kokera【オル相】 酔っているのなら酒のせいにできるのに。
今からでもその辺にある瓶を呷ってくれと祈らずにいられない。そんな俺の心情を無視してオールマイトは俺の舌を吸っている。
何故。
どうして。
確かに俺はビールを飲んだ。たったサンゴー缶一本だ。いくら俺が酔うと記憶を無くすからってたったそれっぽっちで酔うはずがない。
顎を指でくいと持ち上げられ、息苦しさと嚥下できない唾液に溺れそうになったところでオールマイトは大きく呼吸をしながら俺を自由にした。
捏ねくり回されて痺れるようなもたつきを覚えた舌を口の中に引っ込めて目の前の男を睨み付ける。
「どういうつもりです?」
「どうもしないよ」
俺の抗議を飄々と受け流して細める目が無性に気に入らなくて、俺は目の前にぶら下がるネクタイを拳に巻きつけ真下に引いた。がくんと腰から折れたオールマイトの顔を鷲掴みにして仕返しの如くキスを仕掛ける。オールマイトは黙って俺に貪られるままだ。さっきと同じような粘膜と粘膜が粘性のある液体を添えて撹拌しながら沸き起こる音を合奏する。
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