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    百合菜

    遙かやアンジェで字書きをしています。
    ときどきスタマイ。
    キャラクター紹介ひとりめのキャラにはまりがち。

    こちらでは、完成した話のほか、書きかけの話、連載途中の話、供養の話、進捗なども掲載しております。
    少しでもお楽しみいただけると幸いです。

    ※カップリング・話ごとにタグをつけていますので、よろしければご利用ください

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    百合菜

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    2021年2月7日に開催された天野七緒中心WEBオンリーで実施した「エアスケブ」で書いたものです。
    リクエスト内容は、「突然の雨に人気の少ない場所で雨宿り」。

    幸村8章から終章の間をイメージして書きました。

    #幸七
    #遙か7
    far7
    #遙かなる時空の中で7
    harukanaruTokiNoNakade7
    ##幸七
    ##遙か7
    ##エアスケブ

    広い大地の間を割くように閃光が走る。
    そのことに気がついた次の瞬間、激しい音とともに地面を叩きつけるような大粒の雨が降り出す。

    「姫、こちらへ!」

    突然の大雨に驚き、身動きがとれなくなった七緒を幸村は強く手を引いていく。
    バランスを崩しかかった七緒であるが、幸村に後れを取るまいと体勢を整え、走り出した。

    「ここなら大丈夫ですね」

    そう言って幸村が連れてきたのは廃屋と思われしき建物の軒下であった。
    周りを見渡すとかつては田畑だったのかもしれないが、すっかり荒れ果てた土地となっており、草木が無造作に生えるだけであった。

    「兄さんや大和は大丈夫かな……」

    今、幸村たちは上田から九度山への長い旅路の最中。
    五月や大和は先発隊の一員として先を行っているが、この雷雨には当たっていないだろうか。
    そう不安に思う七緒であったが、幸村は七緒に笑みを向けて話す。

    「五月たちであれば、そろそろ宿場町に到着するので、大丈夫かと思います」

    五月たちが雨に当たる可能性が低いとなれば、考えるのは自分たちのことだけでいい。
    そう思うと少しだけ安堵する。
    だけど、逆に考えれば、五月たちにしてみれば、自分たちが雷雨に取り残されているのではないかと心配しているのではないだろうか。
    少しでも彼らの不安を払拭するべく一刻も早く歩を進めたい七緒であった。

    しかし、
    「雨、止みませんね……」
    「そうですね」

    幾分弱まったものの、歩き出すほどの弱さにはなっていない。
    幸いなことに西の方の空は少しだけ明るくなっているので、それに希望を見出し、七緒はもうしばらくの間、雨が通り過ぎるのを待とうとした。

    ところが、くしゅんと、七緒の口から小さなくしゃみが飛び出してしまう。
    そんなに濡れていないつもりであったが、よく見ると服のあちこちに水滴が染み込んでいるのがわかる。
    そして、突然の雷雨のせいか、気温が下がっているのも実感する。
    ほんのわずかであるが、寒気がするのを感じた。

    「姫、失礼します」

    そう言うが早いが、七緒は身体が温もりで包まれているのを感じた。
    幸村に後ろから抱きしめられていると気がつくのは次の瞬間のこと。
    幸村の腕に力が込められてくるのを感じる。
    今までも抱き寄せられたことはあったが、ここまで気持ちがこもった抱擁は初めてな気がする。
    単に「温める」、それだけの行為を越えている。そんな気がしてならない。

    「あなたが消えてしまいそうで……」

    幸村の絞り出すような声。
    それに驚き、七緒が後ろを振り向くと、そこにあったのは何かを思いつめたような幸村の表情であった。
    なぜ、彼がそんな言動を取るのか七緒には理解できない。

    「大丈夫ですよ。私は消えませんから」

    できるだけの優しさを込めてそう語りかける。
    だけど、幸村はその言葉に納得していないのか、七緒を抱きしめる腕の力を緩めようとはしない。

    ポツリ。
    七緒の手の甲に何かが滴るのを感じる。
    雨だと思って気がつく。それは幸村の瞳から零れ落ちた涙だということに。

    彼の言葉の真意がわかるのはもう少し先のこと。
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    百合菜

    DOODLE地蔵の姿での任務を終えたほたるを待っていたのは、あきれ果てて自分を見つめる光秀の姿であった。
    しかし、それには意外な理由があり!?

    お糸さんや蘭丸も登場しつつ、ほたるちゃんが安土の危険から守るために奮闘するお話です。

    ※イベント直前に体調を崩したため、加筆修正の時間が取れず一部説明が欠ける箇所がございます。
    申し訳ございませんが脳内補完をお願いします🙏
    1.

    「まったく君って言う人は……」

    任務に出ていた私を待っていたのはあきれ果てた瞳で私を見つめる光秀さまの姿。
    私が手にしているのは抱えきれないほどの花に、饅頭や団子などの甘味に酒、さらにはよだれかけや頭巾の数々。

    「地蔵の姿になって山道で立つように、と命じたのは確かに私だけど、だからってここまでお供え物を持って帰るとは思わないじゃない」

    光秀さまのおっしゃることは一理ある。
    私が命じられたのは京から安土へとつながる山道を通るものの中で不審な人物がいないか見張ること。
    最近、安土では奇行に走る男女が増えてきている。
    見たものの話によれば何かを求めているようだが、言語が明瞭ではないため求めているものが何であるかわからず、また原因も特定できないとのことだった。
    6326

    百合菜

    MAIKING遙か4・風千
    「雲居の空」第3章

    風早ED後の話。
    豊葦原で平和に暮らす千尋と風早。
    姉の一ノ姫の婚姻が近づいており、自分も似たような幸せを求めるが、二ノ姫である以上、それは難しくて……

    アシュヴィンとの顔合わせも終わり、ふたりは中つ国へ帰ることに。
    道中、ふたりは寄り道をして蛍の光を鑑賞する。
    すると、風早が衝撃的な言葉を口にする……。
    「雲居の空」第3章~蛍3.

    「蛍…… 綺麗だね」

    常世の国から帰るころには夏の夜とはいえ、すっかり暗くなっていた。帰り道はずっと言葉を交わさないでいたが、宮殿が近づいたころ、あえて千尋は風早とふたりっきりになることにした。さすがにここまで来れば安全だろう、そう思って。

    短い命を輝かせるかのように光を放つ蛍が自分たちの周りを飛び交っている。明かりが灯ったり消えたりするのを見ながら、千尋はアシュヴィンとの会話を風早に話した。

    「そんなことを言ったのですか、アシュヴィンは」

    半分は穏やかな瞳で受け止めているが、半分は苦笑しているようだ。
    苦笑いの理由がわからず、千尋は風早の顔を見つめる。

    「『昔』、あなたが嫁いだとき、全然相手にしてもらえず、あなたはアシュヴィンに文句を言ったのですけどね」
    1381

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    百合菜

    DONE2021年2月7日に開催された天野七緒中心WEBオンリーで実施した「エアスケブ」で書いたものです。

    リクエストは「炊事をする幸七」です。
    ……が、実はこれは没案の方です。
    (それを先に書く私も私ですが^^;)

    そもそも「炊事」とは何なのかとか、買い物で終わっているじゃない!という突っ込みはあるかと思いますが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
    「姫様、こちらは何ですか?」

    何度目になるかわからない八葉たちによる令和の世の天野家の訪問。
    さすがに慣れてきたのか、八葉の者たちは早速手洗いを利用したり、リビングでソファに座りながらテレビを見たりするなど、思い思いのくつろぎ方を見出すようになった。
    その中で、七緒と五月、そして武蔵の三人は八葉に茶と軽い食事を出すために台所へいた。

    「これは、電子レンジって言うんだ」
    「でんし…れん……じ、ですか?」

    水道水の出し方や冷蔵庫の扱いには慣れてきた武蔵であったが、台所の片隅にある電子レンジの存在は使ったことがないこともあり認識していなかったらしい。
    七緒もそのことに気がつき、武蔵に説明する。

    「うん。説明するより、実際に見てもらった方がいいと思うから、使ってみようか」

    そう言って七緒は冷凍室から冷凍ピザを取り出す。
    そして、慣れた手つきで袋を開け、さらにピザを乗せていく。
    数分後、軽快な電子音が鳴り響き、そしてレンジの扉を開くとトマトソース匂いが台所に広がっていく。

    「ほお、相変わらず神子殿の世界にあるものは興味深いね」
    「そうですね、兼続殿」

    そこに現れたのは兼続と幸村のふ 2359

    百合菜

    DONE2021年2月7日に開催された天野七緒中心WEBオンリーで実施した「エアスケブ」で書いたものです。

    リクエストは「炊事をする幸七」です。
    ……が、実はこれは没案の方です。
    (それを先に書く私も私ですが^^;)

    そもそも「炊事」とは何なのかとか、買い物で終わっているじゃない!という突っ込みはあるかと思いますが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
    「姫様、こちらは何ですか?」

    何度目になるかわからない八葉たちによる令和の世の天野家の訪問。
    さすがに慣れてきたのか、八葉の者たちは早速手洗いを利用したり、リビングでソファに座りながらテレビを見たりするなど、思い思いのくつろぎ方を見出すようになった。
    その中で、七緒と五月、そして武蔵の三人は八葉に茶と軽い食事を出すために台所へいた。

    「これは、電子レンジって言うんだ」
    「でんし…れん……じ、ですか?」

    水道水の出し方や冷蔵庫の扱いには慣れてきた武蔵であったが、台所の片隅にある電子レンジの存在は使ったことがないこともあり認識していなかったらしい。
    七緒もそのことに気がつき、武蔵に説明する。

    「うん。説明するより、実際に見てもらった方がいいと思うから、使ってみようか」

    そう言って七緒は冷凍室から冷凍ピザを取り出す。
    そして、慣れた手つきで袋を開け、さらにピザを乗せていく。
    数分後、軽快な電子音が鳴り響き、そしてレンジの扉を開くとトマトソース匂いが台所に広がっていく。

    「ほお、相変わらず神子殿の世界にあるものは興味深いね」
    「そうですね、兼続殿」

    そこに現れたのは兼続と幸村のふ 2359

    百合菜

    DONE2021年2月7日に開催された天野七緒中心WEBオンリーで実施した「エアスケブ」で書いたものです。
    リクエスト内容は、「はっさくを食べる二人」。

    本当は、「探索の間に、幸村と七緒が茶屋でかわいくはっさくを食べる」話を書きたかったのですが、実際に仕上がったのは夏の真田の庄で熱中症になりかかる七緒ちゃんの話でした^^;

    ※スケブなので、無理やり終わらせた感があります
    「暑い……」

    七緒の口から思わずそんな言葉が出てきた。
    富士に登ったものの、呪詛返しに遭い、療養することを強いられた夏。
    無理ができない歯がゆさと戦いつつも、少しずつ体調を整えるため、その日、七緒は幸村の案内で真田の庄をまわっていた。

    秋の収穫を待ちながら田畑の手入れを怠らないものたちを見ていると、七緒は心が落ち着くのを感じる。
    幸村を育んだ土地というだけに穏やかな空気が流れているのだろうか。ここにはいつまでも滞在してしまいたくなる安心感がある。

    しかし、そのとき七緒はひとつの違和感を覚えた。
    呪詛とか怨霊の類ではない。もっと自分の根本に関わるようなもの。
    おそらくこれは熱中症の前触れ。
    他の土地よりは高地にあるため幾分和らいでいるとはいえ、やはり暑いことには変わりない。
    七緒の変化に幸村も気づいたのだろう。
    手を引かれたかと思うと、あっという間に日陰に連れていかれる。
    そして、横たえられたかと思ったその瞬間、七緒は意識を失っていた。


    水が冷たい。
    そう思いながら七緒が目を開けると、そこには幸村のアップの顔があった。
    「姫、大丈夫ですか?」
    そう言いながら自分を見つめる紫の瞳 1386

    百合菜

    DONE2021年2月7日に開催された天野七緒中心WEBオンリーで実施した「エアスケブ」で書いたものです。
    遅刻となってしまい、申し訳ございません。
    リクエスト内容は、「空を見る二人」。

    5章をイメージして書きました。では、どうぞ。

    ※ゲームを見返すエネルギーがないため、取り急ぎ「荘園」という言葉を使いました。
    後日見返して訂正します。
    「若様、姫様、そろそろ休んだらどうだい?」

    その日、七緒は幸村とともに真田家の荘園の見回ることとなった。
    富士で呪詛返しを受けたため、現在、七緒は信濃でゆっくりと療養している。幸い身体の調子は戻ってきており、再度の富士登山に向けて体制を整えているところであった。

    見回りと言っても幸村はただ視察するだけではなく、農作業に加わる。
    故郷を離れていた時期が長いため、民とともに田畑の手入れを行うことが何よりの喜びだと話す様子が七緒には印象的だった。
    幸村には「姫は木陰で休んでいてください」と言われるが、周りのものがあくせく働いているのを見ると申し訳ない気持ちになる。それに幸村が生まれた土地のために汗水を流しているのだから、少しでもいいから力になりたい。
    そう思って七緒もともに身体を動かしていたのだが、思っていた以上に時間が経ったらしい。
    太陽はいつの間にか空の一番高いところまで上り、強い日差しが七緒と幸村を照らしていた。
    「せめてものお礼に」と言われて差し出されたおむすびを七緒は口に頬張る。
    塩でシンプルに味付けされたものだが、空腹の身にはそれが却っておいしく感じる。

    ふと何気なく七緒は 1602

    百合菜

    DONE2021年2月7日に開催された天野七緒中心WEBオンリーで実施した「エアスケブ」で書いたものです。
    リクエスト内容は、「はっさくを食べる二人」。

    本当は、「探索の間に、幸村と七緒が茶屋でかわいくはっさくを食べる」話を書きたかったのですが、実際に仕上がったのは夏の真田の庄で熱中症になりかかる七緒ちゃんの話でした^^;

    ※スケブなので、無理やり終わらせた感があります
    「暑い……」

    七緒の口から思わずそんな言葉が出てきた。
    富士に登ったものの、呪詛返しに遭い、療養することを強いられた夏。
    無理ができない歯がゆさと戦いつつも、少しずつ体調を整えるため、その日、七緒は幸村の案内で真田の庄をまわっていた。

    秋の収穫を待ちながら田畑の手入れを怠らないものたちを見ていると、七緒は心が落ち着くのを感じる。
    幸村を育んだ土地というだけに穏やかな空気が流れているのだろうか。ここにはいつまでも滞在してしまいたくなる安心感がある。

    しかし、そのとき七緒はひとつの違和感を覚えた。
    呪詛とか怨霊の類ではない。もっと自分の根本に関わるようなもの。
    おそらくこれは熱中症の前触れ。
    他の土地よりは高地にあるため幾分和らいでいるとはいえ、やはり暑いことには変わりない。
    七緒の変化に幸村も気づいたのだろう。
    手を引かれたかと思うと、あっという間に日陰に連れていかれる。
    そして、横たえられたかと思ったその瞬間、七緒は意識を失っていた。


    水が冷たい。
    そう思いながら七緒が目を開けると、そこには幸村のアップの顔があった。
    「姫、大丈夫ですか?」
    そう言いながら自分を見つめる紫の瞳 1386

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