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    donburako_6ro

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    donburako_6ro

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    6️⃣ろです。現パロ。

    捨てる紙あれば拾う紙あり負けた。完膚なきまでに負けた。
    入学した高校に男子バレーボール部がなかったから、自分で立ち上げた。どうにか人をかき集めて、指導者のいない中必死に練習して、出場した地区予選の1戦目。相手は全国大会常連の強豪校。唯一の経験者である小平太がいくら頑張ったとて、点差は開いていくばかりだった。
    「私はサーブだけでももっと練習しておくべきだった」
    「次があるさ、僕たちまだ一年生だもの」
    「そうだな、次は俺もアタッカーをやりたい」
    「お前のへなちょこアタックで点が取れるわけなぃだろ」
    「なんだとぉ!?」
    「もう二人とも~……」
    いつもより暗い声のやり取りを聞きながら、涙が溢れないようにまばたきを繰り返す。他にいくらでも強い部活があるのに、一緒に練習してくれたみんなの優しさ。なのに結果を出せなかった悔しい気持ち。
    それまで一言も喋っていなかった長次が、突然「あ」と声を出した。足元の地面に落ちている紙きれを指差す。
    「これ」
    一体なんだろうと凝視していた留三郎が大声を上げる。
    「焼肉き◯ぐの割引券!?」
    拾い上げた文次郎が文面を読み上げる。
    「30%オフ、1枚につき1グループ様まで、有効期限は……今日だ!」
    「これは行くしかないだろ」
    「ここに割引券が落ちているということは、近くに店舗があるはず……やはりな、こっちだ」
    素早くスマホを操作していた仙蔵が歩き出す。文次郎と留三郎も後に続いた。
    「お前も行くだろう」
    長次が確かめるように、小平太の顔を覗き込む。小平太は涙を払って頷いた。
    「当たり前だ!」
    「嘘、なんでこんないいことがあるわけ?怖い……」
    長次と、青い顔で震えている伊作の手を引っ張って、小平太は走り出した。
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