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    bksinto

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    bksinto

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    初夜ネタ書きかけ。
    弊本丸で岩膝がくっついた直後の話。
    ものすごい前からここで止まっている……初夜えちえち書きたい……

    ――明日の夜、部屋を訪ねてもよろしいか。


    そう言って文を差し出して来た岩融の表情は、一見いつもと変わらぬ笑みを湛えてはいるけれど、どこか固く強張っているように見えた。
    はて、と膝丸は胸中で首を捻る。……何故、部屋に来る程度の事で伺い立てが必要なのだろうか。加えて、口頭で要件を伝えているにも関わらず文を差し出してくる――その意図が分からない。
    「……無論、お嫌でなければ、だが……」
    「…………?」
    何やら、妙に言葉の歯切れも悪い。益々もって意が汲めず、膝丸は眉を顰めた。
    (…………何だ……?)
    軽く目を伏せ、頭の中で理由を想像してみる。用意された文、部屋を訪ねる――夜、に……。
    (…………夜?)
    そこを強調する、その意味――そしてふと、思い出す。明日の夜、更にその翌日は確か互いに出陣も当番事も無い、非番の日。
    (…………つまり?)
    ――つまり、それは。
    「…………!」
    「――その!……その、無理を強いるつもりは、……っ」
    「……いやっ、それは――それは、別に……」
    はたとその意図に合点がいって、途端に首から上の温度が上昇したような気がした。それにつられてか、または面映ゆさが勝ったのか、岩融もまた頬に赤いものを頬に漂わせながら彼らしくもなく、視線をそわそわと彷徨わせる。――やはり、そういう事、で間違いないらしい。
    「…………別に、厭うことなど、何も――」
    「……!そうか……!」
    「…………!」
    深く安堵したように、岩融は表情をほころばせた。 ――戸惑いが先立ってつい目を逸らしてしまったし、あまりに曖昧と言おうか因循な物言いになってだろうか、と思ったけれど。
    (…………何というか)
    良かった、と柔く下がる眉。それを見上げて、知らず強張っていたらしい気分がゆるりと和らいだような感覚を得る。……言い方がどうであれ膝丸の是と言う返答に、この上ない喜色を満面に浮かべる様子が――上背も体格も一回り以上大きな男に対しそぐわないかもしれないけれど、何とも可愛らしく思えた。
    「……では、詳しい時間などについては――明日、改めて……」
    「…………ああ」
    丁寧に畳まれた和紙。
    それを受け取る指先が僅かに震えたのは、果たして気付かれなかっただろうか。



    【岩膝】初枕にて



    落ち着かない気分を抱えたまま自室へ戻り、膝丸は真っ先に文机へと向かった。
    何となく正座で、深く呼吸を整えてから文を開くと、白い檀紙には香が焚き染められているのかふわりと柔い薫りが立った。
    そして現れる、あの大きな手からは想像もつかないような細く流麗な筆致。
    知らず息を飲み、膝丸は文字に目を落とした――書き損じはなど一切なく、滑らかに綴られているその内容はさして長いものではない。
    けれど、ただ真っ直ぐな膝丸への想いから始まり、つい先日、千年の時を経てようやく告げられた心を受け入れて貰えた、それに対する歓喜と謝辞。
    高貴なる御身の肌へ触れたいと言う望みを、厚かましい事とは存ずるも願わくば浅ましきものよと排斥せず、受け入れて頂きたく願う、と。
    「………………」
    深く息を吸い、深く吐き出す――顕現して、ようやくふた月ほど。感情の機微に関してはある程度、一通り味わったつもりでいたけれど、まだまだ説明のし難い心と言うのは数多く存在するらしい。
    とりあえず読んでしまって、それで気持ちを落ち着けようと思ったのに――胸中の搔乱は収まるどころかより拍車をかけられただけだった。
    「……はー……」
    再度、文に目をやる。
    ため息がこぼれるほど見事な手跡で綴られているのは、あまりに率直な彼の心。――戦場では巌をのような巨躯を、さながら猛獣の如く躍動させる男だけれど、その見た目に反して雅量に富み、典麗さを携えているのは以前から知っていたけれど。
    (……このように――この、ような……)
    文面だけではない。まず、この紙――全体に広がる細やかなちりめん状のしわが目にも美しい檀紙は、もちろん支給品ではありえないだろう。
    文字を書くに際しても、日常で皆が使用しているのは審神者の時代より取寄せた利便性の高い筆記具だと言うのに、わざわざ墨を磨り毛筆を用いている上、白檀と思しき文香が施され、開けば甘く薫るその趣向。
    細部にまで至る気配り、全てを準備し整えるその過程にすら、彼の心が尽くされているのだと言う事が胸を突いた。
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