ぼくらの半日戦争(の途中)「大好き。一生そばにいて」
「うん」
「だいすき」
「ん、俺も好き」
ざらついていた感情が泡になって弾ける。穏やかな波がノーマンの胸を攫い、心がレイに占領されていくのを感じていた。レイは最後の一掬いを口の中に放り込み、スプーンを空瓶へ雑に活けたところであった。ささいな仕草のひとつひとつから目が離せない。
ノーマンは瓶の底にカツカツとスプーンの先端をぶつけながら、甘えるようにして肩にもたれかかる。
「僕と結婚して」
「してる。ほら、指輪」
瓶を持ったままのレイの左手、薬指がピンと伸びた。つられて一緒に伸びる小指がかわいい。
ノーマンはスプーンを口に咥えて自身の手を見た。そこには当然のように同じ指輪が光っている。なんだか眩しくてくらくらして、ノーマンはレイの肩に額を押し付けた。
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