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    かなすけ

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    かなすけ

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    Paranomal Crime 自陣のFA 捏造注意

    7,309 kmのお引越し「すまない、ミラ。パパとママはお別れすることになったんだ」

    「お別れ……?どうして?」

    「……ミラには少し難しい話よね。ごめんなさいね、ミラ。パパとママがお別れすることになったから、ミラはアメリカにいるおばあちゃんと、パパのお姉ちゃんのいるお家に行くの」

    唐突に告げられたお別れの話。パパとママはよくケンカをしてたけど、お別れになるなんて考えたことがなかった。私がよく見ているアニメの中では、パパもママもみんな仲良しでケンカはダメってみんな言ってる。先生だって、ケンカした後は仲直りをしましょうって言ってた。だけど、パパとママは仲直りができなかったみたい。

    パパもアメリカに帰るから、そこまで一緒に行こう。その後はハンナに任せる。そんなことを言ってた。きっとハンナっていう人がパパのお姉ちゃん。会ったことはないけど、何度か写真を見せたあの人だよ、っとパパが教えてくれる。

    日本から離れるから日本と一緒にママともお別れする……。アメリカに行く日はミラと会える最後の機会だから空港に行けたらいく。ママからはそんなことを言われた。

    だけど今、空港にはパパと私だけ。飛行機に乗らないといけない時間になってもママはいなかった。私とも、もう会いたくないのかな……?ママは私のことが嫌いになっちゃったのかな?そんな不安がぐるぐるして、心の中が寂しくなる。

    「ほら、ミラ。行くぞ」

    冷たくて大きな手に引かれて、飛行機の席に着いてしばらくすると飛行機が空へと飛ぶ。まるで遊園地のジェットコースターみたいだった。地面から離れていく飛行機。ついこの間まで見上げていた空がそこにあって、足をつけていた場所を見下ろしていた。

    「アメリカまでは時間があるから、寝てなさい」

    「……うん。おやすみなさい」

    「おやすみ」

    いつものパパの冷たい声を最後に瞼を閉じてみる。胸のあたりがドキドキしてる。パパ以外誰も知らない街。でもパパも一緒にはいてくれない。そう考えると瞼を閉じても、眠れない。飛行機の中の電気も消えてきっとみんなも寝ている時間。私も眠らないといけない。遠足の前の日でもクリスマスでもないのに、こんなにも眠れない。だけど眠れないなんて言えなくて、なんとなく時間が過ぎるのを待っていればいつの間にか眠りについた。

    「…………ミラ起きろ」

    身体を揺さぶられ、目を開けると他の人がぞろぞろとどこかに行く。窓の外を見てみれば飛行機は地面についていた。出口をでて、パパと二人できょろきょろと辺りを見回すと写真で見たことがある人の姿が目に入る。

    耳馴染みのない言葉で、パパとその人は話をする。何を話してるかは私には分からなかったけどパパは私の背中を押して、どこかへといく。どこに行くの?と尋ねる前に目の前の人が私の前に出てきた。

    「ミラ、初めまして。私はハンナ スネイルよ。あなたのパパから聞いたと思うけど、私はミラのパパのお姉ちゃんなの。今日から一緒に住むことになったからよろしくね」

    そう少しぎこちない日本語で、ミラよりもずっと大きい身体を縮めて挨拶をする。ハンナ、この人が今日からと家族になってくれる人のひとり。

    「えっと……はじめまして。ミラ スネイルです……」

    「そんなに緊張しないで、ミラ。私たちは今日から一緒の家に暮らす家族なんだから」

    「はい……よろしくお願いします」

    「じゃあ、家に行くわよ!ついて来て!!あ、荷物は私が持つわね!」

    ハンナさんは私が持っていた荷物をひょいと持ち上げて、反対の手で私の手を繋ぎ車まで移動する。パパとはちがう柔らかくてあったかい手。その手をぎゅっと握り返してみると、少しだけびっくりした様で一度こっちを見る。

    「あ、えっと……ごめんなさい」

    「ううん!!いいのよ!!」

    ひまわりみたいなキラキラした、かわいい笑顔に胸のあたりがぱっと明るくなる。パパとママのお別れ。日本からずっと離れた場所で、写真でしか知らなかった人との生活。パパとママがお別れするって聞いた日からずっとドキドキしていた。これからどうなるんだろうって思って怖かった。だけど、ハンナさんの太陽みたいな笑顔が忘れさせてくれる。そんないい予感がする。そんなことを考えながら今日から始まる新しい生活に、新しいドキドキに胸を躍らせた。
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