不穏シリーズ_〜主役は監督生さん?〜三味の話
「なあ!監督生!なんか怖い話してくれよ!」
シトシト雨が降る自習時間、スカラビア生のクラスメイトが監督生に声を掛けた。
課題を解くのに忙しい生徒達はどうせ断られるだろうと静観していた。
監督生はこの手の話を決してしない。曖昧に微笑んで黙殺するのだ。
だが、この日は少し違った。
「……ふぅん……そう、ね。こんな話は如何?」
甘やかに蕩ける声がクラス中に響いた瞬間、誰もが手を止め心を奪われた。
——昔々、という程昔ではない時代の話。
大きな変革があったの。貴族の位が金で売り買いされるようになった。貴族といえどそれまでの様に安穏としていれば生活出来る、そんな時代が終わったの。
ある貴族の娘もそんな時代の激流に飲まれた一人だった。
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