬼丸さんが鶴さんとも知り合いだったのも聞いた。
     それにしたって、お茶をしながら最近どう?なんて尋ねられたのは初めてではないだろうか。
    「え。それはその、嘘みたいによくなりましたね。電車も遅れないし自転車もパンクしないし、忘れ物もなくなって」
    「だろう? やっぱりあいつが切ってくれたんだろうさ、きみにつきまとってた鬼を」
     旧友の活躍が嬉しいのか鶴さんは無邪気に笑っている。
    「は、はぁ……」
     あの日山科の廃墟で見た光景はやはり夢だったのではないかと思っている。あんな怪物が目の前に現れて、しかも鬼丸さんは日本刀を抜いたとたん時代劇の登場人物みたいな姿に変身するなんて、まるで映画のワンシーンだった。
     しかしあれ以来不運な出来事はぴたりと止まったし、鬼丸は今も粟田口の古い家で暮らしている。大学からの帰りに何となく足を向けては古い家の手入れを手伝ったり、時折彼を訪ねてくる知人たちと顔を合わせたりもしている。
     だが鬼丸本人のことは、今になっても何一つわかっていないのだ。
    「あの、鬼丸さんってどういう人なんですか。
     先輩たちと知り合いってことは同学年で、進学も留年もしないで卒業したってことでいいんですか。それにあの家、市内のど真ん中なのにあんなに古いまま残ってるし、もしかしてすごく由緒ある一族の出身とかなんですか」
     髭切先輩から紹介された時点で相当な変わり者だろうとは予想していたが、隠語でもたとえ話でも何でもなく文字通りの鬼退治をやってのける人間が現代に生きているなんて。この目で見なかったらとても信じられない。

     いちいちうなずきながらにこにこと話を聞いていた鶴さんが急に真顔になる。
    「なぁきみ、妙なことを聞くが」
     この顔が出たときはたいてい本当に妙な質問が飛び出すのだが、今回はそのなかでも度を超していた。
    「鬼丸の頭に角が生えてるのを見たことがないか? いや、太刀を抜いて鬼と戦ってる最中じゃなく、日常のふとした瞬間にだ」
     なぜ知っているのか。
     初めて会った日、薪割りをする鬼丸の後ろ姿を前にしたとき、側頭部から長く伸びる角が見えたことを。あのころはまだ刀を抜いたあとの姿など想像もしなかったのに、どうして鬼丸に角があると思ったのかは今もわからない。もちろん誰にも言ったりはしなかった一瞬の目の錯覚を、どうして鶴さんが知っているのだろう。
     答えられずにいるあいだの表情から鶴さんはすべてを察したらしい。
    「……なるほどなぁ。髭切がきみを鬼丸のところへやったのはそういうわけか」
     飲み干したずんだフラペチーノを脇に押しやり、鶴さんはわずかに身を乗り出した。
    「髭切に聞いたと思うが、鬼丸はこの街で鬼を切る仕事をしてる」
     昼日中の、鴨川に等間隔に並ぶカップルを眺められるカフェでする話題ではない。現場を見ていなかったら冗談はやめて下さいと今すぐ席を立っていた。

     オカルト映画のストーリーとしか聞こえない話を鶴さんは平然と続ける。むしろそうとしか聞こえないからこそ、学生だらけのこんなカフェで誰にも怪しまれずに済んでいるのかもしれない。
    「鬼を切るってことはつまり、鬼と接触する機会が増えるってことだ。戦いの中、間近で鬼の瘴気を浴びるうちに、だんだんとあいつ自身が鬼に近付いてくのは避けられない。
     刀を振るうときの姿はもとより、なんてことない日常でも、ある種の人間の目にはあいつ自身が鬼に見えちまうくらいにな」
    「な、なんなんですか、そのある種の人間って」
     答えはない。さらに顔をぐっとこちらに寄せて鶴さんは続ける。
    「それを止めるには、鬼の力と相反する霊力を持つ人間の助けが必要になる。
     そんな力を持った人間はめったにいないし、まず自分がそんな力を持ってることに気付いていない……が、見つけるのは実はさほど難しくない。そういうやつは鬼に狙われがちだからな、鬼退治をするあいつとは必然的にかかわることになる」
     ついこのあいだまで鬼に狙われていた人間相手の前でこんな話をされれば、さすがに隠れた意図も透けて見えるというものだ。
    「……あの。鬼に狙われがちってやつ、ちょっと心当たりがあるんですけど、なんでそんな危険な目に遭わなきゃいけないんですかね」
    「そりゃあきみ、鬼にとっては目障りな存在だからじゃないか?」
     鬼に聞いてみたわけじゃあないが、と鶴さんは笑う。この人なら鬼にインタビューしていたとしても驚かない。
    「髭切がわざわざきみを粟田口まで行かせて、あいつと引き合わせようとした時点で妙だと思ったぜ。
     いつもなら、あの辺で鬼が人を襲ってるよって鳩を飛ばして終わるからな」
     あの先輩が伝書鳩まで飼っているとは知らなかった。
    「ちょ、ちょっと待って下さいよ」
     自分になんだか特別な力があるらしいのはわかった。鬼丸さんの角が一瞬見えたのもそのせいかもしれない。しかし自分で意識して身につけたものではないし、最近になって鬼に狙われるまで特に困ったこともないから、それで何かが変わるわけではない。
     が、鬼丸がだんだんと鬼に近付くという話を思い出すと事情は変わってくる。
    「そんな力があるんだったら、これからもなるべく鬼丸さんのところに顔を出して、何か鬼にならないように儀式とかしたほうがいいんですかね」
     鬼を切ってもらった人だし、無愛想なりにいい人だから付き合いは続けていきたい。いっしょにセミの声を聞きながら井戸で冷やしたスイカを食べたり、親戚の小学生たちを相手に人生ゲームをやったり、大学ではできないような交流も楽しんでいることだし。
     ただ鬼になるのを止めるとか、そんな陰陽師みたいなスキルはまったくない。サークルの資料室をひっくり返せば参考書でも見つかるだろうかと途方に暮れている前で鶴さんは屈託なく笑う。
    「なぁに、そう難しいことじゃない。なるべく近くで、なるべく親密に過ごすだけでじゅうぶんだ」
    「親密って言われても。とりあえず今くらいのペースで、引きつづき放課後に顔出すようにすればいいですかね」
     学校からそう遠くないし、今も週に一度は足を運んでいる。そのくらいの協力なら無理なくできそうだ。
     が、鶴さんの合格ラインには達していなかった。
    「んー、もう一声」
    「泊めてもらったりしたほうがいいですか? あっ、もちろん鬼丸さんが許してくれればの話ですよ」
     見た目は古いがこざっぱりと整えられているし風呂はリフォームされていた。盆地のど真ん中だが、周囲を緑に囲まれているせいかこの季節でも快適に過ごせるし、電波も入るから自分としては宿泊は苦にならない。問題は鬼丸さんがうなずくかどうかだ。
    「泊めてもらってどうするんだい」
     それにしても鶴さんはさっきから何がそんなに楽しいのだろう。
    「遅くまでお酒でも飲んで語り明かすとかですかね。話弾むかわかりませんけど」
     いつの間にやら泊めてもらえる前提で話をしていた鶴さんが急に無表情になる。
    「なぁ、もしかして髭切は何も言ってなかったのか?」
     何を言われていてほしかったのかよくわからない。
    「何も、って何がですか。鬼を切ってくれるから会いに行ってごらん、くらいですよ」
     ははぁ、と溜息だか納得だかわからない音を出し、ぐぐっと額を寄せた鶴さんが今日いちばんに声を低くする。
    「霊力を分け与える一番手っ取り早い方法はなぁ、恋人同士みたいに一夜を過ごすことなんだよ」
    「はい?」
    「だから」
     本気にしたかい冗談だよと笑うかわりに、鶴さんはぜったいに周りから聞こえない声量でささやいた。
    「抱いてやれと言ってるんだ」
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    recommended works

    Norskskogkatta

    PAST主麿(男審神者×清麿)
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀

    今まで審神者の分は買ってなかったのに唐突に自分の時だけ買ってきて見せつけてくる主におこな清麿
    「ほらこれ、清麿のうさぎな」
    「買ったんだね」
    主に渡されたのは最近売り出されているという僕ら刀剣男士をモチーフにしたうさぎのぬいぐるみだ。面白がって新しい物が出るたびに本刃に買い与えているこの主はそろそろ博多藤四郎あたりからお小言を食らうと思う。
    今回は僕の番みたいで手渡された薄紫色の、光の当たり具合で白色に見える毛皮のうさぎに一度だけ視線を落としてから主の机の上にあるもうひとつの僕を模したうさぎを見やった。
    「そちらは? 水心子にかな」
    「ほんと水心子のこと好きな」
    机に頬杖を突きながらやれやれと言った感じで言う主に首をかしげる。時折本丸内で仲のよい男士同士に互いの物を送っていたからてっきりそうだと思ったのに。
    「でも残念、これは俺の」
    では何故、という疑問はこの一言ですぐに解消された。けれどもそれは僕の動きを一瞬で止めさせるものだった。
    いつも心がけている笑顔から頬を動かすことができない。ぴしりと固まった僕の反応にほほうと妙に感心する主にほんの少しだけ苛立ちが生まれた。
    「お前でもそんな顔すんのね」
    いいもん見たわーと言いながらうさぎを持ち上げ抱く主に今度こそ表情が抜け落ちるのが 506

    Norskskogkatta

    PAST主こりゅ(男審神者×小竜)
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀

    小竜視点で自分の代わりだと言われてずっと考えてくれるのは嬉しいけどやっぱり自分がいい小竜
    「ね、みてこれ! 小竜のが出たんだよー」
    「へーえ……」
    我ながら冷めきった声だった。
    遠征帰りの俺に主が見せてきたのは俺の髪の色と同じ毛皮のうさぎのぬいぐるみだった。マントを羽織って足裏には刀紋まで入ってるから見れば小竜景光をイメージしてるってのはよくわかる。
    「小竜の代わりにしてたんだ」
    「そんなのより俺を呼びなよ」
    「んー、でも出かけてていない時とかこれ見て小竜のこと考えてるんだ」
    不覚にも悪い気はしないけどやっぱり自分がそばにいたい。そのくらいにはこの主のことをいいなと感じているというのに本人はまだにこにことうさぎを構ってる。
    今は遠征から帰ってきて実物が目の前にいるってのに。ましてやうさぎに頬ずりを始めた。面白くない。
    「ねぇそれ浮気だよ」
    「へ、んっ、ンンッ?!」
    顎を掴んで口を塞いだ。主の手からうさぎが落ちたのを横目で見ながらちゅっと音をさせてはなれるとキスに固まってた主がハッとしてキラキラした目で見上げてくる。……ちょっとうさぎが気に入らないからって焦りすぎた。厄介な雰囲気かも。
    「は……初めて小竜からしてくれた!」
    「そうだっけ?」
    「そうだよ! うわーびっくりした! 619

    Norskskogkatta

    PAST主般/さにはにゃ(男審神者×大般若)
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀

    主に可愛いと言わせたくてうさぎを買ってきたはんにゃさん
    「どうだいこれ、可愛らしいだろ?」
    主に見せたのは最近巷で話題になっている俺たち刀剣男士をモチーフにしたうさぎのぬいぐるみだ。といっても髪色と同じ毛皮に戦装束の一部を身につけているだけだが、これがなかなか審神者の間で人気らしい。
    「うさぎか?」
    「そうそう、俺のモチーフなんだぜ」
    うちの主は流行に疎い男だ。知らないものを見るときの癖で眉間にシワを寄せている。やめなって言ってるんだがどうにも治らないし、自分でも自覚してるらく指摘するとむっつりと不機嫌になる。そこがこの男の可愛いところでもあるがそれを口にすると似合わんと言ってさらにシワが深くなるからあまり言わないようにはしてる。厳しい顔も好きだがね。
    そんな主だから普段から睦言めいたものはなかなか頂けなくて少しばかりつまらない。そこでちょっとこのうさぎを使って可愛いとか言わせてみようと思ったわけさ。
    主に手渡すと胴を両手で持ちながらしげしげと眺めている。耳を触ったり目元の装飾をいじったり。予想よりだいぶ興味を示してるなぁと見ているときだった。
    「ああ、可愛いな」
    主が力を抜くように息を吐く。
    あ、これは思ったより面白くないかもしれない。そ 874

    Norskskogkatta

    PAST主村/さにむら(男審神者×千子村正)
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀
    なんだかよくわからないけどうさぎのぬいぐるみが気に入らない無自覚むらまさ
    「顔こわいんだけど」
    「……huhuhu、さて、なんででしょうね?」
    近侍の村正がいつも通り隣に控えてるけどいつもより笑顔が怖い。
    手の中には村正と同じ髪色のうさぎのぬいぐるみがある。休憩中の今は最近販売されたそれを手慰みにいじっていたのだった。
    「尻尾ならワタシにもありマスよ」
    ふわふわの丸い尻尾をつついていると村正が身体を捻って自分の尻尾をちょいちょいと触る。普段からそうだけど思わせぶりな言動にため息が出る。
    「そういう無防備なことしないの」
    「可笑しなことを言いますね、妖刀のワタシに向かって」
    刀剣男士には縁遠い言葉に首を傾げつつも村正はいつもの妖しげな笑いのままだ。わかってないなぁとやり場のない思いをうさぎに構うことで消化していると隣が静かだ。
    ちらっと横目で見てみると赤い瞳がじっとうさぎのぬいぐるみを見つめている。その色が戦場にある時みたいに鋭い気がするのは気のせいだろうか。
    「なに、気になるの」
    「気になると言うよりは……胸のあたりがもやもやして落ち着きません」
    少しだけ意外だった。自分の感情だったり周りの評価だったりを客観的にみているから自分の感情がよくわかっていない村正 828

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり

    共寝した次の日の寒い朝のおじさま審神者と大倶利伽羅
    寒椿と紅の花
     
     ひゅるり、首元に吹き込んだ冷気にぶるりと肩が震えた。腕を伸ばすと隣にあるはずの高すぎない体温が近くにない。一気に覚醒し布団を跳ね上げると、主がすでに起き上がって障子を開けていた。
    「あぁ、起こしてしまったかな」
    「……寒い」
    「冬の景趣にしてみたのですよ」
     寝間着代わりの袖に手を隠しながら、庭を眺め始めた主の背に羽織をかける。ありがとうと言うその隣に並ぶといつの間にやら椿が庭を賑わせ、それに雪が積もっていた。
     ひやりとする空気になんとなしに息を吐くと白くなって消えていく。寒さが目に見えるようで、背中が丸くなる。
    「なぜ冬の景趣にしたんだ」
    「せっかく皆が頑張ってくれた成果ですし、やはり季節は大事にしないとと思いまして」
     でもやっぱりさむいですね、と笑いながらも腕を組んだままなのが気にくわない。遠征や内番の成果を尊重するのもいいが、それよりも気にかけるべきところはあるだろうに。
    「寒いなら変えればいいだろう」
    「寒椿、お気に召しませんでしたか?」
     なにもわかっていない主が首をかしげる。鼻も赤くなり始めているくせに自発的に変える気はないようだ。
     ひとつ大きく息 1374