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    そのうちクロロレになります。ェュ前提なのでご注意下さい。紅花ルート

    有情たちの夜.7「枠の中5_7」 クロードはセイロス教の影響を受けずに育っているので時に思いもよらないようなことを言う。
    「再現性ですか」
    「俺やヒューベルトだってやろうと思えば人間が魔獣に変化する条件を整えられるんじゃないのか?」
     それには紋章石が必須で白きものの血液もあるに越したことはない。だから彼らはフレンを拐かしたのだ。レアの要請がなければセテスとフレンはガルグ=マクにやって来なかったのだから、彼らだけに責を負わせるのは間違っている。それでもヒューベルトはどうして人里離れた土地で安全を確保してくれなかったのか、と思ってしまう。
    「それともあれはトマシュさんの顔を奪ったような連中にしか出来ないのか?」
     ヒューベルトの答えを待たずに話し続けたクロードは暗に取り上げられたフェイルノートとフライクーゲルのことを言っている。紋章を持たない者に英雄の遺産を握らせれば魔獣になるだろう。だがヒューベルトの脳裏に浮かんだのは闇に蠢くものたちの拠点のことだった。奪ったら即座に破壊せよ、と主君であるエーデルガルトから命じられている。だが───
    「同じような下衆になれ、と?」
    「逆に考えろよ、魔獣から人間に戻す手がかりがあるかもしれないじゃないか。それにトマシュの爺さんみたいに任意で姿を選べた方が有利だろ」
     確かに闇に蠢くものたちは都合よく姿を使い分けていた。ヒューベルトは顔と名を奪われる前のアランデル公のことをモニカのことを覚えている。真の二人はあのような振る舞いをする者たちではなかった。だからこそヒューベルトは闇に蠢くものたちを絶対に許せない。
    「その技術が確立され、普及した後はどうやって己が己である、と示すのでしょう?社会から信頼が失われますな」
    「少し考えが足りなかったか」
     クロードはわざとらしく咳払いをした。全くもって地に足がついていない。ヒューベルトは敬虔なセイロス教徒たちと打ち解けることができなかった。理由は異なるがクロードとも打ち解けられそうにない。円卓会議に出席していた諸侯たちは暴走しがちな彼を止めるのにかなり苦労したはずだ。



     ヒューベルトがクロードの言葉に何かを見出している。だがそれは母国パルミラ関連ではない。客観的に見ればデアドラを奪われ同盟の諸侯たちに合わせる顔もなく───という敗軍の将、クロードのどこに価値を見出しているのか段々と分からなくなってきた。ガルグ=マクで見聞きしたことを話せと言われているが五年間自由に出入り可能だった帝国の者たちの方が修道院やアビスに詳しいに決まっている。では五年前にクロードが夜の探索中に偶然見てしまった何か、に価値があるのだろうか。考える時間を稼ぐためにも無駄話を続けるしかない。問題は無駄話が思ったより楽しいことだ。
    「でもな、アリルのようなことですら再現できる存在がいるかもしれない」
    「おや、意外ですな。女神が実在する、と?」
    「違う。そんなことは言っていない。再現できるならアリルのようなことですら女神の御業とは言えないってことだ」
     一般論として千年も続く組織が清廉潔白なわけがない。ディミトリの考えは聞いてみなければ分からないが、クロードが中央教会に改善を求めなかったのは完全に他人事だったからだ。仮の話だがフォドラがパルミラ王国の新たな領土になるならば対応が全く異なってくる。内心は問わないとして言動は法律に従わせねばならない。心のうちでは何を信じても構わないが異教徒の子供を生贄にするような儀式は法律で禁ずる。
    「ではどう言うことが女神の御業になるのでしょうか?」
     クロードの視線に気づいたヒューベルトがそう問いかけながら再び杯に水を注ぐ。話を引き延ばさねばならない立場だが、教会の者たちと積極的に話そうとしなかったヒューベルトがまだ女神について語り続けることはクロードにとって意外だった。小さな丸い水面に視線を落としたが都合よく自分の顔など映ってくれない。
    「この世界を作るとかそういう、本当に一度きりしか起きないようなことを起こすのが神様ってやつなんだと思うぜ」
     一考に値すると思ったのだろうか。ヒューベルトは顎に手を当て口を閉じてしまった。
     
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    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    8.背叛・下
     雷霆を振るうカトリーヌの名を聞いた者に多少なりとも英雄の遺産や紋章の知識があったならばそれがとんだ茶番だと判るだろう。だが無謬であるセイロス教会が彼女をカサンドラではなくカトリーヌと呼ぶのならそれに従うしかない。カロン家当主としても令嬢カサンドラに死なれるよりはガルグ=マクで生きていてくれた方が良いのだろう。

     ローレンツは霧深い街道をガスパール城に向けて黙々と進んでいた。前方ではクロードとベレトとカトリーヌが何やら話している。五年前、ローレンツは帝国軍が破竹の快進撃を見せた時に正直言ってファーガス神聖王国がほぼ崩壊したと思った。今の彼らの会話を耳にしてもファーガスが凋落しているという印象が深まっていく。青獅子の学級の学生たちは士官学校に入る前に初陣を済ませている者が多いのはダスカーの悲劇以降小規模な騒乱が後を立たずにいるからだ。

     だからあの時ローレンツはフェルディナントと共にミルディン大橋に立った。ファーガスは近々自壊するだろうしパルミラとの国境を守りながら強大な帝国に抗う力が同盟にはない。ならばせめて領地と領民を守りたいと思ったからだ。霧の立ちこめる行路は人生 2090

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    9.典儀・上

     情報には出元と行き先がある。それを見極めずに判断を下すと間違いが起きる。前節、カトリーヌがロナート卿の所持品から見つけた大司教レアの暗殺計画に関する密書は様々な波紋を読んだ。真偽の程は定かではないが対応せねばならない。

     謁見の間に呼び出されたベレトから今節の課題を聞いたクロードは教会があの密書をどう判断したのか悟った。今回も彼の記憶と同じく何者かが教会を混乱させる為に作成した偽物であると判断したのだ。そうでなければ士官学校の学生に警備や見回りを担当させないだろう。だがクロードにとっては丁度良かった。賊の狙いが何処であるのか確かめる為という大義名分を得て修道院の敷地内を直接、自由に見て回れる。賊が聖廟の中で何かを探し、奪いに来たがそこでベレスが天帝の剣を手に取り賊を撃退したことをクロードは覚えているのだがだからといって日頃入れない聖廟を直接探る機会を逃したくはなかった。それにロナート卿の叛乱の時と同じくまたクロードたちが当事者になっている。詳しく調査しておいて損はないだろう。

     ガルグ=マクにはフォドラの外からやってきた住人がクロード以外にも存在する。自然と祖先を 2082

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    13.誘拐・上

     フレンが行方不明になった。クロードとローレンツは誘拐犯がイエリッツァであること、彼が死神騎士でありエーデルガルトの手の者であることを既に知っている。ローレンツが知る過去ではディミトリたちがフレンを見つけクロードが知る過去ではベレスとカスパルがフレンを見つけている。

    「ではこの時点でベレト…失礼、言い慣れないもので。ベレス先生は現時点で既に教会に不信感を持ち敵対すると決めていた可能性もあるのか」

     ローレンツの知るベレトは教会と敵対せずディミトリに寄り添っていたらしい。記憶についての話を他の者に聞かれるわけにいかないので近頃のクロードはヒルダにからかわれる位ローレンツの部屋に入り浸っている。彼の部屋に行けばお茶と茶菓子が出るので夜ふかし前に行くと夜食がわりになってちょうど良かった。

    「そうでもなければあの状況で親の仇を守ろうとしないと思うんだよな」
    「だが今、僕たちの学校にいるのはベレト先生だ」

     ベレスは戴冠式に参加していたらしいのでそこで何かあった可能性もある。クロードはどうしてもかつての記憶に囚われてしまう。

    「大手を振って何かを調べる良い機会なのは確 2090

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    赤クロ青ロレの話です。
    17.惨劇・上
     南方教会を完全に無力化されてしまったことや西方教会対策やダスカーの幕引きでの手腕には疑わしいところがあったがルミール村においてまず疫学的な検査から実施されたことからもわかる通りセイロス騎士団は手練れの者たちの集まりだ。ベレトの父ジェラルドまで駆り出されている異変においてクロードやローレンツのような部外者が介入しても迷惑がられるだけだろう。

     クロードにしてもローレンツにしても記憶通りに進んでほしくない出来事は数多ある。ロナート卿の叛乱もコナン塔事件も起きない方がよかったしこの後の大乱も起きて欲しくない。だがこのルミール村の惨劇は起きてほしくなかった案件の筆頭にあげられる。他の案件の当事者には陰謀によって誘導されていたとはいえ意志があった。嵌められていたかもしれないが思惑や打算があった。だがルミール村の者たちは違う。一方的に理性や正気を奪われ実験の対象とされた。そこには稚拙な思惑や打算すら存在しない。事件を起こした側は村人など放っておけばまた増えると考えたらしいが二人にとって直接見聞していないにも関わらず最も後味が悪い事件と言える。
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