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    orb_di_nero

    ぬばたま(@orb_di_nero)の小ネタ置き場。
    大体取り留めもない会話文のみ。

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    orb_di_nero

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    アルジェント小ネタ

    ##占傭

    「そういえば、お客さんって好きな人いるの?」
    「え?」
    いつもの靴磨きの途中。急にそんなことを宣った少年の瞳はいたずらっぽく輝いていた。ようやく訪れた春の陽気に誘われつつ広場を見渡していた、そんな時だった。
    「……どうしたんだい、急に」
    「いやなんか、いっつも俺に欲しいものとか聞いてくるけど、それってほんとに俺が本命なのかなと思って。ほんとは好きな人、他にいない?例えば、職場の先輩……とか」
    いつも通りの手際で靴を磨きながら、青緑の虹彩がちらりと見上げてくる。
    「好きな人って、そんな……」
    言われて、思い浮かぶ相手がいないこともない。もちろん目の前にいる彼と、夜に顔を出す教育係のことだ。
    「あ、いるんだ」
    「い、いないよ」
    「いーや、今締まりのない顔してた」
    お客さん、相変わらず顔に出やすいねぇ。
    そう指摘されて、これはある種のテストだったのかと思い至る。顔を引き締めてみるが、少年はくすりと笑っただけだった。
    「またお仕置きされちゃうね」
    「えっ」
    「……なんて、冗談。それで?今どっちを思い浮かべたの?俺?先輩?」
    しゃがんていた少年が、座っている僕の膝に手をついて伸び上がってくる。近付いた顔が、艶を持って微笑んだ。
    「ほら、言ってみろ」
    囁かれた言葉は、間違いなく教育係のもので。
    「ちょ、あの……勘弁して……!」
    熱くなった顔に思わず叫ぶと、靴磨きの少年はきょとんと目を丸くしたあと「ウブだなぁ」と呆れたように呟く。
    ……ぐぅの音も出ないとはこのことだ。
    「……考える時間をあげるから、夜には教えてよ。ね、お客さん?」
    そんなことを言われても、どちらかだなんて選べない。
    僕が好きなのは“彼”なのだから。

    ……なんて言ったら、“彼”も少しは驚いてくれるだろうか。
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    orb_di_nero

    MOURNING記憶喪失話占視点。力尽きて急に終わる誰にも言ったことはないけれど、僕はこの荘園に来る前にとある人に飼われていたことがある。
    飼われていたと言っても、別に奴隷ような扱いを受けたりはしなかった。念の為に言っておくけれど、性的なアレソレもない。ただ、どこの馬の骨かも分からない僕に無償で寝る場所と食べ物をくれて、それから言葉を交わしたりした。それだけの、優しい関係だ。





    その人と出会った時、僕は一切の記憶を失っていた。
    天眼の力を失った僕を疎ましく思った彼女の家の者に殴られ、路地裏にまるでゴミのように捨てられていたのだ。
    何も持たない僕を自らの家へと持ち帰ったその人は、医者を呼び薬を貰い、そして寝床や食事まで用意してくれた。
    優しい人だと言うと怒ったような顔をするその人は、イーライ・クラークと名乗った。「似合わん名前だろう」と苦笑気味に言われてしまった時は、どんな顔をしたらいいか分からなかった。
    彼は良い人だ。記憶のない僕を拾い、こうして置いてくれている。
    彼は良い人だ。僕が彼の意に沿わないことをやっても、決して手を上げたりはしない。
    彼は良い人だ。僕が「ありがとう」と言うと、ほんの少しだけ笑ってくれる。
    けれど、彼は善 2167

    orb_di_nero

    TRAININGお題「絶交」な会話文。眠気に負けるな。イソップ大活躍。「っ、どうして分かってくれないんだ!もうナワーブなんか知らない!君とは絶交だ!!」
    「……あっそ。分かった」
    「えっ」
    「じゃあ俺は部屋に戻る。悪かったな、“クラーク”」





    「…………はぁ」
    「あれ、イライさん?珍しいですね」
    「あ、イソップくん。こんばんは」
    「……こんばんは。こんな時間に一人で食堂にいるなんて、どうしたんです?」
    「そうだね……ちょっと色々あって」
    「へぇ、そうなんですか」
    「…………」
    「…………」
    「……聞かないのかい?」
    「聞くタイプに見えますか?」
    「いやそれは……見えないけど」
    「じゃあそういうことです。僕はお茶を淹れに来ただけなので」
    「そっか……」
    「…………」
    「…………あのさ」
    「なんですか」
    「ちょっと聞いてほしいんだけれど」
    「そっちが聞いてほしいんじゃないですか。なら最初からはっきりそう言えばいいのに」
    「はは……うん、そうだね……」
    「何ガチ凹みしてるんですか」
    「うん……いや、ちょっと思うところがあって……」
    「…………はぁ。お茶が入るまでですよ」
    「え?」
    「お茶が入るまで、話を聞いてあげます。ただし、建設的な意見とかは求めない 2276

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    orb_di_nero

    MEMOバイン卿とクラークさんのハロウィン小話(会話文のみ)「バイン卿、言われた通りフロッツの焼き菓子とホーインズのチョコレートを三十程買ってきましたよ」
    「ありがとう、クラーク」
    「こんなに沢山食べるんですか?」
    「いや、これはハロウィン用だ」
    「ハロウィン用……?貴方のところに子供が来るのですか?」
    「いや、今から訪ねに行く。あまり治安がよろしくないから、付いてくるつもりなら財布はここに置いていくといい」
    「もしかして、ストリートチルドレンのところに?」
    「ああ。彼らは優秀な私の情報屋だからね。たまには仕事抜きの交流もしなくては」
    「……優秀、ですか」
    「ックク……」
    「バイン卿」
    「クラーク、子供相手に嫉妬なんかするもんじゃない」
    「……別に、そんなことは」
    「そういうのはそのへの字口を直してから言うんだな」
    「む……」
    「さ、行こうかクラーク。今日は忙しいぞ。情報屋たちのご機嫌を伺ったら、次は君の番だ。欲しいものを考えておきたまえ」
    「え?」
    「何を不思議そうな顔をしてるんだ。今日は君の誕生日でもあるだろう」
    「あっ、はい。勿論それは、……そうなんですけど。まさか貴方が祝ってくれるとは思ってなくて」
    「君は“優秀な”私の助手だ。祝うに決 911