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    コパスパロ、執行リチャ+監視ぐだ♂のネタメモやんわりプロット的な。ブロマンスくらいのつもりですが、リの心理描写をほぼ無くしてるので彼の行動理由などをご想像にお任せします。恐らくcpでもブロマンスにもどっちにも見えるようになる。
    厳密すぎず雰囲気でお願いします、設定緩め。

    #リチャぐだ♂

    執行官リチャード+新人監視官ぐだ♂執行官リチャードと監視官ぐだくん

    リチャード・・・数年前から執行官。潜在犯ともいえるがそこに悪意や邪心はなく行ったことに対しての反省はあったりなかったり。性格に難アリで既に扱いづらいが、制圧力や洞察考察思考などが激的に特化しており能力の高さという面からも上は扱いあぐねている。
    リチャードがぐだくんに従うのは、「君になら俺への判断を任せてもいいな」と信頼して託してしまっているから。だからそんな自分の手綱を持たせるためにも守っているという心情。絶対に手放してくれるなよ!という信頼からの抑止力であり、手放したらどうなるかわからないぞと言うある種の脅しにも見える。
    ぐだくんの善性とやさしさと立ち向かう力、自分のような人間にも寄り添おうとするその様に惹かれている。命がけで守るし、彼にならいつ対象にされてもいい。だが、それはそれとしてこのよく分からない上のシステムに判断されることは気に食わない模様。

    藤丸立香君・・・新人監視官、善性や真面目な側面はあるが時折の愛嬌や少し幼げな雰囲気からも学生位に見られがち。人員不足もあっていったん様子見の形で補佐もありつつリチャードという人と組まされたら、めちゃくちゃ気に入られてしまい結局丸投げされる。新人にしては重すぎる荷だが持ち前の人の良さで良関係。システムを一応信頼してるが、あまり深く考えないようにした、この立香くんは異議の声を上げなかった。最初はリチャードの優秀さにちょっとだけ憧れていた。

    ……
    ①ぐくんとリチャの出会い。現場初現場で対峙、兄貴性分からか今日からよろしくな!と挨拶を受けて随分気さくなんだな…と距離忘れそうになったり、判断力とか把握能力の速さに素直に尊敬しちゃうし、カリスマ性のせいか普通に引っ張られてしまう。でも彼が執行官で潜在犯なのか…とももう一度気を引き締める。監視官らしくちゃんと「慎んでください、あの!」とかちゃんと言ってる。先輩監視官がかわいいなぁ…とか思いつつも、何か合ったり辛くなったらすぐ言うんだよ。とアドバイス。優しすぎると脆いから…
    ②任務でそれはそれとして、リチャの扱いは先輩も緊張していてリが何かあるたびに立香君へちょっかいかけたりやけに距離詰めたりするのを、心配している。懐柔のつもりかと、二人のタイミングで尋ねたら、「全くそんなつもりはない、ただ彼に俺の手綱を握っててほしいと思っただけだ」と聞いたことないこと言いだす。上に報告すると、ペアに。先輩ネキ(上司!?)となるがとりまの様子見だといわれ安堵。しかし、実際過去一彼は安定し藤丸監視官の態度に逆上もなく穏やかに過ごし、良好さを見せた。立香くんもリチャを結構付き添いやすい執行官なんだなと、なり始めた。
    ③二人のセットが決まる。試運転から今に至るまで好調で安定が見られた。上も容認、されど一つリチャードの危険性を危惧してか目に見える首枷が付けられることになった。立香くんが「そんな…本当に必要なんですか!?」としぶしぶ自らの手で付ける羽目になり、リチャードに謝るが彼は「ん?あぁ気にするな。こういうのは慣れてる、寧ろ上からしたらかなりの妥協だろうな」「?これで妥協…??」と首傾げ。リチャードは笑って一緒にまた昼食を食べるのだった。
    ④気になってリを調べるぐ君。リのいたところを知ったのと、あとは権限的にみれなくてえぇ…となる。そして調べものの部屋から出てきたところで「立香」とリチャードに声をかけられてびくっとなるが、平静を装う。だがリチャードがリツカくんの様子を察して「呼吸が普段より早いな、言葉もそして最初に俺を見た時視線を一瞬逸らしただろう?」と指摘。洞察力が恐ろしいほどある彼に筒抜けだと少し怖くなり後ずさると、「…悪い、そんなつもりじゃなかったんだ。もし気分が悪いなら休むよう促すべきかと思ってな…」と立香くんがそれを聞いて「!心配してくれたんだ、俺の方こそごめん。ありがとうリチャード、全然元気だから今日もよろしくがんばってこうぜ!!」といつも通りになる。リチャードの経歴についても、見た感じなぜそんなに危険視されるのかと不思議なくらい。
    ⑤調べたのがばれて先輩から何知りたかったの?といわれる。彼の首輪外せないかなって…他にあんなのつけてる執行官いないのにどうして、リチャードだけ…とつぶやいた時先輩や周囲の先輩監視官が一斉にドミネーターを向けた。係数を測る機会音声がして、その数字は平常であることを告げた。驚き「え…」となる立香くんを横にみな安堵ししまう。「…ごめんね、急に向けて。もし懐柔されてたらって私たち慌てちゃって…」「俺がですか!?」先輩は言いづらそうに、けど最も近しい存在として立香くんに告げる。「今日上からみんな言われたばかりなの、君が彼に寄り添いすぎなんじゃないか。色相の濁りが跳ね上がったときは対象になるかもって」立香くんは衝撃を受けたけど、色相は上がらなかった。そして「…確かに、そうかもですね、もうちょっと考えてみます」と受け止めた。
    その後通りすがりに立香くんがめちゃくちゃな数のドミネーターから係数計測受けたのを知ったリチャードが、機嫌を悪くしていたせいで若干不安定に陥るのだった。
    ⑥どでかい作戦の他監視官との共同任務、執行官同士の衝突や接触がないよう注意を払いつつ行われることになった。リチャードは能力の高さを買われて先行して進むことを頼まれたが、立香くん的には心配「気を付けてね」「あぁ!そんな不安そうにするな、任せておけ」と。そして作戦が順調に進んでいた頃、執行官と執行官の接触は目を見張られていたが、執行官と監視官の接触はさほど厳しくなく、他のとこの執行官と立香くんが会話することになる。
    その際にリチャードをほのめかすような例が出されて、少し気になり聞いてみた。彼はあまり言いたくなさそうにしながら、ちょっとだけ教えてくれた。「あいつはなぁ、人じゃない。獣だ」危険性を仄めかす様ないいようにどういうこと?となった矢先、リチャードが立香くんの元へ戻ってきた。「リチャード!あ!ちょっとストップ!」「立香?」「今回の決まりにほら、執行官同士の接触がないようにっていうのあったでしょ?だから今もう一人監視官呼ぶからそこで待ってて」立香くんが慌てて執行官が二人になってしまうと、他の監視官を呼び出そうとした時だった。
    『犯罪係数、上昇。色相チェック、上昇。執行対象です。速やかに排除します。』
    機械音声が聞こえる。
    「え?」
    直後大きな音とともに自分の背後にいた別の執行官が消えた。
    「……へ」
    「立香!ちゃんと仕事してきたぞ、これでもう今日は終わりか?」
    「……」
    「前線は割と悪くなかった、やっぱり向いてるんだろうな俺。また今度のも役に立てると思うぞ、あとは今日の分の報告書とかもいるんだったか?」
    「…り、ちゃーど」
    「ん?どうした立香、…顔色が悪い。医療班の元に連れていくからしっかりつかまっ」「なん、なにし」一瞬拒否を見せたもののそのまま抱えられて皆の元に戻る。
    「藤丸監視官!?一体…」
    「立香の顔色が悪いんだ、呼吸も安定してない、見てやってくれないか」
    急いで医療班の元へ連れていくも、その際に別の監視官から共にいたはずの執行官と連絡がつかないという声も聞こえた。さっきまで自分が普通に話していた人だ。最後に記録された色相の係数が高かったこと、少し調べたところ撃ったのがリチャードだったことを知り、例の執行官のせいで藤丸監視官に何かあってそれをリチャードが”適切に執行した”と推測したが、彼の監視官はすこしだけ違和感。かなり安定していたはずの彼がなぁ…と少し残念そうに告げた。立香くんは診断を受けながらそれを聞いていたが、その結論に何の疑問もないの…?監視官に対して驚く。
    「まって…ください、彼が…執行されたことに仕方ないと?」
    「だってそうだろう?係数が上がってそれで処理された。別に何もおかしくない」
    立香くんは動揺し、医療班が「色相が曇り気分も揺れてますね、念のため休みましょう。大きな作戦は君も初でしょうし」と離脱。リチャードもやることはとうに終えていたために共に離脱。暫く立香くんは療養としても現場ではなく建物内での補佐になった。
    ⑦立香くんはその日以来リチャードとの距離をとった。何もわからなかったのだ、あの時なぜリチャードが急に何もしていない執行官を撃ったのか。そして自分はその事実を見ていながら未だ報告せずにいた。とんでもない規約違反だと罪悪感と、先の執行官に対して申し訳なさが残っていた。けどリチャードに聞こうにも聞けない。だから一度休日をもらうことにした。リチャードも同じように休暇を取り、立香くんと共に街を歩く。その最中で、町中のジャズに紛れて話した。
    「なんで…彼を撃ったの」
    「ダメだったか?」
    「ダメだったかって、、何もしてないのになんでっ…」
    「あいつは執行官だ、それも結構凶悪だから何もしてなくはないが」
    「そういうことじゃない…と言うかそれを承知の上での執行官で…直前まで彼は安定していた。君がドミネーターを向けて焦ったから急速に色相が濁ったんじゃないか」
    「…立香はそれで俺を避けたのか」
    「聞いてることに応えろよ!!なんであんなことをした!」
    リチャードは初めて怒る立香に少し驚きつつ不思議そうに言う。
    「だって君が…執行官が二人になるから俺に待ってろって言っただろ?」
    「…は?」
    「ルールについては最初に聞いていたからな。立香も俺に守るよう事前に言っていたし、ちゃんと守れたはずだ。」
    そう言って手元の食べ歩きで買ったものを食べる。
    俺は思考が停止した。どういうことだと、そして少ししてまさかと思い尋ねる。
    「まって…まってリチャード…。じゃあ君は、あの時ルールに倣って俺に近づくためだけに、その場で彼を執行したって言いたいの…?」
    もぐもぐと最後の食べながらリチャードは曲を追えたジャズの集団に向かって拍手をしつつ頷いた。
    「あぁ、立香は賢いな!」
    そういって嬉しそうに笑う。俺はぐにゃりと体が傾く感覚がした。「立香!?」リチャードの声がする。
    そのまま色相の悪化と共にリチャードによって立香君は運ばれていった。
    ⑧呆然としたまま気づけば本部の医療場で検査を受けていた。療養中なのに色相が悪化して、期間が延びたらしい。幸いリチャード執行官のおかげで大事には至らなかったが無理しないでねと声をかけられ、立香君はそれにまた驚いた。
    「彼は…リチャードは、何ともないんですか」
    「え?うーん…特に何もないね、普段通り正常かな。一応他の監視官つきならお見舞いもできるはずだけど、もし顔合わせ」「いいです」「え、そ、そう。わかった…まあ、またよくなるだろうから。今はお大事にね」
    先輩はそう言って去っていった。きっと会えるよう取り計らってくれたのだろう、リチャードの行動範囲の申請には先輩がいっつも手伝ってくれていたから。けど、今の俺はとてもじゃないがリチャードと顔を合わせるなんて出来やしなかった。
    その間のリチャードは少しだけ不安定だった。立香がいない、そして様子を知ることもかなわない。それがどれほどリチャードという人間を揺らがせていたか気づいたのはごく少数だった。
    「立香くんのお見舞いだけど…彼に断られちゃった。だからナシです。何したんだお前」
    リチャードは一瞬酷く悲しそうな顔をして「いやあの作戦の時の話をしただけだ。それ以外は言ってしまえば食べ歩きしてたくらいだな…」
    「それがどうしてああなるのか、わかりかねるんですけど…まぁ彼のことだし大丈夫だとは思うから、ちゃんと大人しくしててね。ここで脱走とかルール違反したら…全部立香くんに降りかかると思った方がいい」
    空気がぴりつく。
    「…俺を脅しているのか?」
    「全くー。これはれっきとした忠告。立香くんと組んでからの君は大人しくて優秀でしっかりして違反もなく評判もいいけどさ。一瞬でそれがなくなるくらい立場なことも忘れないようにね。私は違うけど君のルール違反やミスはたった一回でもしたらアウトなんだからね。」
    「うーん。まあ気を付けてはいるが…それより今は立香が心配だ。頼む!こっそりでいいから毎週…いや毎日、できたら毎時間立香のこと教えてくれないか」
    「無茶言わないで、こっちも仕事があるんだわ…でも2日に1回くらいなら私でも行けるしいいよ。」
    「おお!頼む!」
    そんなやりとりが建物内ではされていた。
    ⑨立香くんの色相は揺れていた。不安定なままで、思ったより回復しなかったのだ、想定よりも長引いてるなと上層部も先輩も心配になってきたころ、同時にリチャードの不安定さも危惧されていた。
    ずっと立香くんと一緒にいたことで安定していたが、離れてから数値がぶれ始めたのだ。兄弟のような2人をよく見てたからこそ早く戻してあげたい先輩と、今のままリチャが扱いやすくあってほしいから立香に戻ってきてほしい上層部。早く会わないと暴れそうなリチャと、まだ不安定で少しずつリチャが怖くなってきてる立香くん。
    結局リチャの安定のためにも一度顔を合わせることになるが、部屋内で安定していくリチャとは別に色相が激しく揺らぐ立香。その様子がおかしいと気づいて先輩が一度検査の時間として立香くんを離し、連れ出して話をする。どうしたの?本当に何か…何かされたの?と聞くと立香くんは首を横に振った。
    「何も…ないんです…」そういってボロボロなく立香くんは不安定で、尋ねても答えることはなく先輩にもよくわからなかった。ただこれ以上は立香くんによくないと、リチャを帰そうとするが「立香になにかあったのか!?」と心底心配し焦るリチャを宥めてまた別の日にあわせると約束する。リチャードは以後手紙を書き、渡す形式をとるが、立香くんは封筒を開けるだけで、読むことをためらっており病室で積みあがるばかりだった。
    ⑩意を決して立香くんが落ち着きを取り戻したのはあれから一か月後のことだった。揺らぎ切っていた心は冷静を強く意識して、リチャード、基執行官への意識というか認識も揺れ動きすぎないようにと気を付ける。戻ってきたことに安堵し、喜ぶ先輩らと得迎えたリチャード。「人手不足なんだからもーー」といいつつ戻ってきてくれてよかった…いろんな意味で…という感じだった。リチャードも喜びつつも、どこか不思議そうに立香くんを見ておりてっきりもっとなにかあるかと思っていた立香くん。
    「…リチャード?」
    「立香、なんかうまくは言えないが…遠いな」
    「え?」
    見透かされてるのか、やはりか、なんて頭の中でため息をつく。でもここで乗り越えないと、また似たようなことになってしまうかもと自分の中で決めていたことをこの先実行していく。
    「…もっとリチャードのことだからこう…わちゃーっと来るかと思ってたから身構えてて…」
    そういうとリチャードは笑って本当に文字通りわちゃっとしてきた。せっかくの髪がぼさぼさになったが、リチャードが悪い悪いと整えたら綺麗になるもんだから色々と複雑な気分だ。
    先輩はその様子に少し驚いていたが”立香くんが決めた執行官との距離感”なことを察すると何も言わなかった。そうしてまた日常が始まっていく。
    ⑪ぶっちゃけリチャードは立香くんの新しい距離感の取り方にはとうに気づいていた。”俺が好み、望んだ距離感を演じること”に立香はしたのだと。それでもリチャードは納得していた、きっと立香はあの一か月悩んで決めたんだろうと。俺の意や機嫌を損ねないようにするための行動だとも気づいていた、確かに以前の素の立香ではないことも、行動原理が”俺を調整するため”であることにも無性に腹は立つが、それでも俺は最初に既に”立香”を信じると決めていた。そういう判断をとった立香を信じることにしたのだ。
    だから俺もお前が求める俺でいてやる、まぁいつまでもつかは分からないが可能な限り居座ることにした。少なくともこれまでで一番居心地がいいのは君の隣なのだから。
    そうして今日も立香はまるで弟のような距離で俺へ手を振り笑顔を見せ声をかけるのだった。
    ⑫上層部は安定していると安堵し、先輩は慣れちゃったなぁとほっとしたような少し悲しそうなことを思った。今日も彼はリチャードという制御不能を、行動範囲に収め続けている。その手段が少しだけ監視官としては例外ではありつつも、それで為せるならば上は目をつむった。色相に問題はなく、何事も起きていないならそれでいい。
    だってここはいつだってそういうシステムで動いているのだから。
    そう思いながら視線の先にあるリチャードのデータには、彼は周囲の色相を染め上げるような質があるのだと結論がなされていた。無意識下で巻き込み狂気に陥らせる事に特化した存在とも言えるそれは、強大な力としての側面を持ちながらも昔のように、言うなれば村の存続に生贄が必要になるような、厄災や神のような扱いにも近いと認識していた。

    ⑬リチャード以前と似たようなことをしかけた時、今度は立香くんがそれを遮った。手段はなんだっていい、ただもうこれ以上他の執行官を手にかけるようなこともないようにと自分からリチャードに駆け寄って飛びつく。「遅かったなーー」という言葉に「少し手間取ったな、立香は無事か?ならいい」と優しすぎる声が降りかかる。他の執行官はその距離に怪訝を示すがアレに関わりたくないと見ぬふりをした。いっそ色相が濁りそうだと見なかったことにしようとしていた。
    立香くんはその日、先輩に頼んで共に資料を漁っていた。彼女は当の前に知っていたらしいリチャードのその事件を、見せた時すごく申し訳なさそうに告げた。
    「上層部がね、ずっと前…リチャード執行官の担当にした時から君のことを”贄”って呼ぶようになったの。」
    俺は首をかしげたがその意味を理解した。なぜ彼が監視官一人に対する執行官の規定である4人一組の枠にいないのか、そして自分がそう呼ばれてしまったことも。同時に見過ごされていた数々のことも。
    ⑭立香くんがリチャードの監視官として弟のような振る舞いを始めて半年過ぎた頃だった。ある日共同でいつものように過ごしていた時、前触れもなくリチャードが「あぁそうだ。立香、今日は前の立香に戻ってくれ」と言ったのである。一瞬なんのことかと振り返ったとき、真後ろにリチャードがいて驚き思わずコップを滑らせて割ってしまった。半ば逃げるようにして破片を集めようとするが、焦っていたのだろう素手で危ないことなんて百も承知で無作法に伸ばした手をリチャードが上から覆って止めたのだ。
    「そう怖がるなって。確かに最近の弟っぽい感じも楽しかったが、やっぱり最初の素の方も嫌じゃない。だから”戻って”くれないか?」
    俺は身動きのとりずらいままで背筋が冷える思いをした。心臓の五月蠅さなんてとっくに伝わっているのだろう、なによりとっくのとうにリチャードは俺の茶番に付き合っていただけなのだと思い知らされた。いったいいつから「最初からだ。立香が俺のために頑張ってて偉かったぞ!」
    喉が鳴った。声に出したつもりはない、けど見透かされているのだと思い知り、何とか落ち着こうと、色相が滲みすぎないように深呼吸を繰り返す。恐怖と支配に耐えようと堪えた。その間も後ろから俺を抱え込むように力が込められて熱が伝ってくる。
    落ち着け、落ち着け。
    その間もリチャードは心配そうな声色で「横になるか?」と言いそのままソファーまで運ぶと水も持ってきた。そして俺に向かって真っすぐ、最初と変わりのない瞳で言うのである。
    「ちゃんと”戻れる”か?」
    「…ッ俺、は」
    ダメだダメだダメだ、呑まれる。リチャードの、彼の色相に染まりそうになる。
    深呼吸のリズムが狂ってしまい、息が詰まった。横たわったまま変則的な呼吸音を繰り返す俺に対して、リチャードは俺をもう一度ソファーの上で抱え込む。
    俺の顔を肩に乗せて、宥めるように背中を呼吸の速度で軽く叩きタイミングを促される。
    「吐くことを意識しろ…そうだ、それでいい。」
    そうして呼吸が落ち着いたころには。
    「…藤丸監視官、リチャード執行官。共に来てもらいます。」
    きっと色相の変動を見たのだろう、先輩が表情を険しくしてこちらを見ていた。
    ⑮結局のところ俺の色相検査は再度厳密に行われた。係数は以前よりも少し上がったが、それでもぎりぎりまだ監視官としてはいられるらしい。
    一方でリチャードの方は以前よりかなり澄んでいるというのだからこれを見た科学者が、まるで色がこの二人の間だけで移ったかのようだと称した。
    俺は悩んでいた、このまま監視官でいることもできるが療養をとり辞めて別の道に進むこと可能性もある。幸い訓練が深く身についていたのか心を澄み渡らせることもできたから、なんとか続けることはできなくない。けどこのままだときっと、俺の色相はいずれ限度を迎える。こんなのわかり切っていたし悩む間もなく辞めるべきだった、だというのに。
    「…立香!」
    俺は再びあの真紅を見ていた。結局戻ってしまったわけだ。
    先輩が静かに俺を見つめる。無理しなくていいと最初から言ってくれていたその人は、俺の決断にやはり何も言わなかった。ただ小声でそっと「…手を貸してほしいことがあったら言ってね」とつぶやく。今の俺にとって、一番感謝すべき一言だった。

    「本日より勤務いたします。千堂といいます!よろしくお願いいたします!」
    一人の新人の監視官が丁寧にはつらつとした声を上げた。渡されたドミネーターに少し感動したような目を見せて、そして共に今回の作戦に主として出る人に声をかける。
    「藤丸監視官、よろしくお願いいたします」
    黒髪が振り返りその声の主に丁寧にお辞儀をして答えた。
    「こちらこそ。わからないことがあったら言ってね」
    優しそうな人で良かったと思った矢先のことだった。
    目先の建物内で聞こえた大きな物音に目を見張った。付近の人々は大方避難したのか、大きな悲鳴は上がらなかったが人々の声がする。
    別の監視官や執行官が動き出し、配置につく中で藤丸監視官は慣れたように二台の端末を操作しながら静かにその方向を見ていた。
    「えっと…」
    「ん。あぁ…今ちょっといないんだけど、俺の担ってる執行官もあとで紹介するね。色々と特殊で参考にならないかもしれないけど、他の人手が空いてないみたいでさ。ちょっとやりずらいかもだけどごめんね」
    「いえ、それは特に…」
    というか執行官が今いないって大丈夫なのか?一緒に行動するはずじゃ…そう思っていると藤丸監視官が不意に走り出す。
    「千堂監視官も来てほしい。ドミネーターの扱いは大丈夫?」
    「任せてください!」
    そうして初の現場が始まった。
    物音と人の声、その中に聞こえる金属音と数発の銃声がした。俺はドミネーターを手に藤丸監視官の指示を見る、流石冷静だなと顔を見上げた時だった。すべての物音が消える。
    「立香ーー、制圧は完了したぞ。」
    たった一つの声がした、藤丸監視官はそれを聞くと端末を操作する。何かメッセージを送ったらしい。上のフロアから声が続いた。
    「あぁ、それで足音が多かったのか、よかった。人質にされたのかと少し焦っていたところだ。」
    藤丸監視官はその声を聴いて深呼吸をした、そして俺に向き直って待機を告げる。
    「待機ですか?」
    「数分で終わるから。降りてきたら紹介するね」
    そう言って彼は端末ごと俺に預けてきた。受け取ってしまったがよかったのだろうか…
    彼は穏やかだった、手元の表示をかざしても色相の濁りはない。姿が見えなくなって少しすると誰かの話し声がして、ピタリと止む。それから数分後、同じ通路から藤丸監視官と…真っ赤な人が下りてきた。
    「おまたせ。紹介するね、彼が俺の執行官、リチャード。」
    「よろしくな!新人教育の担当にまたなったのか」
    「だって他の人に比べたら1番手が空いてるの俺だし、人少ないんだから。」
    「立香いいなら構わないが…君は少し、初めてあった時の立香を思い出すな。」「いいってそういう先人ムーブ…」
    まるで友人のような距離に俺は驚いていた。
    もっと高圧的に管理すると聞いていたはずだが、友人…むしろ兄弟に近いようにも感じる。
    「よろ、しくお願いします。ところでその…」
    「あー……リチャード。タオルは」
    「落としたか焼かれたかどっちかだな」
    赤なのだ彼は、文字通りに。恐らく返り血なのだろう、至近距離でリーサルを発動した時にはなると聞いているがここまでなるのかと唾を飲み込む。
    するとため息をひとつつき、藤丸監視官はジャケットの懐から黒いハンカチを取り出すと執行官の顔周りを拭った。
    「せっかく持たせたのに」
    「どうせ使わないだろうし、無くていいんじゃないか?」
    「俺はちゃんと使って欲しいんだけどなぁ。はい終わり。多少出歩けるくらいにはなった……よね?」
    藤丸監視官が俺をみて尋ねた、さっきよりは断然マシだと俺も思う。
    「明らかに先程よりは…」
    「ならいっかな。よし、じゃあ戻ろう。ここに調査用で渡されたその小型の機械も置くの忘れないようにね」
    俺は思い出したようにそれらを手に乗せて上のフロアに向けて放った。これできっとデータの収集などを行っていくのだろう。
    「全機通信異常なさそうです、このままでいいんですか?」
    「うーん…本当なら執行官と調査するんだけど最初に踏み入れるなら別の場所がいいと思うから、今連絡が来た方に向かおう。端末持ってくれてありがとうね。」
    端末を返すと藤丸監視官は連絡を取り始める、その間
    リチャード執行官は静かに、俺の後ろの誰もいない通路を見つめていた。
    「大丈夫だって、それじゃ行こっか。リチャード」
    「ん、ナイフだけ貰っていいか?」
    そう告げると監視官が再び逆の懐から取り出して渡す。
    執行官はそれを受け取ると通路に向かって投げた。
    「…何かあるんですか?」
    「どうだろうね、満足した?」
    「まぁまぁだな。とりあえず向かうか、少し先にいるから気をつけて来てくれ。」
    そう言うと彼は駆け足で俺たちが来た道を降りていった。さっきのはなんだったのかと監視官に聞くと困ったように顔を背けていた。ただ気にしなくていいよと笑って同じようにストンと、来た道を降りていった。
    道中で気づいたんだが、藤丸監視官のジャケットから見えたシャツが赤く染っていた。一瞬怪我かとも考えたが、彼は冒頭から俺といたし返り血で染まるような出来事もなかったはず。何よりジャケットを羽織っているのだから、付着するならそっちになるだろう。
    そこだけが気になり、現場に着く前に一つ尋ねてみた。
    「あの…怪我とかはしてないですよね?」
    藤丸監視官は驚いた顔をした後に少し笑って、
    「してないよ。でも、次からはもうちょっと気をつけるね」
    とだけ答えた。

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    リチャード・・・数年前から執行官。潜在犯ともいえるがそこに悪意や邪心はなく行ったことに対しての反省はあったりなかったり。性格に難アリで既に扱いづらいが、制圧力や洞察考察思考などが激的に特化しており能力の高さという面からも上は扱いあぐねている。
    リチャードがぐだくんに従うのは、「君になら俺への判断を任せてもいいな」と信頼して託してしまっているから。だからそんな自分の手綱を持たせるためにも守っているという心情。絶対に手放してくれるなよ!という信頼からの抑止力であり、手放したらどうなるかわからないぞと言うある種の脅しにも見える。
    ぐだくんの善性とやさしさと立ち向かう力、自分のような人間にも寄り添おうとするその様に惹かれている。命がけで守るし、彼にならいつ対象にされてもいい。だが、それはそれとしてこのよく分からない上のシステムに判断されることは気に食わない模様。
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