傍にいるよ。深く、深く息を吸う____
肺に貯まりきらない空気はげほ、げほっと、音を立てて外へ逃げていく。その様子を見て大丈夫ですか?と声をかけながら心配そうに背中をさすってくれる。
わたしが大丈夫だよ、と笑えば彼……識は困ったように微笑み返す。風邪かなぁって大人は言ってるけど、何だか違う気がしている。こういうの、違和感って言うらしい。識が教えてくれた。伝染らないように最近ずっと識とお話はしていない。寂しいなって毎日思ってる。
それを識はどうしてか、わかって寂しい時はぎゅっとしてくれる。頭がずっとズキズキして、泣いてる時は背中をさすってくれるの。
「大丈夫ですよ、傍に居ますから」
これが識の最近の口癖になってる。ごめんね、も言えないこの口じゃ何も伝わらなくてもっと泣いちゃう。泣いちゃうと、また識が困っちゃうの知ってるのに我慢できなくて泣いちゃう。
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