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    pap1koo

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    pap1koo

    MOURNING【炎ホ】一人眠れない夜を過ごす炎と、轟家の庭にやってきたホの話。
    ヒーローの背中 広大な轟家の屋敷は少しの物音ひとつすらせず、ただ静けさだけがそこに居座っていた。当たり前だ、ここにはもう轟炎司――すなわち、己がただ一人しかいないのだから。
     自ら家族と距離を置いたとはいえ、いつも誰かの物音がする家庭がひとつ確かにここにあった頃を、ふとした時に何度も思い出す。かといって、その場所に温かさが満ち溢れていたとはいえないが、冷えきってしまった家庭だとしても自分にとっては大事な人生の一部だった。そんな懐かしさを胸に抱えながらも布団の中で身じろぎ一つせず、ただこの重く圧し掛かるような静寂をじっと見つめていた。
     自らがしでかした過去はもうかき消すこともできない。後悔したところで事実は変わらず、今更それを家族に謝ったところでどうにもならないことは分かっている。それでも、ナンバーワンとして、プロヒーローとして、そして父親として自分の責務が何なのか、やっと進むべき道を見つけた気がしたのだ。償い続けること、そして彼らの未来を保証するために守り続けること。それをこの手にするまでは立ち止まっていてはならなかった。
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