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    111strokes111

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    女神の徒から孤独で冷酷と称された我が国の未来の民に我々は何を遺すことが出来るだろうか。神を汚し罵る趣味と全ての悪徳だろうか

    クロロレワンドロワンライ第46回「花畑」 ミルディン大橋のレスター諸侯同盟側にある砦近辺には花畑が広がっている。休耕地の花々は人間の都合など知らず咲き誇っていた。
    「この辺は休耕地が多いから少しだけ気が楽だ」
    「多いだけだ。一面でも二面でも収穫前の麦畑が荒らされれば一年間の苦労が水の泡となって消えその一家は破綻する。絶対に食い止めねば」
     ローレンツの発言はクロードに対する嫌味ではない。事実を指摘し己に気合を入れているだけだ。しかしローレンツの個性を受け入れていない者が聞けば単なる嫌味と受け取るだろう。
    「魔法や火薬で土壌が汚染されるのは分かってるさ。安心させてやれないこの身の非才さが歯痒いな」
     クロードたちは砦を出て橋の付近に陣を敷き帝国軍を待ち構えている。先ほど戻ってきた斥候によるとカスパルとリンハルトがいるらしい。
    「降伏させられるならさせたいな。こちらも名誉より命が優先だ。死ぬなよ、捕虜になって内情を探ってきてくれ」
     先程終わった軍議の際にローレンツは分かったような顔をしてクロードの意見に頷いていたが一番危ういのは彼だ。名誉のため他人を守るために死にかねない。だからぬけぬけと言わせて貰えばグロスタール伯はクロードの元に嫡子を寄越したのだ。価値観の相違が良い結果を生むと信じて貰ったからには期待に応えるしかない。
    「一刻も早く父の許へ行かねば」
     数えきれないほどの敵兵はまるで一つの塊のようになっている。ローレンツは囲まれることを恐れずシェズと共に突っ込んでいった。故郷にいた西の国境に駐屯している部隊からの報告書をクロードは読んだことがある。彼らは髪と瞳が薄紅色の者を恐れる。こちら側に来てみれば自国の兵が恐れるゴネリル家の者たちはひたすら感じが良かったのでクロードは自分の野望に更に自信を持った。ともかく今後、帝国の兵たちは髪と瞳が紫の者を嫌うようになるかもしれない。槍を振るう白い横顔は誇らしげだった。殺し合いの場に身を置いていようとローレンツは尊敬する父の役に立てることを心の底から喜んでいる。だがクロードたちはこの後、彼の喜びに冷水を浴びせるのだ。クロードはこれまで少々ローレンツと親睦を深めたが今後は公的な関係すら危うくなるかもしれない。
     このままこの場を凌ぐことはできる。だがそれは対処療法に過ぎず根本的な解決にはならない。クロードはローレンツたちが奪取してくれた砦で手綱を引き飛竜を上昇させた。誰も注目していない時でなければパルミラ式の遠眼鏡が使えない。見渡した先で自軍の兵士は善戦していた。人的損害を無視すればきっと今回は防衛できるだろう。だが国力の差から言っても善戦するだけではいずれすり潰される。クロードは自分と同じくそのことをきちんと理解していたグロスタール伯に作戦を開始するか否かも含めて委ねている。猜疑心の塊を自称する己らしくない振る舞いだった。
     伝令兵がクロードの元に駆け込んできた。際限なく枝分かれしていた未来が大きく刈り取られていく。
    「全軍、橋を放棄して撤退せよ!」
     自分は望ましい未来を掴み取ることが出来るのだろうか。飛竜に跨って時には囮を引き受けつつクロードは戦場中を飛び回った。
    「総大将がこんなところで何をやっている!!」
     シェズと共に父を助けるため敵陣の奥深くへ攻め込んでいたローレンツはクロードの姿を目にしてそう叫んだ。これは彼が本当に叫びたいことではない。何故、父の下へ援軍を送ってくれないのかと言いたい筈だ。ローレンツは必死で名誉と仲間の命を守ろうとしている。
    「その辺の話は全部後だ!俺たちは味方の撤退を支援する!」
     クロードは前哨基地に戻ったら絶対に彼と話し合わねばならない。話し合わねばならないのだが彼へ真実は伝えるわけにいかない。
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    9660moyunata

    DONEテレビゲームをするだけの現パロ年後クロロレ
    光属性ですご安心ください。
    「ローレンツはゲームとかしないのか?」
    「そんなもの、時間の無駄だろう」
    やっぱりそう言うと思った。庶民の娯楽に現を抜かしてる暇なんてありませんって顔に書いてある。
    「じゃあさ、1回だけ対戦付き合ってくれないか? このゲーム1人でもできるんだけどさ、せっかく買ったんだしちょっとくらい人と遊んでみたいんだよ」
    「仕方がないな、1度だけだぞ」
    ローレンツはせっかくだから、とかそういう言葉に弱い。あいつは俺のことに詳しいなんて言っているが、俺だって負けてない。ローレンツが俺のこと見続けているなら同じだけ俺もローレンツを見ているんだ。
    今始めようとしているゲームはいわゆる格闘ゲームだ。さすがに初心者のローレンツをこてんぱんにするのは気が引けるから、あえて普段使わないキャラクターを選ぶ。それでも俺の方が強いことに変わりはない。手加減しつついい感じの差で勝たせてもらった。
    「......。」
    勝利ポーズを決めている俺のキャラクターをローレンツが無表情で見つめている。よし、かかったな。
    「クロード、もう一戦だ」
    「おっと、1回しか付き合ってくれないんじゃなかったのか?」
    「せっかく買ったのに 1372