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    貴方はアキヘクで『惚気はいいので、用件を』をお題にして140文字SSを書いてください。
    #shindanmaker
    https://t.co/emlydDDcmy

    『惚気はいいので、用件を』カウンターの内側でコップを磨いていた男は、ニヤニヤと笑い出しそうになる頬を必死で押し止めていた。
    彼を府抜けたにやけ面にしている理由は、昨日のポーカーの結果にあった。
    店の奥の隠された扉の中で、許された者だけが招かれる非合理なポーカーは夜な夜な開催される秘密の遊戯だ。店のオーナーである自分と、いくつかの組織の代表、それに毎回一人、かわいそうなカモを加えた4名で行われる。カモを選ぶのは持ち回りだ。ただの興味本意だったり、組織の裏切り者だったり、果ては借金苦に悩まされ浮いた話に乗ってきた阿呆だったりと、連れてくる人物は毎回様々な背景を持っている。しかし、必ず決まっていることがある。カモは必ず負けることだ。どれだけ意気込んでいようと、どれだけ腕がたつものだろうと、ここに来た「カモ」は、「カモ」として招かれてしまえば、その者は必ず負ける。そういう仕組みになっているのだ。

    ーーそれにしても、昨日の優男の負け方と来たら。

    「んんっ」
    カウンターの男、この店のオーナーは再び弛みそうになった頬を、喉をならして引き締めた。
    昨日のカモ担当は、オーナーだった。目ぼしい「カモ」が見当たらない場合、時折オーナーは自分の店から適当に人物を選び、可哀想な犠牲者として招くことがあった。
    その日、特に制裁を加えたい者がいなかったオーナーは、たまたまカウンターで一人で飲んでいた優男に声をかけた。顎に髭を蓄え、ボサボサとした髪をうなじの辺りでひとつ結わえをしている男は、先程から安い酒しか注文していない。美しい目鼻立ちこそしているが、一見して身なりはよろしくない。その様相から、オーナーの目には男がそれなりに金に困っていつように映った。
    「旦那、ここには初めて」
    「はぁ、そうなんですよ。実は良い働き口を探して流れ着いたものの、情報そのものが嘘でして。ここでやけ酒を喰らっていると言うわけです」
    恥ずかしそうに頭をかく優男は、人の良さそうな、困ったような笑顔を浮かべている。こういう男は、実際はしぶといのだ。本当に困窮するほどまで金銭がないわけではない。それでも明日、今日よりいい酒を飲むためにわずかな預貯金を残している。
    ーー気に食わねぇなぁ。
    オーナーはその優男が浮かべる自分は安全圏にいる、という自信に満ちた軽薄な笑顔が気にくわなかった。
    「……旦那、実はですね……」
    その笑顔を絶望の顔に変えるために、オーナーは男に声をかけた。
    結果は予想通り、ポーカーが終わる頃、男が浮かべていた軽薄な笑顔は消え去り、代わりに冷や汗が頬を伝い、落ちた水滴がいくつも上着に染みを作っていた。
    見開かれた目は戻ることを知らず、片隅が上がったままの口は閉じられることはなかった。
    戻らない表情とふらつく体をなんとか動かし、男はここを去っていった。その様子にポーカーに参加していたメンバーは大いに笑った。ここまでの酷い負け方をするのは、初心者でも珍しかった。ルールすら朧気な気弱な姿が目蓋の裏から離れず、その滑稽さを思い出す度に何度も漏れそうになる笑いをオーナーは押さえ込んでいた。

    「おい、スコッチくれ」
    「、は、はい。少々お待ちを」

    あまりに笑いを消すことの集中しすぎていたらしい、カウンターに男が座っていることに、オーナーは気がつかなかった。
    「お待たせしました」
    「アンタ、上の空だったな」
    「いや、お恥ずかしい…。あまりに楽しいことがありまして、気がそぞろでした、申し訳ございません」
    この辺では珍しい緑色の髪をツンツンと立たせたその美丈夫は、"楽しいこと"に興味がわいたらしくオーナーとの話を求めた。
    「へぇ、大の大人が楽しいことで上の空とは。一体どういった事柄か聞かせてほしいもんだ」
    「いやいや、お客様のお耳に入れるような事柄では決して……」
    「そうか、残念だな……折角だ、代わりに俺の話を聞いてくれるか」
    「えぇ、お教えできない代わりにお客様のお話伺いましょう」
    「いやな。俺のパートナーの話なんだが……」
    美丈夫が話し出したのは、惚気話だった。
    やれ仕草がかわいいだの、食べる格好がかわいいだの、自分が甘やかそうとすると恥ずかしがって顔を真っ赤にしたまま力の入らない拳で殴ってくるとか、そういう話だった。いくら上機嫌なオーナーといえど、同じような惚気話を聞いていると飽きが来る。そろそろ他の客が来ないものか、と話し半分に聞いていたところ、美丈夫の語り口調がわずかに変わった。
    「……その俺の連れ合いが、悲しいことがあったって泣きついてきたんだよ。何でも全財産を奪われたとか。ひでぇ奴らもいるもんだよなぁ。まぁホイホイついてった奴にも悪い点はあるんだが……で、よう。アンタ知らねぇか。この辺で怪しげな店の奥にある遊技場でポーカーに誘って、ソイツから全財産巻き上げるような酒場をよぉ」
    間違いない、自分のことだ。
    美丈夫はいつの間にか、その黄金に光る瞳を鋭くオーナーに向けている。どこか肉食獣を思わせる鋭い眼光にたじろぎながら、オーナーは声を発した。「っふ、何が言いたい……お前には直接関係はないだろう……」
    「あぁ、いい忘れていたが俺の連れ合いは男でな。顎に髭を蓄え、うなじで髪をひとつ結わえしている男だ……なぁ、覚え、あるだろ」
    そういって男はニヤリと笑った。すべて最初から見透かしていたようなその笑顔に、オーナーは自分の終わりが近づいていることを、確かに感じていた。

    「おかえりー」
    「……ちったぁ働けオッサン」
    「いやーん働いたじゃんオジサン。ポーカー上手に負けるの大変なんだよ今回の主演男優賞でしょ」
    「助演男優賞だろ」
    「……潰してきた」
    「もちろん。跡形もねぇぜあの店」
    「一晩で更地になったら驚くだろうねぇ、ご近所さん」
    「もとから怪しいって噂たってたから妥当だと思うんじゃねぇか」
    「みんながみんな君みたいに図太くないんだよ」
    ベッドの上で仰向けで労うヘクトールへとアキレウスは上がり込んだ。
    「それより、ごほうびは」
    「マスターから貰いなよ、報酬関連は全部組長(マスター)からって決まってるでしょ」
    「いいだろ、アンタの仇討ちしたんだから」
    普段であれば拳の一つでも飛んできそうな距離だと言うのに、いまだヘクトールはベッドの上に転がったまま微動だにしない。その様子はさながらその身が今回の働きに見合った報奨そのものだといっている気がして、褒美はないと否定する口をアキレウスの口が塞いだ。
    「ん……、は、……オジサンは君のご褒美じゃないよ」
    「 そうか俺にとっちゃ最高の褒美だが」
    とぼけた顔をしながら上着の裾から這い上がるアキレウスの手の熱を、ヘクトールは感じていた。

    ーー今回は一人で解決してきたようだし、許してやるか。

    胸の頂にたどり着いた手が、嫌らしく胸をまさぐっている。その手を許すように、再び口付けようと近づいてきたアキレウスの首へとヘクトールは腕を回した。
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