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    jil85045373

    @jil85045373

    軽めのものもポンポンアップできる場所として。
    使い勝手がよさそうならベッターのもこっちに移行するかも……?

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    jil85045373

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    ナチュラルに隠居高銀。イチャイチャと喧嘩。

    料理する高銀の話(高銀)ニンニクと生姜を擦り下ろしながら、銀時はふと気がついた。
    ーー俺はなぜ、料理の仕込みなんかしているのだろうか、と。
    もちろん、食べるためではあるのだが、問題は食卓につく相手だった。
    新八も神楽も今夜は出かけていていない。
    銀時ひとりだけの食事であれば、ごはんに海苔の佃煮ぐらいで事足りる。
    おろしたものに醤油と日本酒を加えてよくかき混ぜる。味をみて少しの間うなり、味噌をほんのひとさじ足すことにする。
    次に取りだした鶏のこま切れ肉の水気をキッチンペーパーで拭いていく。面倒臭いことだが、このちょっとしたひと手間が味に大きく関わったりするものだ。
    ポリ袋に鶏肉と作った漬けダレを入れて揉み込む。モミモミと揉みながら、銀時は不機嫌そうに眉をひそめる。
    自分一人の食卓に、こんなに丁寧な仕込みなんてしない。もちろん美味しいものは大好きだが、ある程度美味しければ腹に入れば一緒である。
    「なんでこんな面倒臭いことしてんだ俺は……」
    そうぼやきながら鶏肉を漬けたポリ袋を冷蔵庫に戻して寝かせる。
    その間に小鍋を手に取り、水を入れる。そして昆布を取り出すと、濡らして絞った布巾で表面をさっと拭き、鍋の中に入れる。
    昆布だしは煮出す前に最低30分は水に浸しておいたほうが旨味が増すらしい。時間がかかるとしてもすぐに火をつけてはいけないのだ。
    「いや、いやいや、そもそもこんなん顆粒だしでいいじゃん」
    開いていく昆布を見ながらブツブツと呟く銀時。その背後に人の気配がしたかと思えば、振り向く間もなくするりと腰に手が回ってくる。
    「おい、料理中にちょっかいかけんなって何回言ったら覚えるんだテメェ」
    「火も刃物も使ってねェだろうが。今夜の飯はなんだ?」
    「テメェに食わせる飯はねェ」
    「ったく、イケズな嫁さん貰っちまったもんだ」
    「誰がテメェの嫁だ!」
    腰を抱く手をぎゅっとつねるも、背後の男は軽く笑うだけだ。
    そのままうなじにかじりついてくるものだから、思わず裏拳を入れれば、男はさっと体を離してそれを避ける。
    「マジで飯抜きにされてェのかテメェ!」
    「旦那のかわいいちょっかいだろうが。なにをそんなにカリカリしてんだ?」
    艶やかな黒髪をさらりと流し、男ーー高杉はふてくされたように口をとがらせた。
    「暇してんなら散歩にでも行ってこいよ。そうだ、定春の散歩に行ってこい」
    「犬の散歩なら朝と昼の二回もう連れてってやっただろうが」
    高杉は呆れたように言うと、再び銀時に身を寄せて、その頬に手を添えてる。
    「それに暇なんかしてねェよ。俺はこうやってテメェを愛でるのに忙しい」
    「手を洗わずに台所に入ってくるんじゃねェ」
    「テメェがいつも煩いから、ちゃんと洗ってきた」
    「ぐっ」
    「なにか手伝えってんなら手伝ってやるよ。だからそう邪険にすんな」
    「うるせェ。お前には二度と手伝いなんか頼まねェ」
    「……テメェもしかして、昨日のことまだ怒ってんのか?」
    高杉が目を見開いて、銀時の顔を覗き込む。
    それはちょうど昨日の今頃の時間。夕飯の支度の最中だった。
    料理中にもかかわらずしつこくまとわりついてくる高杉に、坂田が手伝いを命じたときのことだった。
    「じゃあ、玉ねぎ切れ。みじん切りに。目に染みて泣いても逃げるんじゃねーぞ」
    「ああ、そんくらいなら任せな」
    高杉は自信満々に言うと冷蔵庫から玉ねぎを取り出し、皮を剥く。
    そしてフードプロセッサーに入れてスイッチを押した。
    「ズルすんな!」
    「ズルじゃねェだろ」
    すかさず突っ込む銀時に、高杉がムッとして言い返す。
    「それ使うと玉ねぎ水っぽくなるんだよ!」
    「炒めるんなら別にいいだろ」
    「よくない!全然食感が違うからな!」
    「そんなに変わらねェだろ。文明の利器を使って時短して何が悪いってんだ。その分、テメェに時間が使えるだろうが」
    あっけらかんという高杉の言葉はまさに正論だった。しかし、銀時はどういうわけかそれが気に入らなくてーーこうして、子どものようにむくれているのである。
    「何がそんなに気に入らないんだ銀時?」
    「俺ばっかりみてぇじゃん」
    頬を膨らませたまま、銀時は高杉を睨みつける。
    「面倒でも……少しでもお前に美味いもん食わせてやりたいと思ってるのに……」
    そう言ったあと、ハッとした顔で銀時は自分の顔を隠す。
    「うそうそ!今のなし!お前なんか冷凍食品でも食ってろ!いや、最近の冷凍食品は普通にめちゃくちゃ美味いけど……!」
    「銀時」
    「うう」
    顔を覆う手のひらから覗く肌は赤く染っており、高杉は例えようのない喜びの感情が湧き上がってくるのを感じた。
    「銀時。テメェ俺のために……」
    「う、うるせぇ。思い上がんなよ、チビ!チビ杉!」
    「こんな可愛いテメェを前に思いがるなっていうほうが無理だぜ。このままテメェを食っちまいてェ」
    「バカ……まだ飯の支度の最中だっての。あとで……」
    「んなもん、出前でも頼めばいいだろう」
    「……だから、高杉……」
    「あ?」
    「そういうところだって言ってんだろ!バカ杉!」
    銀時のアッパーカットが高杉にクリティカルヒットする。
    ちなみに、後日この話をしたところ八対二でどちらが悪いかの意見が割れたという。
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