お題消化大罪司教として過ごした日々の方が夢だったんじゃないかってくらい、今の僕は順風満帆な生活を過ごしていた。
母親、父親、それから僕の三人家族。兄弟は今回はいなかった。その代わりに犬がいる。名前はゴロー。小さい時の僕はゴローをずっと56番って呼んでたらしい。母親は不思議がっていたけど前回の記憶が色濃く残っている僕としては目を背けたいようなむず痒い気持ちになるんだよね。大体さあ、赤ん坊とそう変わらない年の僕の行動を、大きくなったからもういいだろうって嬉々として話すのってどういう神経してるわけ?大きくなった僕のちっぽけで揺らぎようのない自尊心が傷つくじゃないか。実の子供にすら配慮が出来ない大人って恥ずかしいよねえ。個人を大切に出来ず、僕というちっぽけな存在の権利を侵害するような……じゃなくて、話が逸れた。
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