長雨の頃つつじの盛りも終わり、日ごと暑さが増してくる。そして毎年のごとく長雨が始まった。
長次は雨が好きではなかった。洗濯物がよく乾かないし、よほど気を付けないと屋外で本を持ち運べない。よってこのころの休日は大抵、じめじめとした気分のままに、既に何度も読み返した本の頁をぼんやり繰っている。
小平太も雨が好きではなかった。天気が悪くとも小平太は元気いっぱいなのだが、お日さまの光を浴びた方がもっと元気が出る気がするのだ。よってこのころの休日は大抵、早く夏になればいいのになあと思いつつ、自室で武器の手入れをしている。
ただ雨音だけが耳を和ませ、背には同室の重みがかかる。二人とも雨は好きではないけれど、こんな昼下がりがずっと続けばいいのにと思う。