幕開け幕間「風見、離れろ――ッ!」
その声が聞こえた次の瞬間には、激しい閃光と衝撃が風見を襲った。走馬灯を見る暇もなくそのまま意識はブラックアウト。そして目が醒めた時、事態は悪い方向に進んでいた。
「設備の強度は確かめたか?」
「……はい、抜かりなく」
コン、と硬質なガラスを叩く音。音を立てた主の顔を、風見は未だ見れずにいる。
急遽地下シェルターに用意された、電波をも遮断する特殊強化ガラスの檻。その中に、既に風見の上司が入っていた。相手はぐるりと自分の行動範囲を見渡すと、再度通信手段として配置した黒電話から語り掛けてくる。後ろにいる部下にも聞こえるように、こちら側の電話はスピーカーの状態だ。
「そうか。ベッドや椅子は君が?」
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