湯たんぽ宥めるように、或いは幼子を寝かしつけるかのように額の辺りを撫でていた手が不意に離れる。その熱を追うように思わず目を開けると、すぐ傍でベッドに横たわる自分を見下ろす明るい新緑の瞳が「こら」と小さく笑った。再び大きな手が伸びてきて、ぽんぽんと優しく髪を撫でる。
「そんな顔しなくても、どこにも行かねぇよ」
言われて自分はどんな顔をしているのだろうと思う。これではまるで本当に幼子だ。
安心して寝ろ、と頭に置かれた手はそのままに、ジェオは今度は空いているもう片方の、やはり大きな手でイーグルの右手を握った。
「・・・冷えてんなぁ」
誰にともなく呟きが落ちる。ジェオは両手でイーグルの手を包み込んだ。喀血だろうと身体から血液が失われていることに変わりはないのだ、貧血気味にもなるだろう。彼が発作を起こす度、血と一緒に失われていくものを想って無意識に力が籠もった。
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