長義「自分の写しを好きになってしまったんだけど…」 長義「自分の写しを好きになってしまったんだけど…どうしたらいいかと思っているんだよね…」
長谷部「…どうして今それを言った?」
蜂須賀「いつもの自信はどこにいったんだい?告白すればいいじゃないか」
長谷部「だからなぜ総出で溜まった仕事の缶詰してる今言い出した」
長義「告白、ねえ…」
長谷部「おい聞け」
歌仙「ああ、彼には言葉にしないと伝わらないだろうね。そういう刀だよ」
長義「…だよね。でも、うーん…自分の写しを好きになるって言うと…こう、背徳感みたいなのがあるだろう?それはどうかなって…」
宗三「何突然マニアックな話にしてるんですか」
歌仙「近親婚みたいな感じかい?昔と違って、昨今は禁止されているし」
長義「え、結婚はまだ考えてないかな…」
長谷部「…うん?まだ?」
加州「というか、別にお前ら兄弟でも家族でもないでしょ。はい追加書類」
宗三「まあ、そこまで似てませんしね…僕も兄弟は好きです」
加州「知ってる」
蜂須賀「俺も弟は、好きだよ」
加州「それも知ってる」
長曽祢「おれも弟達が好きだな」
加州「それも知ってる…ってそろそろしつこい!」
安定「なになに、どうしたの。兄弟自慢?」
歌仙「いや、発端はそこの山姥切が山姥切を好きという話だったんだよ」
安定「それって応援?茶々入れ?」
豊前「ひとの恋路に茶々入れってしつれーな…応援してやれよ」
長義「ひとの恋路は酒の肴みたいな中で突然の良心に正直のところ驚いてる」
豊前「お前も自分で言うなって。俺は応援するぜ、お前のこと」
兼さん「つくづく眩しいよなこいつ」
歌仙「大丈夫、君も割と眩しいよ」
兼さん「お、おう…?」
たぬ「というかよ、この部屋に仕事持ち込むなよ…勤怠履歴と業務量の計算が狂うって今週の持ち回りが嘆くぜ」
歌仙「その持ち回りのそこの山姥切が持ち込んだからね、全部彼の責任ということで」
長義「え、いやなんだけど?提案は歌仙だろう?」
安定「それにしても山姥切かあ…ある意味手強そう」
兼さん「あーわかる、カメラ探しそうなとこあるよな。で、『ドッキリか?』って聞いてくる」
たぬ「それこの前のお前だろ。初売りの福引で旅行券当てた時のお前の反応」
兼さん「あれは仕方ねーだろ!びっくりしすぎたんだよ!」
南泉「大体、お前あっちの山姥切にほんのり避けられてるだろ」
長義「はあ?避けられてないよ。お前の目は節穴なのかな猫殺しくん」
南泉「オレは両目2.0だ、にゃ!あいつ、『俺はあいつの機嫌を損ねてしまうようだから、どうしたらいいかわからない…』って山伏の奴に話してたぜ」
むっちゃん「それあんまり似ちょらんぜよ…」
南泉「物真似じゃねーからな?!」
長義「何それ初耳なんだけど。なんでそういうことを俺には何も言わずに兄弟には言うんだ」
亀甲「ひょっとしたら、最大のライバルは兄弟かもしれないね…。さっきの背徳感も兄弟の方が上かもしれないし」
長谷部「それはあの山姥切が背徳感を求めているということにならないか?」
加州「ないない。あの天然培養朴念仁に限って」
宗三「いえ、わかりませんよ。古典的ですが、あれで火遊びしたいのかもしれません」
兼さん「山伏や…あー…ちょっと考えたくねえけど、その、国広相手に火遊びできるかぁ?」
蜂須賀「出来ない…というより、彼ら自身が一番火遊びから遠くないかい?」
長義「なるほど…あいつが火遊び、ね…演出するか…?」
長曽祢「…いやいやいや、今の話だと単に話しにくいからじゃあないのか?」
村正「そうデスね…まさか、山姥切は直接『あんたとは話しにくいんだ…すまない…』とか山姥切に言われたいのデスか?」
安定「あ、今のちょっと似てた」
長義「何言ってるんだ、嫌に決まっているだろう」
むっちゃん「おんしも難儀なやつじゃのう…」
豊前「避けられてる疑惑があるんなら、振られる可能性もあるんじゃねえの?どうするよ」
長義「…ノーと言わせないようにする?」
長谷部「…はあ?!?!」
歌仙「生真面目な刀には刺激が強いらしいよ」
長義「え、まだ具体的にどうするとは言ってないよ、むっつり長谷部くん?」
長谷部「きっっっさま…っ!!」
亀甲「はいはいどうどう、お水飲んで落ち着こう。まあ、いざとなったら畳み掛けの必要はあるかもね」
加州「うーん、話したいけど話しにくいということは嫌いとかじゃないんじゃない?」
長義「それにしてもそうか、振られる可能性は考えてなかったな」
宗三「考えてなかったんですか」
伽羅「……なんだ、まだ書類整理やっていたのか」
むっちゃん「丁度ええところに伊達男が!ちっくと相談事に乗っとおせ!」
兼さん「そうだ、ついでにこっちの書類も手伝ってくれよ」
伽羅「はあ、なんで俺が…そもそも、もう終わってもいい頃だろう、揃いも揃って何をやっていたんだ」
安定「何って…恋愛相談?」
伽羅「…帰らせてもらう」
豊前「まあまあ、待てよ。こんな状況で出てきた相談事だ、余程深刻なんだろ」
宗三「さっき振られることも考えてないって言ってましたよ」
伽羅「なら好きにすればいい、俺が知るか。……どの書類だ」
加州「イケメンの権化!こっちの書類お願い!」
兼さん「オレの分手伝ってくれ!」
蜂須賀「都合もよければ調子もいいね君たち…」
歌仙「自分で目を通さないと後で伝達ミスで痛い目見るよ」
たぬ「ほんと刀なのになにやってんだろーな…」
安定「それにしても、ストレートな告白じゃ伝わらなさそうって、どうしたらいいのかな」
長曽祢「そういうときはな、行動あるのみだ」
蜂須賀「その行動をどうするかって話をしたいんだろう」
長曽祢「あー…だから、ほら、花束渡す…とか…?」
村正「贈り物は受け取ってもらえないと意味ないデスよ」
歌仙「ほらね、こういう時のために歌があるんだよ」
兼さん「あいつ『歌仙の言う雅というのはいまいちわからんがな』って零してたぜ」
歌仙「…なるほど、そこから教育する必要があるのか」
長義「え…そんなに待てないんだけど」
亀甲「教育の名目で近付けばいいんじゃないかい?」
たぬ「詐欺かよ」
加州「結局、こーゆーのってストレートな言葉が1番聞くよ。変に飾り立てるより、好きだって誠意を込めるのがいい気がするけどなあ」
安定「普段飾り立ててるお前がそれ言う?」
加州「見た目は飾って言葉は直球のギャップ萌え狙ってんの!」
長谷部「なんだそれは…が、まあ一理あるな」
南泉「でもこいつ日頃の行いのせいでストレートな言葉に信憑性がねえんだよ」
宗三「もうそれダメでは?心の内に秘めた恋もまた美しい、ということで手打ちに」
歌仙「雅だね、1句読みたいところだよ」
長義「勝手に終わらせないでくれるかな?」
狐「すみませ~ん!どなたか開けて頂けませんかー!」
豊前「ん?ああ、お前はあの狐の」
狐「先程戻りました!」
兼さん「お疲れさん。本体はどうしたよ?」
狐「鳴狐でしたら、今はくり…………いえ、なんでもございません!少々用事が、」
村正「くり…?厨デスか?」
狐「ちっちがいます!!」
村正「…詮索しないでおきまショウ」
狐「ぐぅ…」
……… …
鳴狐「…ありがとう」
まんば「別に礼を言われるようなことじゃない。だが、兄弟が言うには、厨の奥にある油揚げは来客用らしいからな」
鳴狐「……ん、秘密」
まんば「…ああ、頼む。あんたの狐はもう部屋か?」
鳴狐「…」
まんば「わかった。もう皆寝ている時間だろうし、持っていこう」
狐「なんとっ!それでは山姥切殿は山姥切殿に告白されるのですね!」
加州「しーっ!声が大きい!」
鳴狐「……、」
まんば「…っ?!?!」
鳴狐「…………する、の?」
まんば「し、しない!知らない!」
伽羅「…油揚げの匂いがするんだが」
狐「あっ」
亀甲「あー…油揚げ取ってきてもらってたんだね」
たぬ「おい、山姥切、まんばのやつ逃げたぞ」
長義「追いかける!」
歌仙「賑やかだねえ」
村正「今夜半すぎなのではなかったデスか」
長谷部「あ…おい待て山姥切他の部屋には行くな!」
むっちゃん「おんしまで行ったら…!って行ってしもうた…」
長義「おま、待てっなんで逃げるんだよ!」
まんば「お前が追いかけてくるからだ!」
長義「追う前に逃げただろうが!チッ本丸だと地の利が悪い…っ」
狐「山姥切殿、こちら抜けると向こうの廊下に出ますよ!」
長義「お前は狐の…」
狐「先程の失礼のお詫びと思ってください!」
鳴狐「…頑張って」
宗三「…あれ、どう思います?」
安定「雨降って地固まるんじゃないかな」
伽羅「太刀の連中あたり、起きるんじゃないのか…眠りが浅い厄介なやつもいる」
たぬ「格好の餌食じゃねえか」
兼さん「厄介?口出しとかはしてこないと思うけどな」
伽羅「…歓迎ムードが厄介だ」
宗三「ああ、なるほど…」
まんば「…っはあ、撒いたか…それにしても、山姥切が…なんで…」
長義「そういうの、フラグって言うんだよ。よく覚えておくように」
まんば「っ、山姥切?!嘘だ、確かに撒いて…って何をする、離せ!」
長義「離したら逃げるだろう」
まんば「当たり前だ!」
長義「そう宣言されて離せるか!」
加州「こんな恋愛漫画みたいな展開生で見るの初めてなんだけど…」
歌仙「静かに。バレてしまうよ」
長谷部「追いかけてきたらこの有様でひたすら気まずいんだが…部屋に戻りたい…書類が恋しい…」
豊前「……なあ…ここ、太刀の部屋の前じゃねえ?」
亀甲「今更だけど止めた方がいいかな…遅いか…」
まんば「大体なんなんだ告白って!全員で俺を笑いものにしようとかそういう魂胆か!」
長義「被害妄想甚だしい。俺は本心でお前が好きなんだよ、愛してるんだよ、冗談にされてたまるか…!」
まんば「み、耳元であ、愛してるとか、言うな…っ!」
長義「じゃあなんて言えばわかるのかなお前は!」
まんば「…」
長義「…」
まんば「…、わ、わかった…わかったから…一旦その、離してくれないか…もう逃げないから…」
長義「…仕方ない」
まんば「…、」
長義「…ほら、逃げないんだろう?」
まんば「……わかった」
蜂須賀「あれ、山姥切?お茶は今入れてきたけど…って山姥切も帰ってたんだね」
長曽祢「……あ、おい蜂須賀待っ…」
蜂須賀「ここ、太刀部屋の前だけど、何かあった?」
まんば「えっ…」
長義「あ…」
蜂須賀「…ど、どうしたんだい?!」
長曽祢「すまん、弟がトドメさしてしまったな…そっとしておこう」
蜂須賀「貴様のような兄はいない…が、そうした方がいいみたい…だね」
まんば「絶対起きてる聞かれてる…」
長義「ちょっと崩れるなよ…俺の方が多分ダメージ大きいんだから…ところでお前、油揚げの匂いしない?」
まんば「…ん、鳴狐の狐の分の…渡さないと」
長義「…ああ、そう…」
まんば「戻る…か…?」
長義「お前が逃げないのなら」
まんば「わかったから…! 」
…
まんば「誰も…いない…?」
長義「…書類も整理されてる…終わってないけど」
まんば「ここに持ち込んだのか、そういうの良くな、」
長義「今はそういう話したくないかな」
まんば「え、あ、ああ…」
長義「で、どうする?逃がすつもりはないけど。時間を与えるとお前は首を縦に振らないからね」
まんば「…俺、の部屋がいい」
長義「…いいよ、行こう。言っておくけど、自室だからと言ってすぐに眠れると思うなよ」
まんば「そんなんじゃ…ただ、あんたの部屋だと、カメラとかしかけてありそうで…」
長義「……お前ね、この期に及んで普通ドッキリを疑う?」