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    periofeel

    ペリコ

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    periofeel

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    ※刀剣破壊描写があります
    友人が木製模造刀の三日月と鶴丸を折ったことから供養的に書いた話の一つ

    -------

    主の身代わりとして遡行軍に拐われてしまった三日月と鶴丸。主が政府に掛け合ったものの要求に応えることは出来ないと言われてそれから数日後に本丸に差出人不明の荷物が届き、嫌な胸騒ぎと共に開けてみると無惨な姿の鶴丸と三日月が………

    #みかんば
    mandarinPlant

    ※刀剣破壊表現あります主はそこから寝込んで床に伏してしまい、折られた鶴丸は伊達の刀たちが引き取り三日月は三条に引き取られた。

    「鶴さんは………暗くて、狭いところに入ると前の主のことを考えてしまうって言ってたから、どこか明るくてにぎやかなところにいさせてあげたいな…」と伊達の刀により本丸の中に分からないようにひっそりと

    「三日月………あなたはいつも本丸の事ばかり気にかけて、ちっともゆっくり出来なかったでしょう……せめてよく眺めていた桜の木のそばに………」って庭の端にある大きな桜の木の下に
    それぞれ安置されたり埋められたりした

    誰もが悲しみ本丸中の火が消えたようなその夜、皆寝静まったころに桜の木の下に山姥切国広が立っていた
    新しく掘り起こされたような土跡を見つけるとそのまま無心で掘り始めた
    土が柔らかくあっという間に埋められていた桐箱に辿り着き、そっと持ち上げ震える手で開ける
    そこには、真っ二つに裂けるようにして折られた三日月宗近が一振納められていた
    「……み、かづき………ッ」
    山姥切国広の頬を涙が伝う

    鶴丸と三日月の折れた姿は、伊達の縁のものと三条派のものしか直接見ていない
    鶴丸ならこんな悲しい驚きを見せたくないだろうと
    三日月は、皆の記憶の美しい姿のままでいさせてやりたいと
    一番縁のあるものたちが故刃の気持ちを組んでやる形で周りの刀たちにはあえて見せないことを選んだのだ
    山姥切国広と三日月宗近には本丸の同じ仲間という他に接点はない
    顕現時期も練度も違う、稀に出陣や遠征が重なることがあるくらいだ
    ただ、山姥切国広が淡く憧れのようなものを抱いていた
    ただ、それだけだった

    だからこそ、折られた聞いた時にわかに信じられなかった
    冒涜と言われようとも、それでもこの目で確かめたかった
    いや、違う
    信じたくなかったのだ
    万が一、違う刀だとしたら
    もしかしたら、別の本丸の三日月宗近だとしたら

    だが、今この手の中にある刀は折れてなお美しく浮かび上がる刃文と間違えようのない主を同じくする気

    「はは………そうだよな、だからここに帰ってこれたんだよな………」

    音もなく泣く山姥切国広がそっと刃文をなぞれば、ちくりとした痛みがはしる
    涙で歪んだ視界には線を引いたような小さな傷跡が
    慌てて三日月の刃を袖で拭く、折れたと言えど三日月を汚すなど
    幸い傷は浅く付いた血をさらりと拭き取り、小さな声で謝罪をする

    「…………すまなかった、今度こそ……ゆっくり眠ってくれ」

    静かに箱に戻し、丁寧に埋葬し直すとまた誰にも気が付かれないようにこっそりと自室に戻った

    桜の木の下、
    その後ろ姿をじっと見つめる影に気がつくことなく
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    periofeel

    MAIKING※刀剣破壊描写があります
    友人が木製模造刀の三日月と鶴丸を折ったことから供養的に書いた話の一つ

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    主の身代わりとして遡行軍に拐われてしまった三日月と鶴丸。主が政府に掛け合ったものの要求に応えることは出来ないと言われてそれから数日後に本丸に差出人不明の荷物が届き、嫌な胸騒ぎと共に開けてみると無惨な姿の鶴丸と三日月が………
    ※刀剣破壊表現あります主はそこから寝込んで床に伏してしまい、折られた鶴丸は伊達の刀たちが引き取り三日月は三条に引き取られた。

    「鶴さんは………暗くて、狭いところに入ると前の主のことを考えてしまうって言ってたから、どこか明るくてにぎやかなところにいさせてあげたいな…」と伊達の刀により本丸の中に分からないようにひっそりと

    「三日月………あなたはいつも本丸の事ばかり気にかけて、ちっともゆっくり出来なかったでしょう……せめてよく眺めていた桜の木のそばに………」って庭の端にある大きな桜の木の下に
    それぞれ安置されたり埋められたりした

    誰もが悲しみ本丸中の火が消えたようなその夜、皆寝静まったころに桜の木の下に山姥切国広が立っていた
    新しく掘り起こされたような土跡を見つけるとそのまま無心で掘り始めた
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