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    お絵描き練習

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    診断メーカーのお題から
    攻め度の高いランガなラン暦シリーズその1
    無害な女モブがいます。

    #ラン暦
    lanreki

    『十七時以降のラブ・ラヴァーズ Part.1』

    「うわあぁっ!」
     ランガは大好きな片割れの、悲痛な叫びを聞いた。同時に耳へ入る派手な衝突音と、女子の甲高い悲鳴。ランガの両足は現状を理解する前にまず動いた。彼の持つ非凡な運動能力によって、それほど時間もかからずに現場に到着した。
     日本の学校にエレベーターはほとんどない。ゆえに生徒の移動には階段が使われる。その踊り場に倒れ伏す鮮やかな赤い色があった。その横には、へたり込んだ女子生徒が顔を真っ青にしている。その女子生徒に見覚えがあった。同じクラスの学級委員だっただろうか。
    「喜屋武くん、大丈夫!?」
     女子生徒がわなわなと震えながら、倒れる暦の体に手を伸ばそうとした。ランガはとっさに「待って!」と叫ぶ。普段はぼうっとしている自分自身の声が、やけに朗々と響いた気がするとランガは思った。すぐに二人へ駆け寄り、しゃがみこむ。
    「頭を打ってたら、下手に動かしちゃいけない」
    「ご、ごめんなさい……」
     女子生徒が謝りながら、暦に触れようとした手を止めた。ランガはカナダで父親とスノーボードをしていた経験から、怪我や病気に対する応急処置の方法を知っている。ボーイスカウトのキャンプにも参加したことがあるから、それなりの知識はあった。
    「暦、大丈夫? 聞こえる?」
    「あーっ、痛ってぇー……っ、だいじょぶ、頭は死守した……」
     暦が手を伸ばし、ゆっくりとサムズアップした。女子生徒が「よかった……」と息を吐き、ランガも胸を撫で下ろした。床と激突した拍子にずれたヘアバンドを直し、暦はランガに向けて、いつもの笑顔を向けてみせた。
    「後ろから見てて心配だったからさ。見てたら案の定階段から落ちてるし……」
    「ごめんなさい」
    「いいっていいって。女子ひとりにこんな大量に運ばせてる先生もどうかと思うわ」
     暦の言葉に、ランガは落ち着いて周囲を見渡した。階段のそこかしこに、数式の書かれたプリントが散乱している。どうやら、これを運んでいてバランスを崩した女子生徒をかばったようだった。関係の薄い女子に対しても面倒見を発揮するのは、暦のいつもの癖だ。
    「でも、どこか怪我してない?」
    「ああ、俺スケートボードやってっから、だいじょ――イデッ!」
     あっけらかんとした様子で立ち上がろうとした暦が、聞いたほうも痛みを感じるような悲鳴をあげた。ランガはうずくまった暦に目線を合わせる。すると、足首が赤く腫れているのに気づいた。
    「喜屋武くん!?」
    「暦、足を捻挫してる」
     足をボードに固定するスノーボードをやっていれば、よく見る怪我だった。だが、たかが捻挫と侮ってはいけない。酷い場合には手術をしなければならないこともあるのだ。
    「言わなくてもわかってるって。受け身取り損ねたかなー……やっちまった」
    「喜屋武くん、本当にごめんなさい……!」
    「謝んなよ。俺が勝手に庇って怪我しただけだし……ランガ?」
     足が腫れたら、しばらく大好きなスケートはできない。それなのに、優しい暦は気にするなと女子をかばってみせる。その様子になんとなくモヤモヤして、ランガは衝動のまま、行動に出た。
     まくり上げられたスラックスから覗く足首が腫れている。ランガは持ち前の体幹で暦の体をさっと支え、持ち上げてみせた。近くの席の男子生徒から聞いた。日本ではこの抱え方を、プリンセスになぞらえて「お姫様抱っこ」というらしい。
    「んなっ――ランガ、おま……!」
    「おまえ、本当にお人好しだね」
    「ランガに言われたら何かムカつく!」
     おろせ、やめろ、変な抱え方すんな――とランガの耳元では抗議の声が雨あられと降っていたが、すべてを無視した。逆に、絶対に下ろさないという強い意志を固めてしまった。
     ランガはぽかんとする女子生徒へ振り返り、簡潔に伝えた。
    「悪いけど、プリントはそっちで集めておいてくれる?」
    「う、うん、わかった――馳河くん、お願いね」
    「言われなくても大丈夫」
     女子生徒にはそっけない態度になってしまったが、気にしないでほしいと思う。なぜなら今現在、暦というランガにとって一番大切な人が怪我をしているのだ。早急に手当てをしなければ、ランガは頭の中で保健室へのルートを逆算し、軽々とスニーカーの踵を蹴った。
    「俺以外にお人好し発揮したから、このくらいは恥ずかしい思い、してもらわないと」
    「何だそれ!? 重っ!」
    「暴れると落ちるよ」
    「おーろーせー!」
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    MAIKING7話のせいで未来捏造したラン暦。プロボーダーランガ×メカニック暦
    モブ女視点ですがただの当て馬なのでご安心ください。

    元ネタ:Rihanna「Don't Stop The Music」
    姿見に映る自分を見ながら、あたしは自分自身に魔法をかける。
     素肌に下地を塗り、薄くファンデーションを乗せる。散らばるそばかすは、コンシーラーとコントロールカラーで隠せばもう完璧。
     まぶたの上にはラメのたっぷり入ったゴールドのシャドウ。目を大きく見せるためにラインは欠かせない。黒いマスカラを睫毛に乗せれば、相手を射貫く大きな目の出来上がり。
     唇には全体をうるうるに見せるリップを塗る。目をしっかりとメイクしたから、唇は少し控えめに。でも、キスしたくなるほど魅力的な唇になるように、細心の注意を払う。
     チークを乗せてハイライト、そしてシェーディング。さりげないところも完璧に。それがあたしのモットー。眉も凜々しく見えるように整えて、ケアしたあとのブルネットの髪にアイロンをあてる。上手くカールさせれば、ボリュームのある艶めいたパーティヘアの出来上がり。
     背中を大胆に見せたミニのドレスに、ママから借りたジミーチュウのパンプスを履けば、イケてるセクシーな女の子が姿見に現れた。小さなパーティーバッグにスマホと財布をインして、あたしは胸を弾ませながら家を出た。
     これは一世一代のチャンスよ。夜が 3717