飛来キラキラと陽の光を反射する真っ白な世界。
ここ数日の吹雪が嘘のようにクルザス中央高地は穏やかな姿を見せてくれた。雪の結晶が宝石のように瞬くダイヤモンドダストが舞い、全ての音が消えてしまったような静けさに思わず窓の外を覗き込む。
すぅ、と息を吸い、静けさを案じながら控えめに呟く。
「すごい、やっと晴れたね」
窓を開けようとした手は触れた窓ガラスの冷たさに引っ込められる。
「ああ、綺麗だね テッド、君の調子はどう?」
「うん、もう大丈夫!ウェドのお陰だよ」
「良かった おいで、窓際は冷える」
迎え入れるように差し出された手を取るとするりと腰を引き寄せられ、翠色の瞳を隠す長く伸びた前髪の間から額に口付けられた。
「うん、もう熱は無さそうだ」
3751