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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    お誕生日おめでとうございます〜!

    よその子さんお借りしてます

    ##うちよそ

    遊園地デート 街から少し外れた道の先にひっそりと佇む、とある建物。そこの家主である理人は、ちらりと時計を見る。時計の針はもうすぐ十五時をさそうとしていた。そろそろあいつが来るな、と機密事項が記されている書類をしまった時、勢いよく扉が開く。来たな、と理人は呆れた顔をして前を向いた。
    「理人様〜! 来ました! お茶入れますわ」
    「……あーもう勝手にしろ……」
     理人はそう言ってお茶の準備をした相手───九子を見た。前々から自分の事が好きだと言ってはこうして、毎度のように事務所に来るのだ。どうせ学生特有の気の迷いだろうと思って九子の発言を尽く無視していた。

     理人はため息をはいて、引き出しからとあるものを二枚とって九子に見せた。
    「行くか? お前」
    「……? ……!? り、理人様これ……!」
     お茶を持ってきた九子は怪訝な顔をして理人が見せてきたものを見た、そしてすぐさま顔色を変える。そう、理人がみせたのは、隣町に出来た遊園地のペア招待チケットだった。実は依頼をこなした時、貰ったものだったが、行くような相手もいないしとのことでずっと引き出しの中にしまっていたのだ。
     ゴミにするくらいなら使った方がいい、と理人は考えて九子に見せたのだ。
    「……今度の土曜日なら俺は空いている。……ま、お前次第だが?」
    「行きます! 行きますわ! はぁ〜……理人様とデート……」
    「いやデートじゃねぇけど……」
     理人の言葉が聞こえてないのか、チケットを持っては嬉しそうにくるくる回る九子、そんなにかと頬杖をついてお茶を飲む。
    「美容室行かなきゃ……あと服も……」
     ぶつぶつと言い出した九子を横目に、ちらりとカレンダーを見る理人、今度の土曜日まであと三日。

     土曜日、天気は真っ青な青空で雨の降る心配もない。理人が待ち合わせ場所まで行くと、もうそこに九子がいた。普段の格好より可愛らしい花柄の着物に袴に見えたが、よくよくみたら袴ではなく袴スカートだと分かった。たしかいま流行りだとか聞いたが、理人はよく分からなかった。けれど、よく似合っていた。
    「早いなお前」
    「理人様! 理人様を待たせる訳にはいかないので! きゃー! 理人様素敵……」
     普段とそんな変わりない格好だが、と思いつつさりげなく九子の肩を抱いて引き寄せる。先程からチラチラと九子のことを見ていた男性数人がいたからだ、九子は突然の事で顔を真っ赤にしていた。理人は相手に向かって睨みをきかせたあと、一緒に電車に乗った。
     隣町について電車から降りて、少し歩くと遊園地についた。オープンしたばかりかたくさんの人がいた、カップル、親子連れ……理人はスタッフにチケットを出して中に入る。九子は興奮した様子で理人の腕を引っ張る。
    「理人様! どれから乗ります?」
    「お前の好きなやつでいい」
     そういうと九子はまず最初にメリーゴーランドのあるエリアへと理人を連れていった。理人はぼんやりと乗りながら、ここの遊園地はイルミネーションが綺麗と聞いていたことを思い出す。九子に見せれたら良かったのだが、相手はまだ未成年だ。そんな遅くまで連れ回すのは問題だろう、と理人は少し息を吐く。
    「お前、何時が門限?」
    「え? そうですね……十九時前までに帰れば……」
    「なら遅くならないうちに送るから」
     たしかイルミネーションは十六時からだったはず、電車で隣町までそんなにかからない。なら十八時にイルミネーションをみて帰ればいい、理人はそう考えた。

     楽しい時間はあっという間に過ぎていく、遊園地についたのは昼前だったというのに、もう夕方なのだ。周りではイルミネーションの明かりが綺麗に周りを彩っていた。その時、九子が腕を引っ張る。
    「理人様、最後に観覧車に乗りたいですわ」
    「観覧車……いいけど」
     そう言って観覧車の前に行く、運良くすぐに乗れ、外から遊園地の風景を眺める。昼間乗ったメリーゴーランドも、色んなところに行ったエリアも、イルミネーションで綺麗に輝いていた。
    「ゆ、夢みたいですわ……理人様と二人っきり……」
     九子はそういいつつ、外を見る。よほど理人と過ごせたのが嬉しかったのだろう。その表情を見た時、ほんの少しだけ学生特有の気の迷いには見えなかった。理人はにんまりと笑って、少し意地悪そうに口を開く。
    「……なぁ、お前が俺の気持ちが本気だって言うなら……」 
    「理人様?」
     ちょうどその時、観覧車が一周おわったからか、係の人が扉を開けた。理人はそれ以上何も言わずにさっさと観覧車から出る。九子は慌てて追いかけ腕をとった。
    「り、理人様! 何を言いかけたのですか……?」
    「……」
     理人は少し考えて、九子の唇に指を当てた。
    「さぁな?」
     その表情は、普段見せる呆れた表情でもなく、口元が笑っており、九子を見る目が一段と優しかった、ように見えた。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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