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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ
    クロ←リン/チョコレートに隠された秘密
    Ⅳと創のあいだ

    「教官、少しお時間頂けますか」
    「ん? ああ。構わないぞ」
     教官室で書類仕事を片付けていると、放課後はいつも部活に勤しんでいるはずのアルティナがリィンの元へやってきた。彼女からの頼まれごとは珍しく、一も二もなく了承する。
     一瞬ほっとしたような表情を見せた彼女とともにリーブス第二分校の食堂へと向かった。
    「アル、教官呼んできてくれてありがとう」
    「おふたりとも、お待たせしました」
     食堂へ入るとリィンを先導していたアルティナが、先に来て待っていたらしいユウナとミュゼの元へ駆け出した。
    「ユウナ、ミュゼもいたのか」
    「はい。これ、あたしたちからです。受け取ってくれますよね」
     ユウナの差し出したプレートには、いくつかのチョコレートを使ったお菓子が乗せられている。それぞれ一目で誰がどれを作ったのか分かる見た目をしていた。
    「リィン教官、いつもありがとうございます!」
    「ありがとうございます」
    「私からは愛もたっぷり詰めました」
    「そうか。今日はバレンタインか。ありがとう。大切に食べるよ。この兎のパンケーキはアルティナだろう。みっしぃはユウナだな。ミュゼはこの薔薇の形をしたこれだろう。それからこれは……」
     言いかけ、指差していた手が止まる。なんの変哲もない、ただのトリュフだ。一口大のそれは飾り気もなく、プレートのうえに鎮座している。
     どうぞとユウナらに促され、手に取り口へ放り込んだ。砕けたチョコレートの殻のなかから出てきたガナッシュが、舌のうえで溶けて消える。甘いだけではない、微かな塩気がチョコレートを引き立てるように口のなかで広がった。
     食べた相手を驚かせたい。そんな味に、今食べたトリュフを作った犯人が誰だかすぐに見当がついた。
     きっとこの場にいたなら、食べた途端に驚くリィンをしたり顔で眺めていただろう。
    「――ありがとう。本当に」
     心配そうにこちらを見ているユウナたちに笑みを浮かべ、その手からプレートを受け取るのだった。
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