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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    創作ウマムスメ

    よその子さんお借りしてます

    レース場にはこれでもかと人、人が観客席からウマ娘を見ていた。もちろん、注目しているウマ娘はここ最近のレースを連勝し続けているシギリサンダイン、そしてそれを阻止できるかのニガメチョコレイトが観客内でもっぱらの話題だった。そんな話題を他所にアナウンスが流れる。
    『前日の雨によりぬかるんでいます、レースに影響がないといいですね。今日はシギリサンダイン連勝記録に名を残すのか!三番人気はこの子、ウキウキ。連勝ストップとなるか! 二番人気ニガメチョコレイト。そして皆の期待を背負って1番人気、シギリサンダイン。各ウマ娘、ゲートインしました…… 』
    アナウンスが耳にはいるニガメ、隣に立っていたサンダインはやる気に満ち溢れた目と表情でレース場を見る。自分はいつもの通りレースをすればいい、けれど、ニガメは思わず胸あたりに手を置いた。なぜ先程から胸のざわつきが取れないのか、と。そうしているうちにレースが始まりそうになり、ニガメは集中しようと走る体制に入った。
    レースが始まり一斉にウマ娘達が走り出す。ウマ娘を突き放すように一着に躍り出たニガメ、前日の雨で道がぬかるんでいるのにもかかわらず、ぐんぐんと走り出すニガメ。ここまで飛ばさないとサンダインに追い越されるのが目に見えてしまうからだ、今もこうして、彼女は自分を追い越すかのように狙いを定めているのだろう。
    そしてニガメは第3コースを曲がった、曲がってすぐになにやら観客席でどよめきが聞こえ出した。なんだろうか、と少しだけ後ろを向いた時、思わず目を見開いた。
    ──サンダインが足を押えて蹲っていたのだ。
    ニガメは足が勝手に動いてレースを逆走した、その行動にさらに観客席からどよめきが大きくなる。いままでなかったのだ、ウマ娘が逆走するなど。他のウマ娘達も思わず動揺の表情をしたが、そんなどよめきすら、表情すらニガメには聞こえず、見えず、急いでサンダインの元へ走った。
    「サンダイン! サンダイン無事か!」
    サンダインの近くまでやってきたニガメは、サンダインの傍に座り込み、怪我したところであろう足を見ようとした時、サンダインがニガメを睨みつけながら怒鳴った。
    「何してんだ! 走れ! お前はオレのライバルだ!こんなとこで戻って来てんじゃねぇ!」
    サンダインはそう怒鳴るとニガメを突き放そうとする、サンダインの表情は大事なレースで観客の前で転倒してしまった恥と、痛みで動かない足に対する絶望が混じっていた。ニガメはサンダインを黙って見ていたかと思うと、彼女の肩を掴み怒鳴った。
    「何を言うんだ! 君を置いて走れって言うのか!? 僕はそれで勝っても嬉しくない! 全く嬉しくない! 後悔しか残らない! 君を置いていったという後悔しか残らないんだ! ……少しじっとしてて、君を救護室に運ぶ」
    自分でも恐ろしい剣幕で言った自覚はある、けれどニガメからしたらこんな状態で勝っても全く嬉しくなかった。ライバルが負傷して勝って笑うなど、したくなかったのだ。サンダインは何も言わなかった、けれど、頬を伝う涙をちらりと見てニガメも思わず泣きそうになったが、堪えてレース場を後にした。
    あのあと、救護室に運んだサンダインは救急車に乗せられ病院へと行った。ニガメの耳に入ったのは、右脛骨の骨折だと言うことだった。骨折、ニガメがなんとも言えない表情で考えていると話しかける人物等がいた。どうやら記者らしい、テレビカメラもおり、どうやら生放送で流すのだろう。記者はニガメに聞いてきた。
    「ニガメチョコレイト! 今回のレース、棄権したと言うことですが……怪我したシギリサンダインに何か言いたいことは?」
    「……」
    もしかしたら彼女はこのテレビを見てるかもしれない、ニガメは真っ直ぐ記者を、テレビカメラを見る。その目付きに思わず記者が息を飲むほどに。ニガメは口を開いた。
    「……今回のレース、人によっては美談だと、人によっては愚かだと思うだろう。……けれど、僕は彼女を見捨てるつもりもないし、彼女がここで折れるとも思わない」
    見ているか、サンダイン。とニガメは心の中で問う。もし見ていたら、自分のこの言葉をどう思ってくれるだろうか。ニガメは黙ってしまった記者を横目に言葉を続ける。
    「……僕は君が帰ってると信じて勝とう。君が背負う王者の椅子を守り続けよう。……まぁ、君が戻ってきてもその椅子を譲る気は無い。もちろん、他のウマ娘達にもだ……。【超高速の革命児】の名にかけて。……だから必ず戻ってこい、サンダイン」
    そう言ったニガメはその場から後にした。彼女なら必ず戻ってきてくれるはず、その時は本気のレースをしたいものだ。と窓から見える夕焼けを見て目を細めた。自分の言葉が、伝わりますように。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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