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    シャッフル企画です。

    回復職として当てにしていたバルタザールのライブがいつまで経っても本当にお粗末な為、誰かが新たに回復魔法を覚えるしかないと言う話になった。別働隊を編成することが増えたのでそれぞれに回復職が欲しい。ベレトという鶴の一声でクロードが今さら修道士の資格を取ることになった。ヒルダが持ってきてくれた修道士見習いの装備が身につけられるかローレンツの部屋で確認している。クロードの部屋には大きな姿見がないからだ。線が細い十代前半の子供が着るような意匠なので肩周りや腕に筋肉がついているクロードが着ると違和感がある。五年前のリンハルトはよく似合っていた。

     そもそもクロードは身体の線が出る服を好まない。そしてローレンツの例を見ればわかる通り身体の線が出る服は寸法が合っているからこそ見栄えがするのだ。

    「バルバロッサの格好が見慣れていたからなんというか…違和感があるな」
    「今さらこの格好をする羽目になるとはなあ…」

     ローレンツの兵種はダークナイトなので遠目から見れば身長差もあり演習や戦闘の際にこの格好で並べば大人と学生が連れ立っているように見えるだろう。しかし近寄れば頬髭を生やし妙に上腕に筋肉がついた修道士見習いのお目見えだ。

    「マリアンヌさんに回復魔法のコツを習うと良い」
    「マリアンヌの物真似なら出来るぞ」
    「その物真似が得意だと思っているのはクロード、君だけだ」

     修道士見習いの装備に身を包んだクロードの姿は悪ふざけにしか見えない。だが、魔法に関する個性の違いはバカに出来ないものだ。今がどんなに稚拙でも努力すれば将来的にはローレンツが習得できなかったサイレスが別の個性を持つクロードなら習得に出来る様になるかもしれない。

    「とりあえずマヌエラ先生のところで研修を受けてくる…」

     とぼとぼとマヌエラの元へ向かうクロードの後ろ姿があまりに珍しかったのでローレンツの持つ乏しい悪戯心のようなもの、が珍しく刺激された。

     マヌエラはレスター諸侯同盟の盟主であるクロードにも容赦しない。

    「クロード、もっと早く!負傷者達があなたのことを待っていてよ!」

     座学から始まると思っていたのにクロードは何故か外へと連れ出され、ずっと走り込みをさせられている。マヌエラの叱咤する声を聞きながらクロードは恨めしそうに腹側に抱えさせられている背嚢を撫でた。背中側にも同じように石がぎっしり詰められた背嚢を抱えている。息が整うのを待たなければ言い訳も反論もできない。耳の後ろの血管が脈打つのを感じながら声が出せる様になるまで待った。この状態で正確に回復呪文を唱えねばならない。

    「もう少し身軽ならもう少し早く走れるんですが…」
    「その重さに慣れなさい。あなたが戦場で抱えて安全なところまで退避させる負傷者の重さなのよ」

     バルタザールの体格にはなんと根拠があったようだ。回復職を担当しているマリアンヌは細身かつおっとりした性格で日頃は彼女から力強さを感じたことがないし素早い印象を受けたこともない。彼女が学生時代に走り込みをさせられていたのをクロードは知らなかった。

    「はぁ〜我が軍における回復職の待遇を向上させないと…」
    「盟主のあなたがそう考えるようになっただけでも訓練した甲斐があってよ」

     マヌエラがさあ、もう一本走ってらっしゃい、と笑顔で鬼の様なことをいうのでクロードは覚悟を決めた。確かに駆けつけた後ですぐに回復魔法の呪文を詠唱せねばならないのだから簡単に息を切らしている様ではつとまらない。

     翌々週、マヌエラの指導というかしごきに耐えたクロードは見事修道士の資格を取得した。ようやく学生の様な格好をせずに済むと思ったクロードは足取りも軽く物資の管理をするヒルダの元へと修道士の装備を受け取りに行った。

    「あっ受かったんだ〜!あてにしてるからねクロードくん!確かこの箱に入ってるはずだよ。大きさを確かめてみてね」

     勿論クロードはそれを理由にローレンツの部屋に入り込む予定だ。

    「肩周りがキツくないと良いんだがなあ」
    「わかる〜!私も肩周りがキツい服って斧振り回すときに破けそうで嫌なのよ〜」

     思わぬところで賛同者を得たクロードが自室に戻って箱の蓋を開けると中に「心の綺麗な人にしか見えない服」と書いてある紙だけが入っていた。筆跡はローレンツの物だった。きっと本来の中身はローレンツが持っているに違いない。

     虚を突かれたのが少し悔しかったクロードは「心が綺麗な人にしか見えない服」を着たまま部屋の外に出て隣室の扉を叩いた。大きさがあっているか確認しなくてはならない。少し肌寒い気もするがローレンツの冗談に全力で乗っかってやろうと思うしローレンツにも「心の綺麗な人にしか見えない服」を着せてやろうと思う。
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    9660moyunata

    DONEテレビゲームをするだけの現パロ年後クロロレ
    光属性ですご安心ください。
    「ローレンツはゲームとかしないのか?」
    「そんなもの、時間の無駄だろう」
    やっぱりそう言うと思った。庶民の娯楽に現を抜かしてる暇なんてありませんって顔に書いてある。
    「じゃあさ、1回だけ対戦付き合ってくれないか? このゲーム1人でもできるんだけどさ、せっかく買ったんだしちょっとくらい人と遊んでみたいんだよ」
    「仕方がないな、1度だけだぞ」
    ローレンツはせっかくだから、とかそういう言葉に弱い。あいつは俺のことに詳しいなんて言っているが、俺だって負けてない。ローレンツが俺のこと見続けているなら同じだけ俺もローレンツを見ているんだ。
    今始めようとしているゲームはいわゆる格闘ゲームだ。さすがに初心者のローレンツをこてんぱんにするのは気が引けるから、あえて普段使わないキャラクターを選ぶ。それでも俺の方が強いことに変わりはない。手加減しつついい感じの差で勝たせてもらった。
    「......。」
    勝利ポーズを決めている俺のキャラクターをローレンツが無表情で見つめている。よし、かかったな。
    「クロード、もう一戦だ」
    「おっと、1回しか付き合ってくれないんじゃなかったのか?」
    「せっかく買ったのに 1372

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    9.典儀・上

     情報には出元と行き先がある。それを見極めずに判断を下すと間違いが起きる。前節、カトリーヌがロナート卿の所持品から見つけた大司教レアの暗殺計画に関する密書は様々な波紋を読んだ。真偽の程は定かではないが対応せねばならない。

     謁見の間に呼び出されたベレトから今節の課題を聞いたクロードは教会があの密書をどう判断したのか悟った。今回も彼の記憶と同じく何者かが教会を混乱させる為に作成した偽物であると判断したのだ。そうでなければ士官学校の学生に警備や見回りを担当させないだろう。だがクロードにとっては丁度良かった。賊の狙いが何処であるのか確かめる為という大義名分を得て修道院の敷地内を直接、自由に見て回れる。賊が聖廟の中で何かを探し、奪いに来たがそこでベレスが天帝の剣を手に取り賊を撃退したことをクロードは覚えているのだがだからといって日頃入れない聖廟を直接探る機会を逃したくはなかった。それにロナート卿の叛乱の時と同じくまたクロードたちが当事者になっている。詳しく調査しておいて損はないだろう。

     ガルグ=マクにはフォドラの外からやってきた住人がクロード以外にも存在する。自然と祖先を 2082