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    むらた

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    むらた

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    ほんの賑やかしになればと……頑張って書いたハロウィン京友(常に書きかけで申し訳ない)載せときます!
    出てきませんが天智と友一が一緒に暮らしてる、京が時々遊びに来るっていう設定です

    ハロウィン京友(書きかけで供養) 今宵は満月。いや、今宵も満月と言うべきか。暗闇の中、沈むことのない赤い満月が雲をかき分けて妖しく漂う。
     高く伸びた屋根の切っ先にカラスが止まる。そして、高らかに鳴き声を上げた。荒れ果てた土地の中、ひっそりと身を隠すように佇む、今にも崩れそうなボロ屋敷がある。そこには、人間は誰ひとり住んでいない。その代わり、人間とは似ても似つかぬ『怪物』が2人、静かに暮らしている。



     
     木材を弾くような小気味いい音が響く。友一は長くうねる屋敷の階段を一歩一歩、下っていた。暗がりの中、手に持った燭台の炎が大きく揺らめいて、友一の青白い横顔に影を作る。
     一段、また一段。しかし長い階段だ。最後の一段がまだあんなにも小さいのだから。友一は小さくため息をついた。
     ふと、視界になにか赤いものがちらついた。脇に目をやると、どこから入ってきたのか、紅色の毛並みの猫が手すりの上を悠々と歩いていた。先端が2つに分かれた尻尾を大きく揺らし、蜂蜜色の瞳に友一を写した。
     足を止めた友一は眉間に深く皺を寄せて、ビー玉のような瞳をじっと睨み返す。その猫はあくまでも毅然とした態度を貫くようだ。ため息をついて、友一は再び階段を下りはじめた。
     一段、また一段。友一の少し前で、猫が悠々と手すりを下っていく。その背を追うように、突然に隙間風が駆け抜けた。燭台の炎が風下へ大きく振れる。友一は焦る。まずい。これが消えれば、真っ暗になって何も見えなくなってしまう。友一は燭台に意識を完全に向けて、そのせいか、注意力散漫になった右足は見事に階段を踏み外した。

    「ぅ、わ……っ!」

     こちらを振り向いた猫が手すりを蹴った。ダメだ、落ちる。友一は固く目をつむって衝撃に堪えた─────あれ?
     いつまで経っても階段とぶつからないので、薄らと目を開ける。煌めくような蜂蜜色の瞳が見えた。友一の手首は目前の紅髪の青年によって片手で掴まれ、腰は強く抱き寄せられていた。窓から差し込む月明かりがスポットライトのようで、まるで不恰好なダンスのポーズみたいだ。目を丸くした友一を見て、青年はくっと口角を上げる。

    「危ないですよ。余所見しちゃダメ」
    「…………ぁ、り、がとう……」

     友一は気まずそうに目線を逸らし、まごつきながら礼を言った。目の前の顔は得意げにアーモンド型の目を細めた。
     どうせ転げ落ちたとしても、腕や頭がバラバラに飛び散るだけですぐに元通りに動けるんだから、特に問題はないんだけど。言い訳じみた屁理屈は喉奥へと追いやった。
     青年が友一をさらに近くへと引き寄せる。両腕が友一の背に回り、ぎゅっと抱き締められた。青年は友一より身長が頭ひとつ低いため、抱き締めるというより、しがみつくと言った方が近いような気がする。
     青年が次に口にするセリフを、友一は知っている。それは友一を苦しめるまじない。とっくに鼓動の止まった友一の心臓を柔らかく締め付け、空っぽの頭をなによりも悩ませる。

    「先輩、好きです。僕と番になってください」

     予想通り。そして、俺の返事も。

    「嫌だ」

     青年はそれを聞いて眉間をぎゅうっと寄せて唇を尖らせて、あからさまにふてくされた顔になる。

    「あ〜あ、またフラれちゃった!これで65回目。ねぇ、どうしてなんですか?僕のことが嫌い?」
    「あのなぁ、京。お前は猫又、だけど俺は違う。だからお前の子供は作れないし、番にもなれないんだ。お前が好きとか嫌いとか、そういう次元の話じゃないんだよ」
    「その言葉は70回目!聞き飽きたよ」

     70回も同じことを言わされる身にもなってほしい。離れるように促すと、一度だけ強く抱きしめてから離された。京の長い尻尾が名残惜しそうに友一の手首に絡みついてくるので、


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