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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジオーバー
    クロ+リン/トラブルだろうと楽しみます

    特別演習に合わせて依頼されていた、街近郊に出現した精霊窟の調査を請け負ったリィンとクロウ、Ⅶ組の面々は不慮の事故によって一時撤退を余儀なくされていた。
    「すまない……、おれがもっとちゅういぶかくすすんでいれば……」
     身の丈に似合わない大人用のシャツを羽織った幼児がベッドの上で打ちひしがれている。
     リィン・シュバルツァーは今、不可思議な力によって日曜学校に通っていそうな、厳密に表すとすれば五歳程度の姿へと変貌を遂げていた。そんな子ども、もっといえば幼児が悲しんでいる姿はこちらが何もしていなくとも良心に突き刺さる。
    「いや、ただ菓子買ってもらえなくて項垂れる子どもにしか見えねーからやめろ」
     リィンたちに同行していたクロウは、見ていられないほど落ち込んだままの彼の背を叩いて宥める。ほっそりとした顎のラインにこぼれそうなくらい大きな目を潤ませた彼は、やはりリィンなのだ。
     身体は小さくなったものの、記憶が後退しなかったのは僥倖だろう。
    「今、ユウナとミュゼがお前の服を確保しに行ってるから」
    「それは、とてもふあんになるくみあわせなんだが」
     感情が取り繕えないのか、顔をしかめた彼が微笑ましい。
    「教官、眠そうですね」
     周辺調査に出ていたクルト、アッシュ両名から報告を聞いていたときだった。クルトにそっと耳打ちされ、膝のうえに乗せた熱源を見下ろす。
     ミュゼによって良家の子息風へコーディネートされた彼が、クロウの膝のうえで船を漕いでいた。落ちないよう、リィンの腹に回していた腕でぎゅうと抱き寄せる。前に傾いていた身体が逆らうことなく寄りかかってきた。
    「ねむく、ない……だいじょぶ、だ」
     目蓋をこすり、抵抗してみせる彼を寝かしつけにかかる。
     用意された服へ着替えてから街中や精霊窟の周囲を調査した疲れが出ているようだ。無理もない。移動くらいは抱きあげてやろうかと提案したクロウを跳ね退け、終始歩き回っていたのだから当然だった。
     途中でリィンの体力を察したクロウによって宿屋へ強制帰還させ、今に至る。
    「だめだな。どのみち委員長ちゃんが到着するまで軽く先行調査をするだけの予定だ。今日はもう休む。クルト、アッシュ。今後は俺が指揮をとるからよろしくな」
    「まあ、そうなるよな。俺は構わねえぜ」
    「よろしくお願いします」
    「戻りま……した。教官、寝ちゃいました?」
     勢いよく扉を開け放ったユウナが寝ているリィンを視界に入れた途端、声を潜める。眠りが深いのか、リィンが起きてしまう事態は避けられた。
    「電池切れかな。うわー、なんか懐かしい。ケンとナナもこういうのよくあったなあ」
    「精神的には教官のままですが、やはり体力面では心配が残りますね。いっそのこと、クラウ=ソラスに乗せてしまうのも手かと」
    「あらあら、なんて可愛らしいんでしょう。教官の愛らしい姿、是非写真に残しておきたいところです」
     かわいい生徒たちから愛でられているとも知らず、腕のなかで小さな寝息を立てるリィンは幼い寝顔を晒していた。
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    甘味。/konpeito

    TRAINING両片思いアシュクル/創エピ第Ⅱ分校修学祭後自らの行いは自らでケリをつけたかった。
     皇帝暗殺の犯人が自分であるにも関わらず、世間ではそれを誤報とされている。この手で引き金を引いた感触が今でも残っているというのに。
    「ったく。めんどくせえ連中に捕まっちまったな」
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    「アッシュ、ここにいたのか」
    「クルトか。酒もないのに付き合いきれねえ。連れ戻したかったら酒持ってこい」
    「俺たち未成年だろ」
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     生活態度は至って真面目、剣技は教科書通り、 870

    さらさ

    MOURNING「何かあって不機嫌そうなクロリンが戦闘では息ピッタリな話」の続き。やっとくっつきます。
    付き合ってないのに痴話喧嘩は犬も食わない リィンとクロウの不仲騒動から数時間。第五階層の最奥まで回って《円庭》に戻ってきた面々は二人を除いて疲れ切った表情をしていた。余りにも不毛な痴話喧嘩、それでいて付き合っていないというのだから手に負えない。瞬く間にそれは広がり、新旧Ⅶ組は総出で溜息をつき、他の面々も事情を察したように苦笑いをしていた。一部生温かい目で見る者もいたようだが。

    「全く、本当にいいのかい?リィン君だって同じ気持ちを持っているのだろう?」
    「……あいつには悪いが、応えられるほど真っ直ぐじゃねぇんだ」

    テーブルを囲って、かつて試験班だった面々がクロウに詰め寄る。アンゼリカの言葉に彼は首を振った後、真剣に迫ってきたリィンの事を思い出す。構えば構う程、愛情と執着心そして独占欲が生まれ、その度にクロウは己を律してきた。果たしてそれは必要か、と。必要であるならばいくらでも利用できる。だと言うのに彼の場合はどうだ、根も真っ直ぐでたくさんの人から慕われている。そんな彼を利用するだなんて出来ないし、したくもなかった、これはフェイクでも何でもない本音であった。未だに《C》だったころの話も出してネタにするのは正直言ってやめて欲しいのだが。
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    さらさ

    MOURNINGフォロワーさんのネタをサルベージした一品。二パターンのうちの一個。曰くフォロワーさん的にはこっちがお望みだったようなのでこちらを先にアップ。
    でも本当に様になるねこの男は。

    尚そんなに活躍していない偽名は、私の趣味です(特にローデリヒ)
    踊ってください、愛し君「あれが例のターゲットか」
    「そうみたいだな。さぁて、どうしてやろうか」

     帝国のとある貴族邸にて。一時期帝国とクロスベルを行き来していた偽ブランド商がこの屋敷にて開かれる夜会に紛れてどうやら密談を行うらしい。そこでクロウとリィンには穏便な形での取り押さえるという依頼が舞い込んできたのである。相談した結果、ターゲットが女性である事とクロウ曰く二人そろって見目もいい事から凝った変装は必要ないだろうという事になった。ただリィンの場合は顔と名前を知られすぎているので、一工夫必要だとクロウの手によって好き勝手され。ラウラやユーシス、時間が出来たからと顔を出したミュゼの審査を受けてようやく目的地に辿り着いたのだが。如何せん、そこまでの振り回されたこともあって少々疲弊していた。潜入捜査に男二人は流石に目立たないだろうかとは思ったものの、その手のプロから珍しい事ではないとのアドバイスをもらったので女装させられるよりはましかと腹を括った。
    1996

    さらさ

    SPUR ME12月12日に出す予定の展示品を尻叩きとサンプルを兼ねて一章丸々アップ。こんな感じのクロリンの話が五感分連続していく感じです。シリアスが続きますがハピエン(にしてみせる!)

    ちなみにタイトルは全て「五感に関する部位のことわざ」を当てはめています。変わるかも。
    医者と味噌は古いほどよい リィンは《黒の工房》から救出されて以来、違和感に気付いた。《巨イナル黄昏》より前に感じ取れていた味が、分からなくなっていたのだ。一か月近く食事をしていなかったこともあり気付かなかったが、しばらく食べているうちにようやくその違和感に辿り着いた。原因は分からないが、相克に向かうこの状況で他の心配事を出来ればリィンは作りたくなかった。だから、黙っている事にした。――目に見えて減っている食事量を前に、既に全員が気が付いているだなんて思わないまま。

    「そういうワケでクロウ、よろしく」
    「いや待て、どうしてそうなる」

    セリーヌとデュバリィに足止めさせて始まる新旧Ⅶ組大会議。答えは出ているも同然だったが、それでも認識の擦り合わせが必要だと集まったのだが。驚く程分かりやすいリィンの事だ、擦り合わせる間でもなかったが。それが分かれば押し付ける先は一つしかない。フィーの直球な言葉にクロウは予想もしていなかった為狼狽えた。リィンは無自覚ではあるが彼に甘える。そしてクロウは彼が甘えてくる自覚はあれど甘えさせているという自覚はなかった。何も自分に持ってくることはないだろうに、それがクロウの言い分だがそれに呆れている様子もまた感じ取っている事もあって困っている。
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    さらさ

    DONEクロリンwebオンリーのエア小話より「内容指定無しの更紗が書いたクロリン」です。
    12月に不安定になっちゃうリィンが今年はしっかりしなきゃと思いながらクロウにメールすることから始まるシリアスクロリン。



    ランディが出てくるのは私の趣味です(書き分け難しかったけど楽しかった)
    慣れぬくらいならその腕に ――冬、か。リィンは仕事が一段落した寮のベッドで、バタリと倒れながらそう思う。《黄昏》が終結してから三度目になるその季節に、そろそろ拭えていい筈の不安がまだ心の奥底で突き刺さっていた。

    「流石に通信は女々しいかな」

    流石に三度目ともなれば慣れなくてはならないと、彼は思う。今は異国を巡りながら情報収集やら遊撃士協会の協力者やらで忙しい悪友を、年末には必ず帰ってくる優しい人を心配させない為に。開いたり、閉じたりしてどうも定まらない思考をなんとか纏めようとする。

    「今年は帰ってこなくても大丈夫だって、言おうかな……」

    移動距離だってそんなに短くないのだ、忙しい時間を自分に割かせるには余りにも勿体無さすぎる。そもそも、帰ってくるという表現さえ正しいのかは分からないが。導力メールで今年は帰ってこなくても大丈夫だという旨だけ書いて送信して、そのまま目を閉じる。通信を告げる着信音がやけに遠く感じながら、リィンはそのまま眠りについた。
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