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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/この腕の重みに想う
    Ⅳ第一相克後

    「おいおい、こんなのってアリかよ。……ん? おい、リィン」
     クロウの肩口に顔を埋め、微動だにしなくなったリィンの身体を揺する。彼の腕は変わらずクロウを抱き締めていて、その表情は窺い知れない。
     ブリオニア島に出現した陽霊窟の最深部で行なわれた第一相克は、リィンの勝利で幕を閉じた。敗者は勝者に力として吸収される。相克をはじめる前からその事実を受け止めていたクロウは、彼に敗北した時点で覚悟を決めていた。
     そうして相克を終えるも、オルディーネからヴァリマールへ流入するはずだった力の流れが突如として変化した。それにより、オルディーネは消失を免れ、結果としてクロウの存在は、不完全ながらもこの世に繋ぎ止められたのだった。
    「これは、完全に意識を失っていますね」
    「ん。しかもリィンってば、がっつりクロウを掴んじゃってるし」
     リィンの様子を伺っていたアルティナとフィーに、彼を剥がすのは諦めるよう諭されて肩を落とす。ただでさえ贄として消耗していたところに相克をおこない、さらに予想外の事態を引き起こした代償だ。クロウもまた、相克や消失しかけた反動も相まって消耗が激しく、リィンの身体を支えるのもやっとの状態だった。
    「ここを出て、少しいったところに管理小屋があります。そこまで運んでいただけますか」
    「ああ」
     エマに促されてリィンの膝下へ腕を差し込み、抱きついているその背に手を添える。気絶し、脱力しているその身体をそっと抱き上げた。
    「代わるか」
     一歩踏み出した途端、わずかによろめいた。手を差し出したガイウスに首を横へ振り、断る。今だけは、彼を手放したくはなかった。
    「いや、いい。俺が運ぶ」
    ――俺には……、俺たちにはお前が必要なんだ!
     言葉で、態度で激情をぶつけてくる姿にすっかり心動かされてしまった。
    「コイツが必要だっていうなら、この追加ステージ。最後まで付き合うしかないだろ」
     ふたたび踏み出した足が揺らぐことはなかった。
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