恋愛相談 目の前にいる湖翠幽と共に近くのカフェでお茶をする創。彼女は、自分が行方不明になる前に知り合っていたのだが、行方不明になっている間、琥珀と知り合って自分を捜してくれた一人だった。ナンパして知り合ったというのに、そうしてくれた彼女には感謝していた。今もこうして、たまにお茶に誘っているのだが、相手の口からでた言葉に思わず紅茶を噴き出した。
「創さん、好きな人いるでしょう」
「……ぶっ!」
「うわ、ちょっと……」
驚きのあまり噴き出した創を横目に、慌ててナプキンを何枚か取り出してテーブルを拭く幽。少し咳き込みつつ、しどろもどろに創は口を開く。
「え、えっ……? な、なんっ」
「いや見てたら分かりますけど……」
「えっ!? 俺そんなに分かりやすい!?」
心做しか頬が熱い気がする、もしかしたら顔真っ赤なのだろうか、今の自分の顔は。いわゆる女の勘というものだろうか、思わず頭を抱える。こうも図星されてしまうとこんなにも焦るものなのか。
「まぁ……何か困ったらいつでも言ってください。私、これでもきちんと女なので、相談にはのります」
「あー……うん、ありがとう……うわすごく恥ずかしい……」
自分の脳裏に好きな相手の顔が思い浮かぶ、幽の言葉通り、相談してもいいかもしれない。なんせ自分の中で相談できる相手があまりいないのだ、自分の親友である琥珀は論外、女性が苦手なのに相談など出来るはずがない。
「あー……でもね……相手の子、ナンパしてきた相手論外って……」
「まさかの脈ナシですか……」
「うっ……で、でも何回かお出かけしてる……楽しいって言ってはくれる……」
「まぁ創さん、変なことしませんよね。ナンパするわりには」
「褒めてるそれ……?」
そう言えば似たような事を相手からも言われた気がする。やはりナンパすると軽く見られてしまうのだろうか。いや、当たり前の話か、と創は思わず笑う。
「創さん、エスコート上手いしそのナンパやめればいいのに……」
「あー……まぁねぇ」
ナンパしなければいいのに、よく言われる言葉だ。そもそも、ナンパするほど女の子が好きかと言われると、実はそうでもない。話は長くなるが、元々は琥珀に話しかける女性を少しでも遠ざけられたら、なんて学生時代の自分が考えた事だ。それがずるずると引きずって、今に至る。
琥珀はなんとなく察しているからか、呆れていた。本当はわかってる、もうそんな事しなくても琥珀は昔より症状も落ち着いているし、しなくてもいい事に。
「ところで、どんな子ですか」
「あー……待ってね」
そう言えば一度出かけた時、写真を撮ってもらったことがある。それがあったはず、とスマートフォンを操作して幽に見せた。
「この子」
「……私が付き合いたいぐらいだが? え、美人」
幽の言葉に慌ててスマートフォンを仕舞う創。
「だ、だめ! いくら幽ちゃんでもこの子はダメだからね!?」
「冗談ですって」
創の反応が面白かったからか、笑いながら飲みものを飲む幽。冗談なのは分かっていたが、相手の反応に口を尖らせつつ紅茶を飲む。
ついでに、今度出かけるため服装の相談をするか、と創は紅茶を飲んだあと、話すのであった。