あまいひとときをアナタに「師匠、これどうぞ」
夕食後の片付けを終え台所から戻ってきたプロデューサーに、道流は小さなプレゼントを手渡した。二人きりになれる彼の部屋で渡そうと決めていたのだ。
「時間が無かったんで少し簡単なやつになっちゃったんスけど、気持ちは沢山込めたんで!」
そう伝えるとプロデューサーは嬉しそうにありがとうと受け取り、隣に座った。
悩み抜いて決めたシンプルなラッピングは、とても似合っているものに出来たと思う。穏やかに笑う横顔を見ながら、達成感をひっそりと噛み締める。
「この間のカカオラーメンがそうかと思ってた」
「あれは皆が食べられる限定ラーメンなんで」
自信作だったんスよと付け加えれば、美味しかったよとまた笑い返される。と同時にプロデューサーの表情が少しだけ曇った。眉を下げ、困った様な焦った様なものへと変わる。
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