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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    没が出たとのアラームにより現場にやって来るとそこには十、いや二十を軽く超える没の集団がそこにはいた。よくよく見ると増殖しているではないか、琥珀はその数の多さに思わずげんなりしたが、避難しきれていない市民がいる事に気づいた。幸運にも物陰に隠れている市民に没が気づいている様子はないが、これは早く何とかしないといけないと危機感が体を走る、先程ニジゲンから貰った想像力で万年筆を剣に変えた時、後ろから聞きなれた声が聞こえた。
    「うっわ〜、沢山いますねぇ」
    「八重さん!」
    後ろをむくと八重がやれやれと言った感じで腰に吊るしている刀を引き抜く、彼がここに来たということはクビがかかっているのだろう。それ抜きにしてもここに八重が来たのは琥珀にとって心強かった、彼となら後ろを安心して任せられる。八重は他にいたツクリテやニジゲンに指示を出しながら琥珀に話す。
    「さて、琥珀くんはどう戦います? 合わせるよ」
    「まず避難していない市民がいるので俺が囮をします。なるべくここから離すのでその間に避難指示が出来たら……後は八重さんがしやすいように」
    「なるほど、なら前は任せますよ」
    八重はどこかそう笑うと刀を構える、まるで後ろは任せて欲しいと言っているようだった。琥珀は少し笑うと剣を構え直しそのまま走り出す、琥珀が走り出したため没も釣られて琥珀の方へ向かい出す、その間に八重は避難しきれていない市民を誘導しつつそっと琥珀の様子を見る。
    琥珀は走りながら没の攻撃を避けるとすぐさま本体ごと斬っていく、スピードを生かせばいいと言ったのは八重自身だったが、あそこまで自分のスピードを生かして戦うツクリテは八重の知っている限り琥珀ぐらいだろう。
    「いや〜……怖いなあの子」
    昔、剣道経験者の自分に一本取った時から才能はあると思っていたが、と苦笑いをする。今でも琥珀の動きが見失いそうになる時があるのだ、あのお世辞にも恵まれていない体格と八重より低い身長だからこそ、それを敢えて武器にしているのだろう。
    琥珀なりに親友を探すという気持ちがあの戦闘スタイルを確立したのだ。あれでもし身長が八重ぐらいの身長であのスピードだったら──八重は考えるのをやめた。
    すると琥珀が斬り零した没が真っ直ぐと八重の方へ向かっていく。普通だったら心配するが、琥珀は後ろを向かずにそのまま目の前の没を斬る。決してその没に気付いてない訳では無い、八重なら大丈夫だという信頼の現れだった。
    「おっと、そんな無鉄砲に来られても困るなぁ」
    そんな軽口を叩きながら避けもせず攻撃を受け流すとそのまま没を真っ二つに斬った。没からは血など出ないというのに八重の刀にはインクのような汚れが付着していく。まるで人を斬った時の血のような、そんなインク汚れだった。斬っているのは没だというのに、と琥珀は後ろを見てそう思った、その光景は琥珀からしたら人斬りのように見えるのだ。ほぼじっとした状態で没を斬る八重、しかも避けもしないその様子にやっぱり一番恐ろしいのは八重ではないか、なんて思いながらも大声を張り上げた。
    「八重さん! 大丈夫ですか!」
    「大丈夫大丈夫、こっちの事は気にしなくていいから」
    二人は没の斬る手を止める事なく会話をする。その場に動かずに向かってくる没を斬る八重と、素早く動きながら斬っていく琥珀。没の数は段々と減っていき、最後お互いに斬りつけた時、周りは静かになった。
    琥珀と八重は辺りを見回す、どうやらさっき二人が同時に斬った没で最後だったらしい。琥珀は後ろを向いて八重を見る、刀が真っ黒にインクに汚れているのをなんとも言えない顔をしながら歩いた。
    「お疲れ様です、怪我は?」
    「大丈夫、琥珀くんも大丈夫? すごく突っ込んでましたけど」
    「大丈夫です、数が多かったですけど攻撃は単調でしたし……。……どうぞ、汚れ酷そうなので」
    「あ、ありがとうね」
    琥珀はポケットティッシュを取り出すと八重に渡した。八重はそれを受け取るとティッシュを数枚取り出し、刀を撫でるように拭いていく。先程までインクで汚れていた刀が綺麗になっていった、数回それを繰り返して鞘に納める。八重はさてと、と話を切り出した。
    「さて、報告書書いたらご飯食べに行きます?」
    「八重さんの奢りなら」
    「……いい性格してるよねぇ……。いいよ、奢ります」
    いつものラーメン屋に行こうと話になり、その前に報告書を書くため二人で創務省へ足を運ぶのであった。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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