六月のパン食い競争 その7 翌日。水上は、春巻きパンをめぐる近頃の振るまいについて反省の弁を述べた。
「ま、そういうこともあるだろ」
穂刈が発した言葉はそれだけだった。それどころか、自分はいいから影浦の方へいけとアドバイスされる。なんでも、水上の愚痴と食レポに毎度つきあわされ、影浦は食傷気味とのことである。実のところ、ここ最近の水上の昼休みの食事相手──すなわちその世話役は、影浦1人に任せきりの状態だった。
昼休み、穂刈はもっぱら自隊のミーティングで席を外していたのだ。荒船隊は、史上初・前代未聞のスナイパー3人体制でこのたび新たなスタートを切った。ポジションを変更したばかりの荒船は、追いつけ追い越せで訓練場にこもる日々を送っていた。
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