それは愛ある証。 だいぶ歳下の若い恋人は、普段は年相応に甘ったれたガキのわりに、かなり献身的だ。性格もあるし、彼の父親はシングルファーザーで病気がちだから、他人の世話をすることに疑問を持たず、尽くせるのかもしれない。
そういう長所を持つ彼に、事後に優しく世話されるのが杏寿郎は好きだった。最中は名前を呼ばれながら、若い欲を激しくぶつけられ、気を失う寸前くらいまで、腰を打ちつけられる。そうして目一杯喘いでいると、事後はたいてい、すぐには動けない。その時に甘いしびれが全身を支配する中で、ベッドで微睡むのが好きで。その後に歳下の恋人が甲斐甲斐しく世話をされるのがもっと好きだ。
用済みのゴムを捨てて、名残惜しいようなキスを一度してから、彼はバスルームに行ってお湯を汲んでくる。そうして、お湯で濡らしたタオルで綺麗に体を拭いてくれるのだ。特に、お互いの白いのがこびりついたあたり。たくさんイカされればそれだけ、量が多い。ちなみに欲の残り滓を拭き取るタオルは、彼がわざわざガーゼのものを何枚か買ってきて、杏寿郎の自宅マンションに置いてある。肌に優しいから、体を拭く時にいいのだそうだ。その濡らしたガーゼタオルで、激しくセックスに励んだ証を、彼は優しい手つきで綺麗にしてくれる。
マメな気遣いに、思いやり。その仕草は、性的なモノとは別に、ひどく杏寿郎の心を揺さぶって尚且つ満たしてくれた。
本当は、いくら激しくセックスしたからって、全く起き上がれない程じゃない。杏寿郎もそこまでヤワな体はしていなかった。
でも、いつもだいぶ歳下の恋人に甘えるのが恥ずかしい杏寿郎にとっては、この時は数少ない素直になれる瞬間だ。ついさっきまでの、セックスの余韻を感じながら、彼にされるがまま、身を任せるのはとても気分が良い。
「なあ、杏寿郎、平気?」
ちょっとやり過ぎたかな、という反省した表情で、彼がいつもそう聞いてくるのも好きだった。杏寿郎は何も言わずにいつも頷くけれど、本当は平気ではない。
満たされ過ぎて幸せだから、涙が出そうになるのを、よくこらえているんだ、と正直に言ったら。このだいふ歳下の可愛い恋人はなんて言うだろう。