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    donburako_6ro

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    donburako_6ro

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    こへ長です。夢の話おしまい。

    ある日の夢⑤私は逃げていた。
    私を追ってくるのは、名前のわからない巨大な化け物だった。
    振り向いたらその恐ろしい姿が見えてしまうのが怖くて、私はひたすらに前を向いて走った。いくら走っても化け物は追ってくる。やがて肩に、ぽん、と化け物の手が置かれる。振り向きたくないのに、顔が勝手に後ろを向く。
    化け物は小平太の姿をしていた。
    「……っ!」
    目を覚ますと森の中だった。どうやら忍務中に仮眠していたらしい。
    「よく眠っていたな」
    低い声で小平太が呟く。不寝番をしてくれていたのか。
    「また悪い夢を見たのか?このところ多いだろう」
    「……すまない、交代する」
    「そうだな、そろそろ」
    小平太がちらりと歯を見せて笑った。
    「本当に目を覚ましてはどうだ?」
    とん、と肩を押される。
    足元の地面が消えた。ひゅう、と耳元で空気を切る音がする。落ちている。これも夢だったのか。
    浮遊感に首筋の毛が逆立つ。どこまでもどこまでも落下する。
    やがて、どん、と地面にぶち当たった。
    「……っ!」
    うっすらと目を開く。
    「あ!目が覚めた?」
    伊作が笑いかけてくる。ここは……医務室か。
    「私は……」
    「覚えてない?ケガした小平太を庇って、長次も死にかけたんだよ。ほんと危なかったんだから~!」
    そうだ、覚えている。大量の血を流して真っ青になった小平太の顔。自分の震える手と荒い呼吸。
    そうか、今までずっと、夢の中で夢を見ていたのか。
    「……小平太は」
    声が掠れた。
    「ん?たぶんそろそろ来ると思うよ。……あ、ほら」
    廊下を人の気配が近づいてくる。
    自分の心が作り出した幻影ではない、本物の。
    私は一度目を閉じ、そして開いた。
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