I'll be your enemy.(どうしてこんなことになったんだ…)
ガイアはどんどん歩を進めてしまうディルックの背中を眺めながら、己の背中に冷や汗が流れて行くのを感じた。先ほど胃の中に収めたものが逆流してきそうになり、ガイアは口元にぐっと力を込めた。アデリンが丹精込めて作ってくれたものなので、できれば無駄にはしたくない。
ガイアは脳内で旅人にヘルプを求めた。ブリュー祭の時に旅人とパイモンとディルックと共に食事をした。その際に今後も旅人とも食事ができると思ったのに、結局ガイアひとりがワイナリーに向かい、ディルックと二人で食卓を囲むことになってしまっている。素直に言うと、非常に気まずい。ディルックとは4年前からまともに話せた例がないからだ。ディルックを思うと筆が止まらなくて、手紙のやり取りはしていた。だから全くコミュニケーションを取っていないことはないが、以前のように双子と称されるほど親しい関係性に戻れないし、戻りたいとも思わない。もう隣に立って戦うことはないだろう。
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