定時と残業──よし!おれ、医者になる……
地頭(じあたま)が良い、と言ってくれた二番目の兄、カラ松に応じるように、医の道を志した。
乗せられた、と言ってもいい。
おまけに、次々と他の兄弟たちにも褒められたもんだから。
そこまで言われれば、おれも調子に乗るのは仕方のない事だろう。
実際、調子に乗った。
ノリで受験したら、マジで医大に受かってしまったのだ。
これでは更に調子に乗らざるを得ない。
居間で合格通知を高々と掲げると、父さんと母さんは抱き合って嬉し泣きをしていた。
だがここで学費、という問題が浮かび上がる。
医大の学費は高い、と噂に聞いた事がある。
うちの財力じゃ、無理無理。
六年間も通うとか、正直面倒だしニートの身にはハードルが高い。
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